2025-12-13 コメント投稿する ▼
広島県カキ大量死で20億円緊急支援、高水温・高塩分で養殖業界に前例なき打撃
瀬戸内海でカキが大量死している深刻な問題を受けて、広島県が2025年12月に総額20億円の緊急支援策を決定しました。 この支援は養殖業者が新しいカキいかだを組む費用の半額(1台あたり上限50万円)を補助するもので、約4000台の購入を見込んでいます。
生産量日本一を誇る広島県のカキ養殖業界が、前例のない大量死という危機に直面しています。2025年10月の水揚げ解禁以降、県内各地で養殖カキの8割から9割が死滅する異常事態が発生し、来年出荷予定のカキにも深刻な被害が及んでいることが明らかになりました。
異常な海洋環境が引き起こした災害
広島県立水産海洋技術センターの調査によると、今回の大量死の主な原因は「高水温」と「高塩分」が同時に長期間続いたことにあります。2025年9月の海水温は平年より平均2.4度も高く推移し、さらに降雨が少なかったことで塩分濃度も高止まりしました。
カキは元々、川に近い塩分の薄い場所で育つ生き物です。センターの担当者は「高温と高塩分という二つの負荷が重なったことで、生理的な不調を起こしたとみられます」と説明しています。特に産卵後に体力を消耗したカキが、例年なら訪れる水温低下による回復のタイミングを失い、一気に死滅した可能性が高いとされています。
被害は広島県内全域に及んでおり、坂町の一部漁場では「全滅に近い」状況も報告されています。東広島市のカキ養殖業者は「こんな全滅状態は初めて。いくら水揚げしても殻の中が空っぽでどうしようもない」と深刻な表情で語っており、廃業を検討する声も上がり始めています。
「広島のカキがこんなに大量に死ぬなんて信じられない」
「カキの値段が高くなりそうで心配だな」
「20億円も支援するなんて、本当に深刻な問題なんだね」
「瀬戸内海の環境がおかしくなってるのかな」
「カキ養殖業者さんたちが気の毒すぎる」
県と国が連携した支援体制を構築
広島県は12月10日に開会した県議会で、総額20億円の追加補正予算案を提示しました。この支援策は、被害を受けたカキ養殖業者が新たなカキいかだを組む費用の2分の1を補助するもので、1台あたり上限50万円、約4000台の購入を見込んでいます。財源には国の物価高対応の重点支援地方交付金を充当する予定です。
県内には約290の養殖業者(個人・法人含む)があり、カキいかだの総数は約1万2000台に上ります。今回の支援対象となる4000台は、被害が特に深刻な地域を中心とした緊急対応措置となります。県はすでに借入金の利子負担として30億円の融資枠も設けており、総合的な支援パッケージとして業界の立て直しを図る方針です。
国レベルでも水産庁が12月11日に支援策を正式決定しました。被害を受けた養殖業者には600万円または年間経営費の半分を限度とする実質無利子融資制度を適用し、市町村長の被害証明があれば当初5年間は利子負担がゼロとなります。さらに養殖共済による損害補填や、技能実習生への継続支援など、雇用面での配慮も含まれています。
瀬戸内海全域に広がる環境異変
今回のカキ大量死は広島県だけにとどまらず、瀬戸内海沿岸の広域で同様の被害が確認されています。水産庁の調査によると、岡山県、兵庫県、愛媛県、香川県、徳島県でも5割から9割のカキが死滅する地域があり、全国生産量の8割を占める瀬戸内海エリア全体で環境異変が発生している可能性が高まっています。
興味深いことに、三重県や宮城県など瀬戸内海以外の産地では大きな被害が確認されておらず、「高水温、高塩分、貧酸素」などの複合的要因が閉鎖海域である瀬戸内海特有の問題として浮き彫りになっています。
広島県漁連の米田輝隆会長は「長年、台風などいろんな被害があったが、我々は立ち直ってきた。過去からずっと。広島のカキは本当に大切な産業だと思っています。どうしても残さないといけない。カキは」と力強く語り、業界一丸となって困難を乗り越える決意を示しています。しかし同時に「打ちのめされたような感じ。若い子(生産者)たちは。せっかく一生懸命やってきたのに。笑顔がない、シュンとしている状態です」とも述べており、現場の深刻さがうかがえます。