2025-04-17 コメント投稿する ▼
沖縄県、性的少数者の「家族」を公的に承認 パートナーシップ・ファミリーシップ制度で初交付
沖縄県が「家族」の多様性を認める一歩 パートナーシップ・ファミリーシップ制度で初の証明書交付
沖縄県が3月末に導入した「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」で、初めての証明書交付式が4月17日、県庁で行われた。県内在住のカップルが対象となり、制度の本格運用が動き出したことになる。
交付を受けたのは、那覇市に住むランクウイスト龍哉さん(33)と與那嶺茉岐さん(33)のカップル。ふたりには小学生の娘がいる。「子どもが体調を崩したとき、病院で“家族として”説明を聞ける。それだけでもすごく安心」と、龍哉さんは実感を込めて語った。
茉岐さんも「この制度があることで、家族として認められたと感じられる」と目を細め、「母に報告したら『よかったね』と笑ってくれた。心が少し軽くなった」と話した。
沖縄県は、性的少数者や多様な家族のあり方を尊重し、法的には婚姻が認められていないカップルにも“家族としてのつながり”を認める制度を設けた。3月28日の制度開始から約3週間で、6組が届け出ており、今回が初の交付事例となった。
証明書の交付はあくまで“公的な承認”であり、法律上の婚姻関係ではない。つまり、戸籍上は家族とは認められない。だが、災害時の同行避難や病院での説明、県営住宅の入居など、一定の行政サービスにおいて“家族”と同様の扱いが受けられるようになる。
式典では、玉城デニー知事が証明書のレプリカを手渡し、「市町村にも取り組みが広がっていくだろう。家族として不自由のない暮らしができるよう、私たちも全力で支える」とエールを送った。
今回の交付を受けた龍哉さんは、現在も戸籍上の性別は変更できていないが、将来的には性別適合手術を受け、法的にも「同じ戸籍に入る」ことを望んでいる。「夢に少し近づけた気がします」と話す姿に、制度の重みと現実の壁がにじんだ。
県が導入したこの制度は、性的マイノリティに限らず、家族のかたちが多様化する現代社会において、公的な“つながりの証”として機能することが期待されている。一方で、同性婚の法制化を求める声は今なお強く、国の議論が停滞する中、地方のこうした動きが注目を集めている。
- 沖縄県が「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」を3月28日から開始
- 同制度に基づき、初の証明書交付を4月17日に実施
- 対象は県内在住のカップルとその家族。これまでに6組が届け出
- 法的効力はないが、県営住宅入居や災害時対応など行政サービスに一定の効果
- 龍哉さん「病院で“家族として”対応してもらえるのが安心」
- 茉岐さん「申請しやすい雰囲気が広がってほしい」
- 玉城知事「誰もが安心して暮らせる社会を」