2025-09-07 コメント投稿する ▼
セクハラ99件認定で辞職の前町長が岐南町議選で当選
今回の立候補については、支持者からの要請を受けての決断と説明している。 町民の間には「経験を重視する声」と「倫理を問う声」が交錯している。 今回の岐南町議選の結果は、地方政治における倫理観の希薄さを示したとの指摘もある。 そのため、有権者の選択が政治倫理を左右する構造が温存されている。 岐南町では今回の結果により、議会の信頼性や町政運営への懸念が強まっている。
セクハラ認定の前町長が再び当選
岐阜県岐南町で行われた町議会議員選挙において、過去に99件のセクハラ行為を認定されて町長職を辞した小島英雄氏(75)が再び議席を得た。小島氏は補欠選挙を含め通算8回目の当選となり、地元に大きな波紋を広げている。
小島氏は令和2年11月の町長初当選直後から、職員の尻を触る、背後から抱きつくといった行為を繰り返したと第三者委員会に認定された。その結果、議会で不信任案が可決される見通しとなり、2023年3月に辞職を余儀なくされた。今回の立候補については、支持者からの要請を受けての決断と説明している。
「99件も認定されていたのに、また当選するのか信じられない」
「町民は何を考えているのか。女性軽視ではないか」
「地元に候補者が少ないから仕方ないという空気なのか」
「本人が不満を言う前に反省が必要だったはず」
「当選させた有権者の責任も問われるべきだ」
有権者が突きつけられた選択
今回の町議選では定数10に対し16人が立候補した。小島氏は町長辞職から1年半という短い期間での復帰を果たし、地元では「政治経験が豊富」との評価もあった。一方で、セクハラ認定が消えたわけではなく、今回の当選は町民の分断を映し出す結果となった。
町民の間には「経験を重視する声」と「倫理を問う声」が交錯している。小島氏を支持する層は「長年の行政経験を持ち、町政に精通している」という実績を重んじる。他方で批判的な住民からは「セクハラの責任を取らないまま再出馬するのは許されない」との声が根強く、今後の議会運営にも影響を与えるとみられる。
全国で問われる政治倫理
今回の岐南町議選の結果は、地方政治における倫理観の希薄さを示したとの指摘もある。過去にも不祥事を起こした首長や議員が再び選挙に出馬し、当選を果たす事例は各地で見られる。背景には、有権者が限られた候補者の中から選ばざるを得ないという小規模自治体特有の事情もある。
また、議員の不祥事に対する罰則や再出馬制限の仕組みが整っていないことも課題だ。現行制度では、有罪判決を受けて公民権停止とならない限り立候補は可能であり、倫理的な判断は有権者に委ねられる。そのため、有権者の選択が政治倫理を左右する構造が温存されている。
岐南町と地方政治の信頼回復は可能か
岐南町では今回の結果により、議会の信頼性や町政運営への懸念が強まっている。とりわけ女性や若者の間では「町政に対する不信感が高まるのではないか」との危惧が広がる。セクハラを理由に辞職した人物が短期間で当選することは、被害を受けた職員や地域社会に対して再び深い傷を与える可能性がある。
国全体で見ても、政治不信の根源はこうした事例の積み重ねにある。透明性と倫理性を重視する政治文化を育むためには、地方政治においても厳格なルールづくりと有権者の意識改革が欠かせない。岐南町議選の結果は、その必要性を改めて突きつけている。