2025-06-23 コメント投稿する ▼
玉城知事が専守防衛と平和外交を強調 辺野古移設への批判もにじませる
玉城知事「抑止力だけでは平和守れぬ」 専守防衛と対話外交を訴え
6月23日、沖縄戦の犠牲者を悼む沖縄全戦没者追悼式の終了後、玉城デニー沖縄県知事が記者団の取材に応じた。取材の中で玉城知事は、「抑止力の増強だけで平和を維持できるものではない」と述べ、安全保障政策に偏重する政府の姿勢に懸念を示した。
知事は、「真に国民が理解できる専守防衛に徹し、諸外国との対話による平和外交を構築することこそが、沖縄の求める恒久平和の実現につながる」と力を込めた。あくまで「軍備による抑止」ではなく、「外交による安定」を主眼に置いた国家戦略を求める姿勢を鮮明にした形だ。
この発言は、防衛費の倍増や敵基地攻撃能力の保有など、防衛政策が急進している近年の政府方針への牽制とも受け取れる。特に、南西諸島を取り巻く地政学的リスクが強調される中、沖縄における安全保障論議は緊張を帯びており、玉城知事の姿勢は「対話重視・専守防衛堅持」の対抗軸を示すものとなっている。
「専守防衛の原則が形骸化してる。知事の訴えはもっと注目されるべき」
「軍備よりまず外交でしょ。戦争の地になった沖縄だからこそ説得力ある」
辺野古移設反対、言葉ににじませる強い意志
今年の「平和宣言」では、例年強く打ち出されてきた「辺野古移設反対」の表現がやや後退して見えた。これについて玉城知事は、「新基地建設問題という言葉の中に、いまだに基地問題の厳しい状況が続いていることを込めた」と説明し、辺野古反対の立場に変化はないと明言した。
さらに、現在政府が進める辺野古埋立については、「辺野古に埋め立てすることが解決であるというのはロジックのまやかし」と批判。「設計変更承認申請が出てくれば、法律に照らして厳しくチェックしていく」と語り、行政的手段を通じて対抗していく姿勢を示した。
移設反対を明言しながらも、あえて直接的な表現を避けた背景には、政府・防衛省との軋轢を避ける意図もあると見られる。一方で、知事としての信念は「表現の節度の中にしっかり込めた」という構えだ。
「あえて言葉を抑えたのは戦略的だったのかも」
「辺野古が解決じゃないって、もっと政府に突きつけるべき」
歴史認識問題にも言及、西田議員発言に不快感
また、今月話題となった自民党・西田昌司参院議員の「ひめゆりの塔」を巡る発言についても触れた玉城知事は、「個人の思想信条の考え方から沖縄戦をとらえようとすることに無理がある」と断じ、不快感を改めて表明した。
沖縄戦の体験や記憶は、個々の思想を超えた公共的な歴史として受け止めるべきであり、政治的立場によって評価や描写が変わるべきではないというのが、知事の基本的な立場である。
こうした発言は、沖縄の戦争体験の風化に対する強い危機感とも言え、戦後80年の節目にあって「記憶の継承」を軸に据えた発信が際立っていた。
3権の長と国際社会からの注目
今年の追悼式には、岸田文雄首相をはじめとする衆参議長、最高裁長官の3権の長が30年ぶりに揃って出席した。また、国連の軍縮担当上級代表である中満泉氏や、ノーベル平和賞を受賞した日本被団協の田中重光代表委員も参列。沖縄戦と平和の記憶が、国内外で改めて注目される形となった。
玉城知事はこれについて、「沖縄から平和な社会を築いていきたいという思いを、次の世代に継承できた」と語り、未来志向の姿勢をにじませた。
今回の式典は、単なる追悼にとどまらず、沖縄の歴史的背景を踏まえた「平和のあり方」を改めて国に問い直す場ともなった。沖縄からの発信が、今後の日本の安全保障と外交のあり方にどう響くのかが問われている。
「これを一過性のイベントで終わらせちゃダメ。恒久平和は訴え続けるしかない」