2025-04-29 コメント投稿する ▼
高市早苗氏、台湾訪問で『ポスト石破』アピール 保守層取り込み狙う自民党内の動き
石破政権支持率低迷、各派閥が動き活発化
大型連休期間中、自民党内では「ポスト石破」を巡る動きが活発化している。石破茂内閣の支持率が低迷するなか、次のリーダーを見据えた各派閥や有力政治家たちが、国内外で存在感を示す動きを加速させている。特に、昨年の総裁選で惜敗した高市早苗前経済安全保障担当相は、台湾訪問を通じて保守層への支持拡大を狙った。
高市早苗氏、台湾講演と頼清徳総統との会談
高市氏は4月28日、台湾で講演を行い、日台関係の重要性と経済安保の協力強化を強く訴えた。また、台湾の頼清徳総統とも会談し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた連携の必要性を確認した。高市氏は講演で、「日本と台湾は運命共同体だ」と述べ、台湾防衛を含む安全保障面での連携を強調。安倍晋三元首相が生前築いた日台友好路線を引き継ぐ姿勢をアピールした。
高市氏の台湾訪問は、石破政権下で離反傾向がみられる保守層に対し、改めて自身の立場を印象づける狙いがある。台湾では安倍氏の人気が高く、今秋には国立政治大学に「安倍晋三研究センター」が設立される予定だ。高市氏もこうした「安倍レガシー」を意識し、日台連携を前面に打ち出している。
西村康稔氏、インド・台湾訪問で巻き返し
一方、旧安倍派の西村康稔元経済産業相も動きを強めている。派閥パーティー収入不記載問題での党員資格停止が今月3日に解除され、早速、海外訪問を再開。インドを訪問した後、台湾入りする予定だ。
西村氏もまた、保守層への支持回復を目指しており、安倍氏が築いた対アジア重視の外交路線を継承する意向を示している。とりわけ台湾訪問は、日台友好を重視する保守派議員としての立場を強化するための重要な布石とみられる。
上川陽子氏はグリーンランドへ、岸田氏は東南アジアへ
さらに、昨年の総裁選で存在感を示した上川陽子前外相も、独自の動きを見せている。上川氏は、トランプ前米大統領が関心を示したデンマーク自治領グリーンランドを訪問し、北極圏の安全保障や資源問題について要人と会談を予定している。自身が幹事長を務める「北極のフロンティアについて考える議連」との連携強化を目指している。
また、岸田文雄前首相は、石破首相の特使としてインドネシア、マレーシアを歴訪。自ら最高顧問を務める「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」の枠組み拡大を働きかけるとともに、党内外での影響力維持を図る。
政局への布石、各派の動きに注目
石破内閣の支持率低迷により、次期政権への関心は一層高まっている。高市氏、西村氏、上川氏、そして岸田氏らによる海外活動は、単なる外交行事にとどまらず、今後の党内主導権争いに向けた布石となる可能性が高い。
特に保守層の動向は、次期総裁選を左右するカギとなるだけに、台湾を中心とした対外活動に力を入れる動きが顕著である。大型連休明けには、各派閥間の駆け引きがさらに激しさを増すことが予想される。