2025-10-26 コメント投稿する ▼
荻原健司長野市長再選、保育無料化と福祉充実で市民評価、投票率は過去2番目の低さ
ノルディック複合の元五輪金メダリストで、元参議院議員でもある荻原氏は、1期4年の市政運営への評価が最大の争点となった選挙戦での当選を受け、「一層身の引き締まる思い」と決意を述べた。 一方、投票率は37.28%で、前回の60.16%から22.88ポイント低下し、平成17年の36.96%に次いで過去2番目に低い投票率を記録した。
身の引き締まる思い、荻原健司氏が再選確実-投票率は過去2番目の低さ
2025年10月26日投開票の長野市長選挙は、無所属現職の荻原健司氏(55)が新人4人を大差で破り、再選を確実にした。ノルディック複合の元五輪金メダリストで、元参議院議員でもある荻原氏は、1期4年の市政運営への評価が最大の争点となった選挙戦での当選を受け、「一層身の引き締まる思い」と決意を述べた。一方、投票率は37.28%で、前回の60.16%から22.88ポイント低下し、平成17年の36.96%に次いで過去2番目に低い投票率を記録した。当日有権者数は30万4111人だった。
荻原氏は長野市内に設けられた選挙事務所で、当選確実の報を受けて支持者の前に姿を見せた。支持者らの万歳三唱で再選を祝われた荻原氏は、あいさつの中で、「1期目の取り組みが一定の評価をいただき、次の4年間の政策について理解いただき浸透した結果だと受け止めている」と述べ、市民の信任を得たことへの喜びを表明した。同時に、「喜びの思いがある一方で、より一層身の引き締まる思い。市民の負託に、しっかりと応えていくため、4年間取り組んでいきたい」と、2期目への決意を新たにした。
保育料無料化、高齢者福祉充実、交通維持で市民に支持広げる
荻原氏が1期目で掲げ、実績として訴えた主要政策は、保育料の無料化と高齢者福祉の充実、持続可能な交通の維持・確保、経済振興策の4つだった。これらの施策を通じて、「長野市の成長の好循環を作っていく」というビジョンを市民に提示した。特に子育て支援と高齢者対策は、少子高齢化が進む長野市の最重要課題であり、荻原氏が積極的に取り組む姿勢が有権者に評価されたと考えられる。
持続可能な交通の維持・確保という政策は、地方都市が直面する移動手段の確保という根源的な課題に取り組む姿勢を示すもので、市民生活の実質的な向上につながると見なされたようだ。さらに経済振興策による地域活性化を通じて、市全体としての活力向上を目指す一貫した政策体系が、市民からの支持を集めたと考えられる。
5人の新人候補が改革を訴えるも、現市政継続が優位に
新人4人の候補者は、いずれも現市政への批判を掲げ、市の方針転換と刷新を訴えた。元市議の野々村博美氏(68)は、長野市初の女性議員として1987年以来、9期にわたって市議会で活動してきた経験を背景に、市民参加型の市政への転換を主張していた。同じく元市議の小泉一真氏(59)は、市民の声が十分に反映されていないとして現市政を批判し、市民主体のまちづくりへの転換を訴えた。
経営コンサルタントの平本浩一氏(59)と元福祉施設職員の草間重男氏(75)も立候補し、それぞれ異なる視点から現市政への改革を求めていた。だが、これら新人4人の改革への訴えは、1期目の成果を前面に掲げた荻原氏の一貫性に及ばず、市民の投票には結びつかなかったのである。
投票率の急落、市民の関心低下が課題
今回の選挙での最大の課題は、投票率の急落である。37.28%という数字は、わずか4年前の前回選挙の60.16%から22.88ポイント低下したもので、平成17年の36.96%に次ぐ過去2番目の低さを記録した。このような投票率の大幅な低下は、市長選に対する有権者の関心度の低下を示すとともに、市政課題への認識度の低さをも表していると言えるだろう。
少子高齢化、持続可能な交通、経済振興といった重要課題があるにもかかわらず、市民が必ずしもこれらの課題に対して高い関心を持たなかった可能性がある。また、現職知事の優位が確実であったため、多くの有権者が投票に行く必要性を感じなかった可能性も考えられる。投票率の低下は、市政と市民との間に一定の距離が存在していることを示唆しており、今後の市政運営の中で市民参加の促進がより一層求められるだろう。
スキー選手から市長へ、荻原氏のキャリア
荻原氏は、ノルディック複合の世界的第一人者として知られている。現役時代は「キング・オブ・スキー」の異名をとり、冬季オリンピック4大会に連続出場し、2大会連続で団体金メダルを獲得した輝かしいキャリアを持つ。2004年から2010年にかけて参議院議員として国政に関わり、経済産業大臣政務官などを歴任した後、2021年の長野市長選挙に出馬、初当選を果たした。
スキー選手として最高峰の実績を残し、その後国政で経験を積んだ荻原氏は、地方自治体の長として長野市政を担うに至った。2期目の4年間は、1期目で蒔いた種を花開かせ、市民生活の実質的な向上を果実として届けられるかが問われることになるだろう。
2期目に向けた課題としては、投票率低下への対応と市民参加度の向上、並びに現市政の重要課題である子育て支援、高齢者福祉、交通維持、経済振興といった各分野での具体的成果の創出が挙げられるのである。