2025-07-11 コメント: 1件 ▼
沖縄県が「ラーケーション」試行導入へ 家族と過ごす“学校を休める日”が平日に3日間
家族時間をつくるための「公認欠席」
子どもが平日に学校を休み、家族と一緒に過ごす——そんな新しい学びのかたち「ラーケーション」制度が、ついに沖縄県でも始まる。県教育庁は11日、本年度の2学期から県立学校全86校で、平日に休んでも“欠席扱いにならない”制度を試行導入する方針を明らかにした。
「ラーケーション」とは、「Learning(学び)」と「Vacation(休暇)」を組み合わせた造語。もともとは家族の絆を深めるために、教育現場が柔軟な対応を取る動きから生まれたものだ。沖縄県が今回導入する試行制度では、「県立学校家族休暇制度」という名称で、県立高校59校、特別支援学校23校、県立中学校4校の計86校が対象となる。
制度の概要は以下の通り。
* 取得可能日数:年度内で3日間(1日単位/連続でも可)
* 利用期間:2024年2学期~2025年3月末まで
* 利用条件:保護者の同伴が必須
* 活用例:家族旅行、自宅での団らん、祖父母との時間など
* 注意点:始業式やテスト日、入学式など特定日は利用不可
県は7月中に保護者や生徒への周知を進め、3学期にアンケートを実施。利用状況や課題を把握し、早ければ2026年度以降の本格導入を目指す。
背景に“働く親のリアル”
沖縄県でこの制度が導入される背景には、地域ならではの事情がある。県内では宿泊業や飲食業、観光関連など第3次産業に従事する家庭が多く、親の休日と子どもの学校の休みが一致しないという声が根強かった。
「家族で出かけたくても、子どもが学校だと難しい」「休ませたら欠席になるのが不安」という声に対し、今回の制度は「公認の休み」という形で応えたことになる。
「こういう制度、ずっと欲しかった。家族でゆっくりする時間、大事」
「学校=全部出席が当たり前、って価値観が変わるのは良いこと」
「観光業してると、普通の休みじゃ家族で出かけられないんだよね」
「子どもに“休んでもいい”って選択肢を持たせるのは大切」
「『ズル休み』と違って、ちゃんと家族の時間になるのがいい」
こうしたネットの反応からも、「欠席=悪」という従来の価値観を柔軟に捉え直す動きが、親世代に歓迎されていることがうかがえる。
“学び”は教室の中だけではない
制度の根幹にあるのは、「学びは教室だけにあるものではない」という考え方だ。家庭での会話、地域とのふれあい、自然との接触など、日常の中にこそ大切な学びがあるという価値観を、教育行政が正式に認めたとも言える。
文部科学省も近年、「不登校支援」や「多様な学びの保障」をキーワードに、学校以外の学習や体験活動を評価する方針を進めており、沖縄の「ラーケーション」はこうした流れと一致する。
もちろん課題もある。休暇取得に家庭環境の差が影響する可能性や、テスト前後の扱い、教員側の対応負担など、慎重な検証が求められるが、まずは「3日間」という限定的な導入で様子を見る構えだ。
全国に広がる可能性も
すでに一部の自治体では、名称や内容は異なるが、同様の“柔軟な登校制度”が導入され始めている。沖縄県が今回、県立学校全体で導入することで、他府県への波及効果にも期待がかかる。
家族の時間を大切にしたい。子どもにゆとりある選択を与えたい。そんな想いが、行政の制度として形になった意義は大きい。