2025-04-02 コメント: 1件 ▼
沖縄独立論の背後に潜む中国の影響力:工作活動の実態とは
特に昨年末、ルポライターの安田峰俊氏が『週刊現代』で報じた通り、沖縄における中国の工作は急激にエスカレートしています。では、その実態とは一体どうなっているのでしょうか。
中国の沖縄へのアプローチが活発化
2023年6月ごろから、中国の沖縄への関与は急増しました。SNSや動画サイトでは「琉球独立」や「沖縄は日本に迫害されている」といった主張を含むコンテンツが急増し、調査によれば、沖縄独立を煽る動画が200件以上拡散されていることが明らかになっています。さらに、中国の外交官や要人の沖縄訪問も増加しており、23年10月には呉江浩駐日大使、24年7月には福建省の周祖翼書記が沖縄を訪れました。特に、駐福岡総領事の楊慶東氏は年間3~4回も沖縄を訪れるなど、その頻度はかつてないほど高まっています。
この動きは、習近平主席が2023年6月1日に沖縄との歴史的なつながりに触れた発言がきっかけだとされています。習近平の発言は、その後、国内の官僚や学者、メディアなどによって過剰に解釈され、沖縄に対する工作が加速しました。結果として、中国国内では沖縄に対するさまざまな活動が始まったのです。
沖縄側の反応
一方、沖縄の反応についてですが、玉城デニー知事は「地域外交」を積極的に推進しており、現地では中国からのアプローチを受け入れている姿勢が見られます。玉城知事自身も取材に応じ、「ひとつの中国」を踏襲する立場を取っており、沖縄の中国寄りの姿勢が強調されているのが現状です。
とはいえ、玉城知事が中国側の訪問に対して欠席することが多いなど、外交のプロトコールに疎いことがしばしばあります。たとえば、福建省の周祖翼書記が訪沖した際、玉城知事はあろうことかレセプションに参加しなかったのです。このような態度は、沖縄における中国の工作が必ずしも成功しているわけではないことを示しています。
中国の工作の実態
中国側の工作活動については、一枚岩ではないことが大きな問題となっています。中国の外交機関や党統一戦線工作部(統戦部)系の団体が行っている活動と、ネット上で「琉球独立」や「沖縄は中国復帰を希望している」といった過激なプロパガンダが連携しているわけではありません。このため、中国の対沖縄工作は、各部門がバラバラに動いている状況であり、整合性のないものとなっているのです。
さらに、中国の学者たちの間では「琉球」というテーマに対する研究が盛んになり、研究資金を得るために「琉球問題」を持ち出すことが増えました。これもまた、中国の工作活動の一環として、習近平主席の発言を過剰に忖度する形で行われているのです。
ネット工作の限界と効果
中国発のネット工作についても、限界があると指摘されています。多くの工作動画は質が低く、沖縄の現地住民の心を動かすには不十分な内容だと考えられています。また、これらの動画はほとんどが中国語で発信されており、沖縄の人々に届くことは少ないのが実情です。
さらに、これらの動画は数が多いものの、質が低いため、影響力は限られていると見られています。沖縄の世論を動かすには、もっと効果的な戦略が求められるのは明らかです。
中国の沖縄工作の脅威とは
現状では、中国の沖縄工作は一部で進展しているものの、その効果には限界があると言わざるを得ません。沖縄県側の外交のリテラシーが低いため、工作がうまくいっていない面もあります。しかし、今後も中国のアプローチが続く可能性は高く、引き続き警戒が必要です。
中国側が本気で沖縄に影響力を強化しようとするならば、より統一的で戦略的なアプローチが必要になります。現状のままでは、「アガらない麻雀」のように、成功はおろか、無駄な時間を重ねるだけとなるでしょう。それでも、沖縄の安全保障にとって無視できない問題であり、引き続き注視が必要です。