2025-11-12 コメント投稿する ▼
京都府立高校ALT7人がストライキ 派遣会社の賃金カットに抗議、月給3万円減で生活困窮
京都府立高校で働く外国語指導助手(ALT)7人が11月12日、派遣会社による賃金カットに抗議し無期限のストライキに突入しました。 労働組合「ゼネラルユニオン」によると、ALTのストライキは異例で、京都府教育委員会も「府立高でのストライキは初」としています。 ゼネラルユニオンの調査では、派遣ALTと直接雇用ALTの間に年間100万円もの収入格差があることが判明しています。
月給3万円減、ボーナス12万円減の衝撃
ストライキに参加したのは名古屋市の人材派遣会社「アルティアセントラル」から派遣された20代から40代の7人です。2023年度は月給24万円だった賃金が2025年度には21万円に減額され、ボーナスも18万円から6万円へと大幅カットされました。
西城陽高校で勤務するベイカー・ビアトリスさんは「収入が減り、好きな映画を見に行くこともできなくなった。本当は生徒のために働きたかった」と心境を語りました。また、米国出身のブルーム・サミュエルさんは「2年前より月給が3万円減の21万円、ボーナスは12万円減の6万円になり、生活が苦しい」と訴えています。
「物価が上がっているのに給料が下がるなんて信じられない」
「同じ仕事をしているのに直接雇用との差が激しすぎる」
「ストライキしか方法がなかった」
「生活できないレベルの賃金カットは許せない」
「ALTの待遇を見直してほしい」
同一労働同一賃金の原則に反する格差
京都府内の府立高校で働くALTは41人で、このうち31人は国のJETプログラムで府が直接雇用(月給33万5千円)し、残り10人が派遣社員です。組合側は業務内容が同じにもかかわらず給与格差があることは「同一労働同一賃金」の原則に反するとして、6月から賃金引き上げを求めてきました。
会社側は賃金減額の理由について、所定労働時間を8時間から7時間に変更したためと説明していますが、組合は物価高が続く中でALTの生活は苦しく、月給25万円とすることを求めています。11月5日までに3回の団体交渉を行いましたが、待遇改善の意思が見られなかったため、ストライキに至りました。
全国共通の構造的問題
ALTを巡る労働問題は京都に限らず全国的な課題となっており、民間派遣会社は最低価格での落札を競い、ALTの給与や労働条件を引き下げている現状があります。ゼネラルユニオンの調査では、派遣ALTと直接雇用ALTの間に年間100万円もの収入格差があることが判明しています。
ALTの雇用に関する統一的なルールが定められておらず、地方自治体や派遣会社にALT活用のあり方を「丸投げ」している現状が、低賃金やサポート不足などの低待遇による苦悩を生み出しています。
教育への影響は最小限に
京都府教育委員会は「英語教諭の単独授業で対応する。履修や成績に影響はない」としており、授業に影響を及ぼさないよう会社側に追加派遣を求めるとしています。しかし、ALTによる生きた英語教育の機会が失われることで、長期的には生徒の学習環境に影響が出る可能性もあります。
組合は府教育委員会に対し、7人を来年度から直接雇用するよう求めていますが、府教委は「予算の問題もあるし、採用試験を経ると雇用が安定しないというデメリットもある」として慎重な姿勢を示しています。