2025-12-11 コメント投稿する ▼
仲村覚氏が玉城デニー知事に3億2500万円返還求め提訴 沖縄ワシントン事務所問題
仲村覚氏が玉城知事を提訴、ワシントン事務所問題で「脱法的支出」と痛烈批判。 11月21日付での提訴により、約9年間にわたって続いた「疑惑のデパート」状態の事務所問題は、司法の場での決着が注目される。
3億2500万円返還要求
仲村覚氏が玉城知事を提訴、ワシントン事務所問題で「脱法的支出」と痛烈批判
沖縄県の米ワシントン事務所問題が新たな局面を迎えた。2025年12月11日、ジャーナリストの仲村覚氏(61)が、重大な法的瑕疵があるにも関わらず県が漫然と公金を支出したとして、玉城デニー知事(66)に対し計約3億2500万円の返還を求める訴訟を那覇地裁に提起した。11月21日付での提訴により、約9年間にわたって続いた「疑惑のデパート」状態の事務所問題は、司法の場での決着が注目される。
「脱法的支出」で県議会の監視を回避
提訴したのは沖縄在住のジャーナリストの仲村覚氏で、那覇市内で記者会見し、「『オール沖縄』の知事によって2代にわたり不正が行われた」と指摘した。請求金額は、実態のない株式会社として事業者登録されていた「ワシントンDCオフィス」社の支援のため、県が業務委託した米コンサルティング会社「ワシントンコア」社へ支払われた2019年度から2023年度までの委託料の合計額だ。
訴状では、委託料から再委託費として捻出させることで、県議会の監視を免れる「脱法的な支出」が行われたほか、法人設立時などに公的な意思決定手続きが取られておらず、県としての意思決定プロセスに重大な瑕疵があったとしている。
玉城デニー知事は2024年10月末の記者会見で「先日、事務方から報告を受けた」と述べ、自身も会社の存在を知らなかったことを明らかにしたが、9年間にわたって県議会への報告が一切行われていなかった実態が判明している。
現場では県民の怒りの声が高まっている。
「知事の減給でごまかすわけにはいかない。」
「誰も責任を取らないのは許せない」
「違法な行為があったのに、誰も責任を取らないままワシントン事務所は閉鎖されてしまった」
「これだけの税金が適切に使われていたのか、不正な支出がなかったのか、徹底的な検証が必要」
「県民の血税を使った事業で、9年間にわたって違法状態が続いていたという事実は極めて重大」
提訴者・仲村覚氏の経歴と立場
仲村覚氏は1964年、米国統治下の沖縄那覇市生まれで、1979年に陸上自衛隊少年工科学校に入校し、卒業後は航空部隊に配属された。1991年に退官し、複数の企業勤務を経て2009年、民間団体「沖縄対策本部」を設立した。
ジャーナリストとして扱うテーマは沖縄を中心とした沖縄県政や国際政治、沖縄独立論批判や日米関係、安全保障や中国関係の記事を多数執筆・寄稿し、北朝鮮拉致問題などにも取り組んでいる。特に、オール沖縄率いる翁長雄志知事や活動家が牽引する沖縄独立論に関しては批判的な立場を取ってきた。
同氏は一般社団法人日本沖縄政策研究フォーラム理事長として、沖縄の安全保障問題や中国の琉球独立工作に関する研究活動を展開している。これまでにも沖縄県政の問題を追及してきた実績があり、今回の提訴も一連の活動の延長線上にある。
ワシントン事務所問題の全容
ワシントン事務所は翁長雄志知事時代の2015年4月に普天間基地移設問題をアメリカ側に直接訴える目的で開設された。しかし、駐在職員のビザを取得するために、県が100%出資する「株式会社沖縄県ワシントン事務所」を設立したが、アメリカ合衆国移民・関税執行局に提出した資料では、「沖縄県から直接雇用されることはない」「株式会社が雇用を担っている」などと記載していたにもかかわらず、実際は県職員の身分を有した地方公務員のままであった。
調査検証委員会の最終報告では「DCオフィス社の設立手続に重大な瑕疵があることは明らかであって、その瑕疵が連鎖する形でその後の運営も含めて違法となる可能性は否定できない」と厳しく指摘されている。
2025年3月28日の県議会2月定例会最終本会議で、事務所の経費約3900万円を含む令和7年度一般会計当初予算案は、野党が出した同事務所経費全額を削除し予備費に移す修正案が、野党、中立会派による賛成多数で可決された。これにより、同事務所の閉鎖が確実となった。
玉城知事の対応と批判
玉城知事は自身の給与を減額する議案を県議会12月定例会に提出しているが、仲村氏は「知事の減給でごまかすわけにはいかない。県民運動として真相を明らかにしていきたい」と強調した。
玉城知事は「このような事態を引き起こし、非常に申し訳ない」と謝罪し、行政の長として「今後、しっかり監督する点において、私に大きな責任がある」と述べたものの、約10億円にのぼる税金投入の責任追及としては不十分との批判が高まっている。
県議会の調査特別委員会(百条委員会)で疑惑の追及が続いているが、玉城知事は事務所の早期再開に前向きな姿勢を示している。しかし、法的瑕疵が指摘された状況での再開方針には、県民から強い反発の声が上がっている。
今回の提訴により、ワシントン事務所問題は政治的な責任追及から法的責任の追及へと新たな段階に入った。県議会での百条委員会による調査と並行して、司法の場での事実解明が進むことで、約9年間続いた「疑惑のデパート」の全容解明が期待される。