2025-10-22 コメント投稿する ▼
豊明市スマホ条例施行後アンケート、使用時間変化なし65%・あり7%にとどまる
愛知県豊明市が2025年10月に施行したスマートフォンやゲーム機の使用時間を1日2時間以内とする条例について、市が実施したアンケート調査の結果が明らかになりました。 条例施行後の使用時間変化について「なかった」と回答した市民が65.4%に上り、「あった」と答えたのはわずか7.1%にとどまりました。
条例施行後も使用時間に大きな変化なし
豊明市が2025年10月22日に公表したアンケート結果によると、条例施行後の使用時間変化について「なかった」と回答したのは65.4%でした。「あった」と答えたのは7.1%、「なかったが気にするようになった」は27.5%という結果になりました。
この条例は、仕事や勉強時間以外でのスマートフォンやゲーム機などの使用目安を1日2時間以内とするよう促すもので、2025年10月1日に施行されました。実際の使用時間削減効果は限定的だったものの、4人に1人以上が使用時間を意識するようになったことが分かりました。
睡眠時間についても変化なしが84.6%、ありは2.7%と、こちらも大きな変化は見られませんでした。
「条例ができても結局自分次第だよね」
「2時間以内って現実的に無理がある気がする」
「スマホは中毒。薬物中毒の人に薬物を控える(罰則無し)ように言って意味ある?」
「罰則がないから守らない人は守らない」
「意識するだけでも意味があると思う」
家族との会話増加など副次的効果も
一方で、条例をきっかけに家族との会話が増えたり、生活を見直したりしたと答えた市民は39.0%に上りました。使用時間の削減という直接的な効果は小さかったものの、家庭内でのコミュニケーションや生活習慣を見直す契機になったことがうかがえます。
アンケートは2025年10月1日から15日までの2週間にわたり、市民や市外から通勤・通学する約250人を対象に実施されました。20代から70代までの182人が回答しましたが、回答者の年齢層に偏りが見られたことが課題として浮き彫りになりました。
若年層の実態把握が今後の課題に
豊明市は今回の結果について「回答が30代以上に偏り、過剰使用の人が少なかったと推測する」とコメントしました。スマートフォンやゲーム機の過剰使用が特に問題視されている10代や20代前半の若年層からの回答が少なかったことが、使用時間変化が小さかった一因と考えられます。
市は「より詳細なアンケートの必要性と、継続的な啓発の重要性を再認識した」として、今後は全市民を対象とした同様のアンケートを実施する方針を明らかにしました。若年層や実際に長時間使用している層の実態を正確に把握することが、条例の実効性を高める上で不可欠となります。
実効性確保には継続的な取り組みが必要
今回の調査結果は、条例制定だけでは市民の行動変容に直結しにくいという現実を示しています。罰則規定のない条例であるため、強制力は持たず、あくまで市民の自主的な取り組みを促す性格のものです。
しかし、約4割の市民が家族との会話増加や生活見直しのきっかけになったと回答している点は、条例が一定の啓発効果を持つことを示唆しています。今後、学校や家庭と連携した継続的な啓発活動や、若年層に焦点を当てた具体的な支援策が求められるでしょう。
市は全市民を対象としたアンケートを通じて、より正確な実態把握を進め、条例の効果を高めるための施策を検討していく構えです。スマートフォン依存が社会問題化する中、豊明市の取り組みは他自治体にとっても重要な先例となる可能性があります。