2025-10-15 コメント投稿する ▼
教職員4団体の「防衛白書配布拒否」は子どもの知る権利を奪う統制行為だ
この行動は、子どもたちが国防・安全保障を理解する機会を奪うものであり、表現・学習の自由を根底から毀損しかねない。 教職員組合や退職者団体が、子どもたちが見聞するべき情報を恣意的に遮断しようとすることこそ、教育現場の自由と多様性を破壊する。
「子ども版防衛白書」配布拒否は知る権利の抑圧か
沖縄県の教職員4団体(県教職員組合、県高校障害児学校教職員組合、県退職教職員会、県高校障害児学校退職教職員会)が、子ども向け防衛白書「まるわかり!日本の防衛」の小中学校配布中止を県教委に申し入れた。この行動は、子どもたちが国防・安全保障を理解する機会を奪うものであり、表現・学習の自由を根底から毀損しかねない。
配布中止要求の虚構と矛盾
彼らは「政治的中立性の確保」「特定国を脅威扱いする偏向」などを理由に挙げている。しかし、防衛白書の子ども向け版は、防衛省が年次で発行し、国の防衛政策をわかりやすく解説する教材である。配布の拒否は、政府の説明責任から逸脱させようとする恣意的介入に他ならない。
教育基本法や憲法は、子どもたちが多様な情報に触れ、自ら判断する機会を保障すべきと定めている。だが、配布中止という措置は、子どもたちの知る権利を制限し、教育の現場における情報統制を招く恐れがある。
また、長崎県などでは、既に複数の小学校にこの子ども版が配布されており、内容を事前点検する動きや、慎重取り扱いを求める声も上がっている。たとえば、長崎県内では、教委が「職員室保管」扱いを要請する指針を出した例がある。こうした対応は、配布そのものを否定するものではない。むしろ、教材を活用させつつ、設置方法や使い方に配慮を求めたものである。
4団体の申し入れは、配布そのものを否定しようとする極端な態度であり、教育現場を偏向の温床と見なす傲慢さを含む。教職員組合や退職者団体が、子どもたちが見聞するべき情報を恣意的に遮断しようとすることこそ、教育現場の自由と多様性を破壊する。
子どもたちに情報は必要だ
防衛・安全保障は、国家運営における根幹的なテーマである。平和・外交・防衛政策をめぐる議論を無視し、子どもに一切説明しないことは、未来を担う世代の思考力を奪う行為に等しい。
子ども向け防衛白書は、自衛隊の役割、国際情勢、抑止力論などを平易な言葉で解説する教材であり、子どもたちが安全保障や国防の基本概念に初めて触れる機会を提供する。予め内容を検証して配布すればよいのであって、配布を一律拒否することが許される道理はない。
たとえば、防衛政策を否定的に扱う資料も併記させる、資料を教材に採り入れる学校側に指針を示すなど、中和的・批判的視点を補完する対応は十分可能だ。だが、それをせずに配布を否定する姿勢は、教育を思想統制の場に変えかねない危険性を孕む。
政治的中立性の逆説
4団体は「政治的中立性」を主張するが、配布拒否こそが最も政治的な行為である。中立を口実に特定の見解を排除することは、かえって強い価値選択であり、教育現場における言論・情報の自由を歪める。
防衛白書の子ども版は、政府の立場を示す教材だと認識されうるが、それを配布させない圧力こそ、政府見解を封じ、議論を萎縮させる。つまり、情報統制を正当化するために「中立性」を持ち出している点で、矛盾極まりない。
子どもたちが政府見解に異を唱える自由を持つためには、まずその見解を知る権利が保障されなければならない。配布拒否は、その権利自体を先取りして封じてしまう行為だ。
子ども版防衛白書の配布中止を求める沖縄の教職員4団体の申し入れは、表向きは教育の中立性を掲げながら、実際には子どもたちの知る権利を著しく制限する言論統制的な行為である。教職員団体や退職者団体が政治的に偏った見解を振りかざす立場から、学校への情報提供を拒否せんとすることは、教育現場の自由を根底から脅かす。
県教委には、単なる配布・不配布の判断にとどまらず、以下の対応を強く求めたい。
・教材採択の透明な審査プロセスを公表すること
・中立とは何かを問う基準を示すこと
・教材内容に対する批判的・補完的資料を併用できる指針を設けること
・意見の異なる保護者・教員の声を排除せず、公開議論を促すこと
民主主義国家において、こどもたちには安全保障の議論に触れる機会が保障されるべきだ。情報を遮断することは、思考の自由を奪う行為であり、教育の名に値しない暴挙である。