伊藤康志の活動・発言など

大崎市が年150万円支給で留学生受け入れ、人口減少・農業担い手不足に打開策

地方創生の新たな試みとしての留学生受け入れ 人口約12万人の宮城県北部・大崎市で2025年度、全国でも珍しい市立の日本語学校が開校しました。年間約150万円の学費支援と生活支援金を給付する好条件で留学生を迎え入れ、イスラム教徒向けの礼拝室を校舎に設置するなど、多文化共生に向けた包括的な生活支援も重視しています。大崎市立おおさき日本語学校の取り組みは、急速な人口減少と高齢化に直面する地方自治体が、外国人材を戦略的に受け入れようとする姿勢を象徴しています。 2025年10月上旬の秋季入学式では、インドネシアから留学した男性（25）が「卒業後は日本でエンジニアとして活躍したい」と意気込みを語りました。現在、アジアの3か国・地域から来日した約50人の留学生が学んでおり、市は就職先の情報提供など、卒業生の地元定着を目指した支援体制を整備しています。文部科学省の認定を2025年10月30日に受け、晴れて「認定日本語教育機関」の地位を獲得しました。 全国2例目の公立日本語学校の意義 大崎市の日本語学校は全国で2例目の公設公営の日本語学校として、自治体による外国人受け入れの新たなモデルを示しています。政府が外国人労働者の受け入れを推進する中、大崎市の試みは単なる労働力補充ではなく、地域全体の活性化を目指す包括的なアプローチを実践しているのです。 >「高齢化が進み、農家を中心に担い手不足も深刻だ。若い留学生に街を元気にしてほしい」 >「外国人を受け入れることで、地域の多様性が生まれ、新しいビジネスチャンスも増えるだろう」 >「留学生が定着して地域の労働力不足を補ってくれるなら、今後の投資も惜しまない」 >「年150万円の支援は税金の無駄ではなく、地方創生への投資だと思う」 >「言葉の壁や文化の違いはあるが、一緒に暮らしていく工夫を大切にしたい」 2025年4月の開校当初、閉校した西古川小学校の校舎を改修して運用が開始され、約1年でこれだけの規模に成長した事実自体が、地方における外国人材へのニーズの高さを物語っています。 農業と地域産業を支える外国人材への期待 入学式の当日、学校近くで横断幕を掲げて留学生を出迎えた同市の男性（76）の言葉に、大崎市が直面する課題の本質が凝縮されています。日本の農業従事者の平均年齢は66歳を超えており、全国的に担い手不足が深刻です。大崎市は稲作が中心の農業地帯であり、高齢化する農業従事者を補う若い労働力として外国人材の活用を戦略的に位置付けているのです。 大崎市が提供する留学生支援の内容は、進学2年課程で授業料の50パーセント、学生寮家賃の50パーセント、月額3万円の生活支援金で構成され、総額で最大約297万円に達しています。単年度で年間150万円の支援という形で表現されることが多いのは、この包括的な制度設計の平均値を示しているのです。 多文化共生社会の構築と課題 おおさき日本語学校がイスラム教徒向けの礼拝室を設置し、宗教や文化的背景に配慮した運営を行っていることは、単なる言語教育機関ではなく、多文化共生社会の実現を目指す施設として機能していることを示唆しています。外国人労働者の定着率は、受け入れ側社会の包容性に大きく左右されます。 宮城県も大崎市の取り組みに協力し、学生募集の支援や就職先の開拓を通じて、留学生が地域に根付く環境整備を推進しています。大崎市内の企業と連携し、卒業後の就職先情報を積極的に提供することで、留学生の地元定着を促進する方針も固まっています。 地方創生における外国人材の位置付け 大崎市の公立日本語学校開設は、日本が直面する人口減少・高齢化という構造的課題への、地方からの現実的な回答とも言えます。外国人材は単なる労働補充ではなく、地域経済の活性化と文化的多様性の創出に貢献する存在として認識されるべきです。 今後、大崎市の事例が他の人口減少地域でも展開されるか、あるいは独自の試みに終わるかは、日本社会が外国人と共生する覚悟があるかを問う試金石となるでしょう。地方が生き残るための選択肢として、外国人材の受け入れ態勢の整備は急速に進展していきそうです。