2025-03-26 コメント投稿する ▼
沖縄県の公用車監査結果:定期点検未実施車両や安全管理体制の課題を指摘
沖縄県が実施した公用車の監査で注目すべき点の一つは、定期点検の実施状況です。令和5年度のデータによると、知事部局等が所有する公用車978台のうち、なんと131台(13.4%)が定期点検を受けていないことが明らかになりました。一方で、警察本部等が所有する1,027台の公用車のうち、832台(81.0%)も定期点検が実施されていなかったという驚きの結果が報告されています。
公用車の定期点検は、その安全性を確保し、長期間にわたって適切に運用するために非常に重要です。特に、定期的に点検を行わない車両は、故障のリスクや事故の原因となる可能性が高く、運転者の安全を脅かすことにもつながりかねません。しかし、現実には、予算の制約や車両管理の手間などが理由となり、定期点検が後回しにされているケースが多いことが浮き彫りになっています。
県はこれまで、予算の都合や管理体制の不備から定期点検を怠ることがあったと指摘されており、今回の監査結果はその現状を改善するための契機となるでしょう。定期点検の未実施車両がこれだけ多いことは、運用面での管理体制が不十分であることを示唆しており、今後は点検の実施を徹底させるための新たな対策が求められます。
また、定期点検の実施状況に関する詳細なデータが公表されたことにより、行政機関の公用車管理がより透明化し、市民に対して安全意識の向上を促す意味でも重要な一歩と言えるでしょう。沖縄県としても、これを受けて点検体制の強化や予算措置を講じることが急務となります。
■ 監査結果の主なポイント
- 公用車の保有状況:
知事部局等では、所有車両678台、借上車両300台の計978台を保有。警察本部等では、所有車両1,013台、借上車両14台の計1,027台を保有している。
- 車両の老朽化と稼働率:
知事部局等の所有車両では、経過年数12年以上の車両が多数を占め、年間走行距離が1,000km以上5,000km未満の車両が多い。平均稼働率は55.6%で、20%未満の稼働率の車両が76台存在する。警察本部等では平均稼働率が61.9%で、20%未満の車両は144台あった。
- 定期点検の実施状況:
令和5年度において、知事部局等の公用車978台のうち131台(13.4%)、警察本部等の1,027台のうち832台(81.0%)で定期点検が実施されていなかった。
- 安全運転管理者の選任状況:
知事部局等の86機関のうち9機関で安全運転管理者が未選任であり、選任から届出までの平均日数は知事部局等で116.9日、警察本部等で72.6日であった。
- 事故発生状況:
過去3年間(令和3年~令和5年)で、知事部局等の公用車で200件、公務使用自家用車で2件、警察本部等の公用車で436件の事故が発生。事故が3件以上あった20機関では、交通事故に関する和解等の専決処分が9件行われ、すべて議会へ報告されていた。
■ 改善が求められる主な事項
- 車両管理の効率化:
老朽化した車両の計画的な更新や、公用車の集中管理の推進が必要とされている。
- 安全運転管理の強化:
定期点検整備の徹底実施、安全運転管理者の適切な選任と届出、運行前点検の確実な実施が求められている。
- 事故防止対策の強化:
発生した事故事例の共有や、事故防止への取り組みの強化が必要であり、物品管理課管理車両および集中管理車両以外の車両を対象とした統一的な事故処理の手引きの作成が望まれている。
- 議会への報告義務の遵守:
交通事故に関する和解等の専決処分について、議会への報告を引き続き適切に行う必要がある。