2025-08-05 コメント: 1件 ▼
沖縄県ワシントン事務所で越権契約発覚 米法律事務所と無断締結、非弁疑惑も
沖縄県ワシントン事務所で駐在職員が越権契約 米法律事務所と無断締結、非弁疑惑も
沖縄県の米ワシントン事務所を巡る一連の問題で、決裁権限のない現地駐在職員が米国の法律事務所と無断で契約を結んでいたことが明らかになった。県は今年3月まで契約の事実すら把握しておらず、ずさんな行政運営の実態が改めて浮き彫りになった。ワシントン事務所は6月に閉鎖されたが、百条委員会での調査により新たな問題が次々と発覚している。
8月5日に開かれた沖縄県議会の調査特別委員会(百条委員会)で、県基地対策課の玉元宏一朗課長が事実を認めた。玉元課長は「調査検証委員会の依頼を受け、米法律事務所に確認したところ契約書が存在することが分かった」と証言。今年3月になって初めて契約書を確認したと説明した。契約を交わしたのは初代と2代目の所長で、いずれも正式な決裁権限は持っていなかった。
非弁行為の疑いと契約の背景
今年3月、県の調査検証委員会が公表した報告書は、県が業務委託していた米コンサルティング会社「ワシントンコア社」が米国の法律事務所へ業務を再委託していた点を問題視。「無資格者による法律事務」に当たる非弁行為の可能性が否定できないと指摘していた。このため、委員会では「非弁行為を解消するための契約ではなかったのか」という疑念が浮上した。
公明党の高橋真委員は百条委で、「決裁権限のない職員が結んだ契約は間違いなく違法だ。事実を踏まえて反省し、改善しなければ同じ過ちを繰り返す」と厳しく批判。さらに、「非弁行為の疑いを隠すために契約を交わした可能性」を追及した。
「契約が非弁行為のカモフラージュだったのでは」
「県民の税金で運営する事務所が越権行為、信じられない」
「こういう不祥事は閉鎖して終わりではない」
「責任の所在を明確にしないままでは再発必至」
「海外事務所のガバナンスを根本から見直すべき」
こうした声はSNS上にも広がり、行政の説明責任を求める世論が高まっている。
県の説明と責任の所在
県側は「適正でないことは間違いないが、完全に違法かどうかは断定できない」と述べ、違法性の明確な判断を避けた。だが、契約締結から事実確認まで長期間放置された経緯や、権限のない職員が国際契約を結んだ事実は、行政内部の統制不足を示すものである。
ワシントン事務所は、沖縄県が米国との情報交換やロビー活動の拠点として運営してきたが、その運営実態についてはこれまでも不透明さが指摘されていた。特に契約や経費の管理に関しては監査体制が十分でなく、現地判断に依存する傾向が強かった。
海外事務所運営の課題
海外事務所は、現地の法制度や商習慣に合わせた対応が求められるため、契約や業務執行の手続きはより慎重であるべきだ。しかし今回の件では、契約権限の範囲や承認プロセスが曖昧なまま運営されていた可能性が高い。こうした不備は、現地での活動が県民の利益につながらないだけでなく、法的リスクを招く。
さらに、海外事務所の閉鎖は問題の幕引きではなく、再発防止策の徹底と過去の契約・経費の精査が不可欠である。監査機関や議会による継続的な検証を怠れば、類似の不祥事が別の形で再び発生しかねない。
再発防止への提案
今回の事案を受け、識者からは「海外事務所の設置や契約は県庁本庁で一元管理すべきだ」との声が上がっている。現地事務所の責任者に契約権限を持たせる場合でも、事前承認と事後報告を義務づける制度の明確化が必要だ。加えて、現地で法律事務を行う場合は、必ず有資格者を通じた契約に限定することが望ましい。
県議会の百条委員会は、今後も関係者の証人喚問や資料提出を進め、契約経緯や責任所在を明らかにする見通しだ。議会側からは「閉鎖で幕引きにせず、検証を県民に見える形で続けるべき」との声が強まっている。
沖縄県の海外活動は、基地問題を含む国際的課題への対応や観光振興など、多岐にわたる役割を持つ。しかし、今回の越権契約問題は、その活動の信頼性を根底から揺るがすものとなった。行政運営の透明性と説明責任を確立しない限り、県民の理解と支持を得ることは難しいだろう。