2025-10-07 コメント投稿する ▼
沖縄県職員の給与、4年連続で引き上げへ 月給平均1万960円増 若年層の処遇改善に重点
県人事委は「民間との給与差が新卒層を中心に広がっており、優秀な人材を確保するためには待遇改善が急務」と説明。 人事委員会の担当者は「初任給を引き上げることで採用の魅力を高めたい」と述べた上で、「現場で働く職員の士気向上にもつながる」と期待を示した。 地方自治体による給与引き上げの動きは全国的にも広がっている。
沖縄県職員の給与、4年連続で引き上げへ 月給平均1万960円増
沖縄県人事委員会(池田修委員長)は7日、県職員の給与を平均1万960円(3・01%)引き上げ、ボーナスを0・05カ月分増額するよう玉城デニー知事と県議会に勧告した。引き上げは4年連続となる。
今回の勧告は、規模50人以上の民間企業133事業所の従業員約4500人を対象に行った調査結果をもとに、民間企業(規模100人以上)との給与差を比較した上で算出された。改定による人件費増加額は年間で約41億2700万円と見込まれている。
県人事委は「民間との給与差が新卒層を中心に広がっており、優秀な人材を確保するためには待遇改善が急務」と説明。行政サービスの質を維持するためにも、一定の水準を確保する必要があると判断した。
若年層の待遇を重点的に改善
給与改定では、若手職員の処遇改善に重点を置いた。行政職の初任給は大卒で1万2000円増の23万2000円、高卒で1万2300円増の20万300円となる。若年層の採用競争力を確保し、人材流出を防ぐ狙いがある。
人事委員会の担当者は「初任給を引き上げることで採用の魅力を高めたい」と述べた上で、「現場で働く職員の士気向上にもつながる」と期待を示した。さらに「給与水準の改善は、結果的に県民サービスの質を守ることにもなる」と強調した。
財政負担と人材確保の両立が課題
一方で、年間40億円を超える人件費増加は県財政に一定の影響を与えることも予想される。玉城知事は「人材確保の難しさは全国共通の課題。財政とのバランスをとりながら、働きやすい環境を整えていく」と述べた。
県では、例年通り11月の定例県議会に関連議案を提出する見通しで、可決されれば月給分は4月にさかのぼって支給される。県議会内では「若手重視の改定は妥当だが、中堅層や非正規職員との格差をどう調整するかが次の課題」との声も上がっている。
全国的な流れと沖縄の位置づけ
地方自治体による給与引き上げの動きは全国的にも広がっている。人材不足が深刻化する中、地方公務員の給与改善は「採用難への対抗策」として位置づけられている。
沖縄県では、全国平均と比べて民間賃金が低い傾向が続いており、今回の引き上げは「地域全体の賃金底上げにも寄与する」と期待する声がある。その一方で、「財政規模が限られる中で、持続可能な給与体系をどう築くかが問われている」との指摘も出ている。
人事委員会は、今後も民間との均衡を保ちながら、職員が長く安心して働ける環境づくりを進める方針だ。