2025-11-14 コメント: 1件 ▼
玉城デニー知事「戦争のきっかけ与えてはならない」台湾有事発言を巡り日中外交対話を要請
高市早苗首相の台湾有事発言に中国側が猛反発している問題で、沖縄県の玉城デニー知事は2025年11月14日の定例記者会見で「戦争は絶対に引き起こしてはならず、きっかけを与えてもいけない」と述べ、日中両国政府に冷静かつ平和的な外交対応を強く求めました。
台湾有事発言が引き起こした外交的波紋
問題となったのは、高市首相が2025年11月7日の衆院予算委員会で行った答弁です。台湾有事について問われた高市首相は「戦艦を使って武力行使を伴うものであれば、存立危機事態になり得るケースだ」と明言しました。これは台湾有事の際に日本が集団的自衛権を行使する可能性を具体的に示した、歴代内閣では踏み込んだ発言でした。
中国側は即座に反発し、外務省の林剣報道官は「台湾海峡への武力介入の可能性を示唆している」と強く批判しました。さらに中国の薛剣駐大阪総領事は一時、「汚い首は斬ってやる」とSNSに投稿するなど、外交的に不適切な表現で日本を威嚇しました。
「高市首相の発言は中国を刺激しすぎる。戦争になったら沖縄が最初に狙われる」
「でも中国の脅しも許せない。日本を舐めすぎている」
「台湾有事が起きれば沖縄の基地が使われるのは当然でしょ」
「平和外交が一番だけど、現実的な備えも必要だと思う」
「結局、どっちも沖縄県民のことを考えていないんじゃないか」
玉城知事の対応と日中共同声明重視の姿勢
玉城知事は記者会見で、アジア太平洋地域の安全保障環境が複雑化しているとの認識を示したうえで「県民の生命財産を守り、沖縄の振興発展を図る上でも平和と安定は不可欠」と強調しました。特に重要なのは、玉城知事が1972年の日中共同声明の趣旨に言及し、両国が「戦略的互恵関係」を推進するとした合意に基づいた対応を求めたことです。
一方で、中国総領事の威嚇的な投稿について記者から質問を受けた際、玉城知事は「直接その発言を目にしていないので、発言を控えたい」として明確な批判を避けました。立憲民主党の泉健太前代表でさえ「こんな総領事は日本に必要ない」と厳しく非難したにも関わらず、玉城知事の対応は極めて慎重なものでした。
日中共同声明と一つの中国政策の意味
1972年の日中共同声明では、台湾の地位について「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第8項に基づく立場を堅持する」と記されています。
この声明により日本は「一つの中国」政策を採用し、中華人民共和国政府を中国の唯一の合法政府として承認しました。同時に台湾独立は支持せず、台湾問題は中国の国内問題との立場を表明してきました。しかし近年、台湾の民主化や中国の軍事的脅威の高まりを受けて、日本の安全保障政策も変化を見せています。
沖縄の経済と中国依存への懸念
沖縄県は観光業において中国市場への依存度が高く、コロナ前の2019年には中国人観光客が外国人観光客の約3分の1を占めていました。中国人観光客の消費単価は他国より高く、土産買物費では特に突出していることから、沖縄経済にとって中国市場は重要な位置を占めています。
しかし、こうした経済的結びつきが政治的な配慮につながることへの懸念も指摘されています。中国は近年、沖縄への統一戦線工作を強化しており、在沖縄米軍基地問題を利用して反日・反米感情を煽る動きも確認されています。2024年には福建省トップが沖縄を初訪問し、厦門航空が沖縄路線を開設するなど、中国側の積極的なアプローチが続いています。
国益と地域の利益の間で揺れる判断
玉城知事の発言は、戦争回避を最優先とする平和的な姿勢として評価できる一方で、日本の国益や沖縄県民の真の利益を考えた場合、中国への過度な配慮は適切なのかという疑問も生じます。中国が尖閣諸島周辺での活動を活発化させ、台湾への軍事的圧力を強めている現状で、「きっかけを与えてはいけない」という論理は、結果的に中国の軍事的威嚇を容認することにもなりかねません。
また、沖縄県の経済的自立を考えた場合、特定国への過度な依存はリスクを伴います。中国は政治的対立が生じた際、経済制裁を外交カードとして使用する傾向があり、実際に他国に対してそうした措置を取った実例もあります。真の県民益を考えるなら、多角的な経済関係の構築と、法の支配に基づく国際秩序の維持こそが重要ではないでしょうか。
沖縄県は地理的に台湾有事の最前線に位置する以上、平和的解決を望むことは当然です。しかし同時に、自由と民主主義という価値観を共有する諸国との連携を深め、力による現状変更を許さない意志を明確にすることも、長期的な平和と安定につながる道筋といえるでしょう。