2025-10-08 コメント投稿する ▼
「平和」を名乗っても差別は正義にならない 沖縄県議会が自衛隊への風潮是正を決議へ
決議案は、「自衛隊員であることを理由に社会参加を制限する行為は、尊厳を傷つけるものであり許されない」として、県民に理解と協力を呼びかけている。 決議では、過去に「自衛隊員である」という理由で行政サービスの拒否や地域行事からの排除が行われた事例を挙げ、こうした行為が今なお続くことを問題視している。
沖縄県議会、自衛隊差別的風潮の改善決議へ “平和”の名のもとでの排除に警鐘
沖縄県議会は8日、自衛隊およびその家族に対する「差別的な風潮」を改めるよう求める決議案を審議する。提案したのは沖縄自民・無所属の会と公明で、過半数を占めており可決の見通しだ。
決議案は、「自衛隊員であることを理由に社会参加を制限する行為は、尊厳を傷つけるものであり許されない」として、県民に理解と協力を呼びかけている。
決議では、過去に「自衛隊員である」という理由で行政サービスの拒否や地域行事からの排除が行われた事例を挙げ、こうした行為が今なお続くことを問題視している。防衛政策への意見や抗議活動そのものを否定するものではないと明記しつつも、「差別的な風潮」によって個人の尊厳が損なわれることがあってはならないとした。
沖縄では「平和」を掲げた運動や集会が盛んに行われてきた。しかし、「平和」という言葉を盾に取ることで、別の誰かを排除したり、意見の異なる相手を悪と決めつける風潮があるのも事実だ。
自衛隊員もひとりの県民であり、憲法で保障された職業選択の自由を持つ。にもかかわらず、「自衛官だから」「軍に関わるから」という理由で社会から排除されるとしたら、それは自由や平等の理念に反する。
自らの「正義」を主張することは、民主主義社会において認められた権利である。しかし、その主張のために他人の生活を脅かしたり、名誉を傷つけたり、活動を妨げることがあってはならない。
それはもはや意見表明ではなく、特定の職業や立場を攻撃する「ヘイト」にほかならない。
沖縄の歴史や基地問題に複雑な思いを抱く人が多いことは確かだ。だが、平和の名のもとで特定の人々を排除するという発想は、まさに戦争を引き起こしてきた思考と同質ではないだろうか。
「自分たちの正義のためなら、他人が不快でも構わない」「目的のために手段を選ばない」という思考は、時として暴力や憎悪を生み出す。
決議案の背景には、まさにこの危うさへの警鐘がある。
県議会が「表現の自由」と「人権尊重」の両立をどう示すかが問われている。自由な議論を守るためにも、まず互いの尊厳を認め合う社会を築くことが求められている。
自衛隊員も、抗議する市民も、同じ地域に生きる人間である。互いを敵と見なすのではなく、対話の中で理解を深めていく姿勢こそが、真の「平和」への道だ。