2026-01-22 コメント投稿する ▼
ゆがふ製糖建て替え、26市町村全てが費用負担に合意 総事業費190億円、2026年度着工へ
ゆがふ製糖の建て替え、26市町村全てが費用負担に合意 総事業費190億円、2026年度着工へ。 沖縄県は2026年1月22日、本島唯一の製糖工場であるゆがふ製糖の建て替え費用について、関係する26市町村全てが県の提示した負担額に合意したと発表しました。 県は26市町村の合意を得たことで、2026年1月22日に建て替え工事に向けて国の補助金を申請しました。
農業インフラ
ゆがふ製糖の建て替え、26市町村全てが費用負担に合意 総事業費190億円、2026年度着工へ
沖縄県は2026年1月22日、本島唯一の製糖工場であるゆがふ製糖の建て替え費用について、関係する26市町村全てが県の提示した負担額に合意したと発表しました。総事業費約190億円の巨大プロジェクトが動き出します。県と市町村の負担割合は「県3:市町村1」で決着し、同日、建て替え工事に向けて国の補助金を申請しました。玉城デニー知事は「市町村やJAおきなわなど関係者と連携し、製糖工場の整備とサトウキビの生産振興に全力で取り組む」とコメントしています。
費用分担の経緯
ゆがふ製糖の建て替えに関する費用分担を巡っては、長期間にわたって協議が続けられてきました。総事業費約190億円のうち、約130億円は国の補助金で賄い、残りの60億円あまりを県、26市町村、ゆがふ製糖で分担します。
県は当初、県と市町村の負担割合を「1対1」とする案を示していましたが、現在生産者のいない自治体から軽減を求める声が上がりました。これを受けて県は2025年12月に負担割合を「2対1」に見直し、県の負担分を増やしました。
しかし、一部の市町村からは「検討に時間が必要」との声が出たため、県は2026年1月8日の意見交換会で負担割合をさらに「3対1」に変更する案を提示しました。この案では県が約45億円、市町村が約12億円を負担することになります。
「190億円って巨額すぎる。本当に必要なの?」
「サトウキビ産業が沖縄経済を支えてきた歴史を考えれば、必要な投資だと思う」
「うちの市はサトウキビ作ってないのに負担しないといけないのか」
「関連産業も含めれば全市町村に影響があるから、協力は当然でしょ」
「26市町村全部が合意したのはすごい。よく調整できたね」
ゆがふ製糖の現状
ゆがふ製糖は1958年に琉球農協連が設置した製糖工場で、前身の会社を含めると操業開始から60年以上が経過しています。沖縄が日本に復帰する前に建設された工場で、現在も本館や倉庫、ボイラー、圧搾機などの基本部分は60年以上が経過しており、老朽化が深刻な状況です。
ボイラーの故障で操業停止を余儀なくされるなどのトラブルは毎年のように発生しています。農家が安心してサトウキビを生産するためにも、安定操業できる新工場の整備は急務となっていました。
ゆがふ製糖は現在、沖縄本島の全26市町村、4300戸、29の農業生産法人が作るサトウキビを一手に引き受けています。2024年から2025年期には約2300ヘクタールで栽培されたサトウキビを処理し、約1万4000トンの砂糖を生産しました。
本島唯一の製糖工場であるため、工場が無くなれば影響が全域に広がります。そのため県は各自治体にも事業費負担を求め、理解を求めてきました。
事業費の圧縮努力
ゆがふ製糖の建て替え費用は、当初300億円規模と見込まれていました。しかし、高額な事業費が壁となり、事業主体が決まらず難航していました。
そこで同社は、工場の処理能力の引き下げや施設・機械、建屋の調達方法を見直しました。設備について国産に比べ安価な外国産の導入を検討するなどして、事業費を264億円まで圧縮しました。
その後、円安の影響を受けた建設費の高騰などにより、総事業費は約190億円となりました。当初の見積もりから大幅に削減されたことで、自治体の負担も軽減されました。
新農協の設立
建て替え事業を実現するため、2026年1月13日に「沖縄県さとうきび農業協同組合」が設立されました。サトウキビ関連の農協は沖縄県で初めてです。組合長に就任した朝比奈大地氏は「10年、20年先にサトウキビを存続させていかなければいけない」と語りました。
新農協の設立には、自治体の負担を軽減する狙いがあります。公共団体が事業主体の場合に利用できる「補正予算債」を活用することで、事業費の5割を地方交付税で補える仕組みとなります。民間企業のみでは使えないため、農協の立ち上げがカギとなりました。
補助金申請と今後の見通し
県は26市町村の合意を得たことで、2026年1月22日に建て替え工事に向けて国の補助金を申請しました。国の支援事業の申請期限が22日だったため、ぎりぎりのタイミングでの申請となりました。
市町村から合意を得られたことで、新工場の整備は、早ければ2026年度中にも本格着手の見通しです。完成は2030年度までを目指しています。
関係者の反応
ゆがふ製糖建て替えの費用分担を巡る協議がついに決着したことで、関係者からは基幹作物の安定生産に期待する声が上がっています。サトウキビは沖縄の伝統的な基幹作物であり、製糖工場の安定操業は農家にとって不可欠です。
一方で、サトウキビ産業の将来性や自治体財政への影響を懸念する意見も聞かれます。サトウキビ生産農家の高齢化や後継者不足が進む中、190億円という巨額の投資が将来にわたって回収できるのかという疑問の声もあります。
また、現在サトウキビを生産していない自治体からは「農地がない地域でも負担しなければならないのか」との不満の声も出ていました。これに対して県糖業農産課は「農地がない地域でも運送や肥料・農薬など関連産業がある」とし、理解を求めてきました。
サトウキビ産業の重要性
サトウキビは沖縄経済を支える重要な基幹作物です。製糖業だけでなく、運送業、肥料・農薬販売業、農機具販売業など、関連産業も含めると、その経済波及効果は大きいものがあります。
また、サトウキビは台風に強い作物として知られており、沖縄の農業にとって欠かせない存在です。他の作物が台風で被害を受けても、サトウキビは比較的被害が少なく、農家の収入を安定させる役割を果たしています。
さらに、製糖工場で発生するバガス(搾りかす)は、バイオマス発電の燃料としても活用されており、再生可能エネルギーの観点からも注目されています。
課題と展望
ゆがふ製糖の建て替えが実現すれば、沖縄本島のサトウキビ産業は安定的な基盤を確保できます。しかし、農家の高齢化や後継者不足という根本的な課題は残されたままです。
新工場の建設と並行して、サトウキビ生産の振興策も必要です。若い世代が農業に魅力を感じるような支援策や、スマート農業の導入など、生産性を向上させる取り組みが求められています。
また、砂糖の消費量減少という全国的な傾向も懸念材料です。健康志向の高まりから、砂糖の消費は減少傾向にあります。製糖業界は、高付加価値商品の開発や新たな用途の開拓など、需要を喚起する努力が必要です。
ゆがふ製糖の建て替えは、沖縄の伝統産業を守るための重要なプロジェクトです。26市町村全てが費用負担に合意したことで、事業は大きく前進しました。
今後は国の補助金を得て、2026年度中にも本格着手する見通しです。新工場が完成すれば、サトウキビ農家は安心して生産に取り組むことができます。
一方で、サトウキビ産業の持続可能性を高めるためには、生産振興策や需要喚起策など、総合的な取り組みが不可欠です。県、市町村、JAおきなわ、そして農家が一体となって、沖縄のサトウキビ産業を次世代につなげていくことが求められています。