2025-12-02 コメント投稿する ▼
オキちゃん 死亡で幕 引退ではなく永遠の安らぎに
沖縄県本部町の沖縄美ら海水族館は2025年12月2日、飼育中のミナミバンドウイルカ「オキちゃん」(推定52歳)が死亡したと発表しました。 以来、1975年から50年間にわたり、イルカショー「オキちゃん劇場」で多くの来館者に親しまれてきました。 オキちゃんの死は、単なる一頭のイルカの喪失だけではありません。
50年の歴史に幕 「オキちゃん」死す──沖縄美ら海水族館の顔が消えた日
沖縄県本部町の沖縄美ら海水族館は2025年12月2日、飼育中のミナミバンドウイルカ「オキちゃん」(推定52歳)が死亡したと発表しました。水族館によると、夏ごろから体調不良が続き、今回は高齢による身体機能の低下に伴う疾患が主な原因と見られており、今後、詳細な死因についての調査が行われるとのことです。
オキちゃん 50年にわたる“沖縄の顔”
オキちゃんは1975年、沖縄が本土復帰を果たした年に開催された沖縄国際海洋博覧会(海洋博)にあわせて、奄美大島からやってきました。以来、1975年から50年間にわたり、イルカショー「オキちゃん劇場」で多くの来館者に親しまれてきました。水族館の看板的存在として、何代にもわたる観光客や地元の人々を魅了し続けました。
特に最近では、2025年5月に飼育50年を迎え、その功績が評価されて沖縄県から「観光特別賞」が贈られていました。日本国内で飼育されているミナミバンドウイルカの中では、最長の飼育記録を更新中でした。
飼育員からは「クールだが優しい」「新入りのイルカに最初に寄り添う」という声が聞かれ、その穏やかで落ち着いた性格が多くの人から尊敬されていたと語られていました。そうした人柄(イルカなのに「性格」と言ってしまいたくなる存在感)が、長年にわたって人々の心に残っていたようです。
“オキちゃんロス” 拡がる 沖縄と全国からの追悼
オキちゃんの訃報は、水族館のファンのみならず、沖縄県民や観光で訪れた人々の間にも衝撃を与えています。SNSやネット上では、こんな声があがっています:
「子どものころオキちゃんのジャンプを見て感動した。大好きだった。ありがとう」
「沖縄旅行であのショーを見なければ始まらないと思ってた。すごく寂しい」
「50年も頑張ってくれて、本当にすごい。ご冥福を祈ります」
「オキちゃんを見に毎年家族で来てた。オキちゃんがいない美ら海水族館なんて想像できない」
「長生きしてくれてありがとう。優しいイルカ、大好きだった」
オキちゃんは単なる水族館の動物ではなく、多くの人にとって「思い出そのもの」だったことがうかがえます。
一方で、同館はこの数年で、他の長寿イルカの死も経験しています。例えば2024年には「クロ」、2025年夏には「サミ」が相次いで亡くなっており、オキちゃんの死は“終わり”ではなく、“節目”とも受け止められています。
思い出とこれから──美ら海水族館の役割と責任
オキちゃんの死は、単なる一頭のイルカの喪失だけではありません。50年という長い年月にわたり、水族館が果たしてきた役割、そしてこれからの水族館の在り方を考える機会を投げかけています。
水族館は、単に海の生き物を「見せる」場所ではありません。訪れた人に海の生き物の美しさや多様性を伝え、自然への関心や理解を育てる教育の場でもあります。オキちゃん――そして、その仲間たちが残した“思い出”は、そうした水族館の価値を象徴するものだったと思います。
同時に、飼育下での長期飼育には多くの責任が伴います。動物福祉や健康管理、最期まで命を見守る覚悟が必要です。オキちゃんがたどった50年は、そうした責任の重みを示すものでもありました。
この先、美ら海水族館がどのような道を歩むのか――新たな展示、新たな世代の生き物たちによるショー、あるいは「命」の教育。それは、オキちゃんと、その仲間たちが築いてきた土台の上にあります。
多くの人が「ありがとう」と言いたい。オキちゃん、お疲れさまでした。そして、安らかに。