2025-04-23 コメント投稿する ▼
沖縄県、宿泊税の条例提出を見送り 住民非課税案を再検討へ
沖縄県、宿泊税の導入計画を再考
沖縄県は2026年度の導入を目指していた宿泊税について、6月の県議会定例会での関連条例案の提出を見送る方針を固めた。県は離島自治体や県議会からの反発を受け、住民に対する課税のあり方を見直す必要があると判断し、制度設計を再考することとした。
住民への課税免除案を再検討
県が検討を始めたのは、広島県の宮島地域で実施される「原因者課税」の仕組みを参考にする形だ。この考え方では、観光によって地域に負担をもたらす「原因者」である観光客に課税し、地域住民には非課税とするのが特徴。これにより、住民生活に配慮した持続可能な課税制度を目指す。
沖縄県もこれまで、県民を含む全宿泊者を課税対象とする方針をとっていたが、離島住民の移動には船舶や航空機の利用が不可欠であり、宿泊が必要となる場合も多い。そのような状況下での課税は「二重の負担」であるとして、離島自治体から免除を求める声が強まっていた。
離島自治体の反発と県議会の動き
離島からの反発は強く、石垣市、宮古島市、久米島町、竹富町の4つの地方議会は、住民の宿泊に対する課税免除を求める意見書をそれぞれ可決している。また、県議会内でも公平性と生活実態の乖離を指摘する声が相次ぎ、条例案の提出は見送りを余儀なくされた。
当初、県は税の公平性の観点から一律課税を主張していたが、地域事情への配慮不足との批判を受け、対応を見直す形となった。
国との調整、課題山積
今回、住民を非課税とする制度は、国内で前例が乏しいため、総務省との調整が不可欠だ。沖縄県は5月から調整作業を本格化させる方針だが、制度設計や徴税実務の整備には高いハードルがある。特に「居住者」の定義や、宿泊時の確認方法など技術的な課題が多く、実現には相当な時間を要するとみられる。
このため、2026年度の導入は現時点では極めて困難であり、計画全体の見直しも視野に入れる必要が出てきている。
- 沖縄県は宿泊税導入について6月議会での条例案提出を見送り。
- 離島自治体からの反対を受け、住民非課税とする制度設計を再検討。
- 広島県・宮島の「原因者課税」をモデルに、観光客のみ課税する案を模索。
- 石垣市、宮古島市など離島自治体議会が課税免除を求める意見書を可決。
- 総務省との協議は5月から開始予定、導入時期は大幅に遅れる見通し。
以上のように、沖縄県は「税の公平性」と「地域事情」のはざまで制度設計の難しさに直面しており、国との調整を含めた本格的な再構築が求められている。