環境影響評価法改正案、衆院本会議で審議 川原田英世議員、再生可能エネルギー推進と環境保全を問う

2025-05-08 コメント投稿する

環境影響評価法改正案、衆院本会議で審議 川原田英世議員、再生可能エネルギー推進と環境保全を問う

環境影響評価法改正案、衆院本会議で質疑:再エネ推進と環境保全の両立を問う


2025年5月8日、衆議院本会議において「環境影響評価法の一部を改正する法律案」に関する趣旨説明質疑が行われ、立憲民主党の川原田英世議員が会派を代表して質問を行った。川原田議員は、再生可能エネルギーを基盤とした分散型エネルギー社会の構築を目指す立場から、改正案の評価と課題を指摘し、環境大臣に対して見解を求めた。

改正案の背景と目的


環境影響評価法(以下、アセス法)は1997年に制定され、事業者が事業実施前に環境への影響を評価し、環境保全のための措置を講じることを義務付けている。しかし、施行から四半世紀が経過し、風力発電所やダムなどの工作物が建て替えの時期を迎えている。現行法では、建て替え事業に関する規定がなく、新規事業と同様の手続きを課しており、手続きの合理化が求められていた。このため、政府は2025年3月11日に改正法案を閣議決定し、建て替え事業に関するアセス手続きの見直しやアセス図書の継続公開などを盛り込んだ 。



川原田議員の主な指摘と質問


1. 累積的な環境影響の評価の必要性
川原田議員は、釧路湿原周辺での太陽光発電事業が環境影響評価の対象外となり、地域住民が事業の実態を把握できない事例を挙げ、近接する複数の事業による累積的な環境影響を適切に評価する必要性を指摘した。また、地域住民の懸念が事業者や自治体に共有され、実効性のある対策が講じられるようにする必要があると述べた。

2. 工事中や事業実施後の予期せぬ環境影響への対応
辺野古基地建設の埋立工事で軟弱地盤が判明し、工事規模や内容が大きく変更された事例や、北海道幌延町で風力発電施設の稼働後にオオワシがバードストライクで死傷した事例を挙げ、工事中や事業実施後に予期せぬ環境影響が判明した場合の対応について質問した。特に、環境アセスメント段階で影響が小さいとされた被害が実際には重大な影響をもたらした場合の対応や、環境大臣への報告書の送付義務の必要性について問うた。

3. 建て替え事業における環境配慮の基準と範囲
風力発電施設の建て替えに際して、設備の大型化や新たな自然環境への影響が懸念されることから、建て替えにおいて考慮すべき周辺環境の範囲や、設備の大型化による環境影響への配慮の必要性について質問した。また、過去に生じていた環境への影響をどの程度改善する必要があるのか、改善の基準を誰がどのように作成するかについても問うた。

4. アセス図書の公開と活用の強化
現行法では、アセス図書の公表期間が概ね1ヶ月程度に限られており、後続事業のアセス手続き等に十分に活用できていないと指摘し、アセス図書の継続公開の必要性を訴えた。また、アセス図書に含まれる貴重なデータを収集・活用するための環境データベースの構築や、情報の検索・抽出が可能なシステムの必要性についても言及した。

5. 戦略的環境アセスメントの導入
諸外国では、政策や計画段階での環境影響評価(戦略的環境アセスメント)が導入されているが、日本では未だに導入されていないことを指摘し、国や自治体が事業に先立つ上位計画の立案段階での戦略的環境アセスメント導入の必要性と、その取り組みについて質問した。

今後の展望


川原田議員は、再生可能エネルギーを基本とする分散型エネルギー社会の構築を目指す立場から、地域の特性を生かした持続可能な社会の実現に向けて、現場の声を丁寧に拾い上げ、制度改革に全力を尽くすことを誓った。環境影響評価法の改正により、再生可能エネルギーの導入促進と環境保全の両立が求められる中、今後の制度運用とその効果が注目される。


* 環境影響評価法の改正案が2025年3月11日に閣議決定され、建て替え事業に関するアセス手続きの見直しやアセス図書の継続公開が盛り込まれた。

* 川原田英世議員は、再生可能エネルギーを基盤とした分散型エネルギー社会の構築を目指し、改正案の評価と課題を指摘した。

* 累積的な環境影響の評価、工事中や事業実施後の予期せぬ環境影響への対応、建て替え事業における環境配慮の基準と範囲、アセス図書の公開と活用の強化、戦略的環境アセスメントの導入など、多岐にわたる課題が指摘された。

* 今後、改正法の施行とともに、再生可能エネルギーの導入促進と環境保全の両立が求められる中、制度運用とその効果が注目される。

コメント投稿する

2025-05-10 14:01:24(うみ)

コメント投稿

コメントを投稿することができます。管理者の確認後公開されます。誹謗中傷・公序良俗に反する投稿は削除されます。

※サイト運営スタッフにより内容が確認後公開されます。24時間以内に確認されます。

関連する活動報告

人気のある活動報告

オススメ書籍

「正しい政策」がないならどうすべきか: 政策のための哲学

「正しい政策」がないならどうすべきか: 政策のための哲学

リベラルとは何か-17世紀の自由主義から現代日本まで

リベラルとは何か-17世紀の自由主義から現代日本まで

日本の政策はなぜ機能しないのか? EBPMの導入と課題

日本の政策はなぜ機能しないのか? EBPMの導入と課題

EBPM[エビデンス(証拠・根拠)に基づく政策立案]とは何か 令和の新たな政策形成

EBPM[エビデンス(証拠・根拠)に基づく政策立案]とは何か 令和の新たな政策形成

川原田英世

新着記事

検索

政治家の名前検索、公約の検索が行えます。

ランキング

政治家や公約の各種ランキングを見ることができます。

ランダム評価

公約・政策がランダム表示され評価することができます。

選挙情報

今からの選挙・過去の選挙結果などが確認できます。

アンケート

当サイトで行っているアンケート・投票にご協力ください。

「先生の通信簿」は、議員や首長など政治家の公約・政策を「みんなで」まとめるサイトです。また、公約・政策に対しては、進捗度・達成度などを含めたご意見・評価を投稿することができます。

政治家や議員の方は、公約・政策を登録し有権者にアピールすることができます。また、日頃の活動報告も登録することができます。

選挙の際に各政治家の公約達成度や実行力など参考になれば幸いです。

※この情報は当サイトのユーザーによって書き込まれた内容になります。正確で詳しい情報は各政治家・政党のサイトなどでご確認ください。

X (Twitter)

標準偏差:20.76