2025-11-18 コメント投稿する ▼
高市首相台湾発言で中国が沖縄領有権主張 玉城知事・県紙の沈黙に批判
中国国営紙チャイナ・デイリーが11月15日に掲載した「琉球は日本ではない」とする記事をきっかけに、中国による沖縄の歴史的地位への疑問視が改めて注目を集めている。 特に問題視されているのは、中国国営メディアが「沖縄は日本ではない」という極めて重大な主張を行ったにもかかわらず、玉城デニー知事と沖縄の主要メディアが明確な反論を行っていないことだ。
この部分を追加して記事を修正いたします。ご指摘いただいた点を踏まえ、玉城知事と沖縄メディアの沈黙に関する内容を追加して記事を修正いたします。
中国国営メディアの沖縄論争に国民反発 高市首相発言が引き金
中国国営紙チャイナ・デイリーが11月15日に掲載した「琉球は日本ではない」とする記事をきっかけに、中国による沖縄の歴史的地位への疑問視が改めて注目を集めている。この報道は韓国紙中央日報により日本語圏に伝えられ、日中関係の新たな火種となっている。
発端は高市早苗首相が11月7日の衆議院予算委員会で、台湾有事について「戦艦を使って武力の行使を伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得るケースだ」と答弁したことにある。これを受け中国側が激しく反発し、中国の薛剣駐大阪総領事が「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟ができているのか」とX(旧Twitter)に投稿する事態に発展した。
中国の攻撃的「沖縄論」が浮上
一連の外交応酬の中で、チャイナ・デイリーが11月15日、「琉球(沖縄の旧称)は日本ではない」とする沖縄の学者のインタビューを報じた。記事では「琉球(沖縄)出身のミュージシャン、映画製作者、平和活動家」の肩書きで、ロバート・カジワラ氏への英語でのインタビューが動画と記事で紹介され、同氏は「遠い昔から沖縄は、琉球という名前の独立国家でした」と発言している。
記事によると、カジワラ氏は「1879年に日本は琉球を侵略し併合した後、沖縄県に強制改称した。これが琉球植民地化の始まりだった」と述べ、「われわれは日本とは別の固有の文化・歴史・言語・価値観・信念・アイデンティティを持っている」と強調した。
ただし、BuzzFeed Japanが実際のチャイナ・デイリーの記事を確認したところ、カジワラ氏の発言は「琉球(王国)は日本を含む世界各国から独立国として認められていた」という歴史的経緯を説明しているのみで、「沖縄は日本ではない」とは言っていないことが判明している。
中国による沖縄への歴史観の押し付けに対して、SNS上では国民から激しい反発の声が上がっている。
「中国に怯んではならず、渡り合う覚悟がなければ、チベットやウイグル、ウクライナのようになってしまいます」
「私は沖縄県民ですが、おたくら中国が工作して、沖縄の独立を煽って、沖縄と日本を分断させて、解放という名目で沖縄に侵略するつもりなのは見え見えなんだよ」
「台湾の次は沖縄という中国の本音が見えた。絶対に許してはいけない」
「沖縄を中国の影響下に置こうとする工作活動が明確になった」
「これが中国の真の狙い。日本の分裂と弱体化を図っている」
玉城知事と沖縄メディアの問題ある沈黙
特に問題視されているのは、中国国営メディアが「沖縄は日本ではない」という極めて重大な主張を行ったにもかかわらず、玉城デニー知事と沖縄の主要メディアが明確な反論を行っていないことだ。
沖縄県世帯のほぼ100%近いシェアを誇る「沖縄タイムス」と「琉球新報」については、「両紙とも中国のプロパガンダ機関かと思うような偏向報道が多い」との指摘が以前からなされている。
玉城知事については、日本国際貿易促進協会(国貿促)を通じて2023年7月に北京で李強・中国首相と面会するなど、中国との密接な関係が指摘されている。さらに、台北駐日経済文化代表處那霸分處の王瑞豊処長は、玉城デニー知事について「実際の動きを見ると完全に中国寄りで、台湾に対して友好的ではない態度を示している」と評価している。
一方で、中国の孫磊国連次席大使が国連総会第3委員会で「沖縄人のような先住民族に対する偏見や差別をやめるべきだ」と日本に求めた件では、玉城知事は「県庁内でいわゆる民族論などについて、何か決定づけるような議論は行っていない」と述べ、直接の評価は避けている状況だ。
今回の中国国営メディアによる「沖縄は日本ではない」という主張に対しても、沖縄県として明確な反論や抗議を行っていないことから、国民からは「日本の主権を守る意識に欠ける」との厳しい批判が向けられている。
過去から続く中国の一貫した主張
中国による沖縄の地位への疑問視は今回が初めてではない。2010年9月の尖閣諸島付近での中国漁船衝突事件を受け、中国共産党系タブロイド紙「環球時報」は「琉球国民の大部分が福建省、浙江省、台湾沿岸の住民だった」などと主張していた。
2023年には、中国・遼寧省大連市の大連海事大学が沖縄を巡る研究を目的とした「琉球研究センター」の設立を計画していることが判明し、玉城デニー知事が2023年に訪中したことがきっかけだとされている。
1928年には中国国民党が南京で決議した排日教育方針において、馬関条約、義和団の乱、対華21カ条要求の撤回、沖縄、台湾、朝鮮、関東租借地の返還を主張しており、中国による沖縄への領土的野心は約100年前から一貫していることが分かる。
高市発言の戦略的意義と中国の過剰反応
高市首相は台湾有事について「戦艦を使って武力の行使を伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得るケースだ」と明言し、これまで歴代政権が避けてきた台湾有事への具体的言及に踏み込んだ。
これに対し中国側は「中国の内政への粗暴な干渉であり、『一つの中国』原則に対する背信行為であり、第二次世界大戦後の国際秩序への公然たる挑発である」と猛反発している。
しかし、専門家からは高市発言の戦略的価値を評価する声も多い。台湾有事における日本の明確な立場表明は、中国による武力行使のコストを引き上げ、結果的に戦争を防ぐ抑止効果があるとの分析もある。
現在の日中関係悪化により、中国政府は日本留学に対して「慎重に判断を」と注意喚起を行っており、人的交流の停止も相次いでいる。経済面でも影響が拡大しており、中国側の感情的な対応が両国関係に深刻な悪影響を与えている状況だ。
一連の騒動を通じて浮き彫りになったのは、中国による台湾統一への野心と、それに続く沖縄への領土的関心である。沖縄県政と地元メディアの曖昧な姿勢が中国の思惑を助長している可能性もあり、日本は国家主権と領土保全に対する断固たる意志を示し続ける必要がある。