2025-10-27 コメント投稿する ▼
埼玉県議2795万円私的流用 高級ウイスキー・イチローズモルト466本、女性用バッグなど
自民党埼玉県連は2025年10月27日、幹事長だった小谷野五雄県議(69)が県連の政治資金約2795万円を私的に流用していたと認定し、調査結果を公表した。 県連は党紀委員会での処分や業務上横領容疑での刑事告発を検討している。 業務上横領容疑での刑事告発が検討されているが、政治資金規正法における罰則は「5年以下の禁錮、100万円以下の罰金」と比較的軽い。
常軌を逸した支出明細の全容
小谷野氏は2019年5月に県連幹事長に就任。今年8月から流用疑惑を理由に役職を停止されている。県連の調査委員会は、小谷野氏に関連する支出1398件のうち1357件を不正と認定した。
具体的な私的流用の内容は極めて多様である。高級ウイスキー「イチローズモルト」466本、女性用バッグ6点、桃12ケース、約204万円分のキムチなど、政治活動とは無関係な物品購入に当てられていた。さらに食パン90本を一度に購入した例や、ペットフード、チャイルドシート、幼児向けおもちゃ「お魚釣りゲーム」まで、党費を使って精算していた。ドラッグストアでの日用品購入費、女性洋品店での衣料品代も含まれており、私用と公費の境界線が完全に崩壊していたことを示唆している。
県連会長の柴山昌彦衆院議員は記者会見で「常軌を逸した異常な請求だ。政治とカネの問題に対する国民の関心も高いので厳格な処分になるだろう」と述べた。小谷野氏は事務局のミスにより一部の私的領収書が混ざったと主張し、約100万円を供託していたが、県連の認定額はこれを大幅に上回る。
政治資金規正法の抜け穴と支出規制の欠如
政治資金規正法は政治団体の支出について、ほぼ規制を設けていない。このため、政治活動と全く関係のない私的流用や不正蓄財を防ぐ法的な枠組みが不十分なままである。寄附金の受け取りや政党間献金に対しては厳しい制限があるが、支出側に対する規制は甘く、領収書さえあれば支出が認められやすい構造になっているのが実情だ。
公職選挙法では、政治家の親族への支出についても規制がされていない。このため、政治資金が親族や親族が関係する団体に支払われ、マネーロンダリングを経て本人や親族の個人資産となるケースも存在する。埼玉県連のケースは、この法的抜け穴を露呈させた典型例である。
業務上横領容疑での刑事告発が検討されているが、政治資金規正法における罰則は「5年以下の禁錮、100万円以下の罰金」と比較的軽い。告発が実現しても、公民権停止の処分を受ける可能性はあるものの、罰則規定の大半が3年で時効となるため、実質的な抑止力が弱い。
「こんなに多くの私物を党費で買えるなんて、政治資金の管理が完全に崩壊している」
「イチローズモルト466本とか、明らかに政党活動とは無関係。どうやってこんなことが通ったのか」
「党内の監視体制はいったい何をしていたのか。幹事長という立場だからこそチェック機能を失ったのか」
「支出に規制がないというのは信じられない。法改正が急務だ」
「100万円の供託では済まされない。全額返納を求めるべき」
今後の処分と制度改善への課題
県連は党紀委員会で処分内容を協議し、除籍処分など厳しい処分を検討しているという。刑事告発の可能性については、警察と協議を進める見通しだ。小谷野氏は9月の記者会見で疑惑を否定していたが、県連の調査結果により事実上の不正が確定された形となった。
本件は、政治資金の支出側に対する法的規制の不備を浮き彫りにしている。政治資金規正法の抜本的な改正と、党内ガバナンスの強化が急務である。特に領収書確認の厳格化、支出の目的制限、定期的な外部監査の導入といった対策が必要とされている。県連は今後、再発防止策の策定と内部統制システムの改革に取り組む予定だ。
政治とカネの問題は、有権者の政治不信を招き直結した課題であり、自民党全体の信頼回復にも影響を及ぼす。国民の納めた税金を原資とする政党交付金の使途が厳密に管理されなければ、民主主義そのものの基盤が揺らぐ可能性がある。