2026-03-25 コメント投稿する ▼
当初予算の年度内成立断念、暫定予算案へ
政府は、2026年度当初予算案の年度内成立が極めて困難になったことを受け、その「つなぎ」となる暫定予算案を3月27日に閣議決定する方針を固めました。 しかし、予算案の審議には通常、十分な時間が確保されることが期待されており、野党は、十分な審議時間を確保するためには、暫定予算案の編成が不可欠だと主張していました。
首相の意向と衆院での強硬策
政府が当初予算案を年度内に成立させることにこだわってきた背景には、高市早苗首相の強い意向がありました。首相は、新年度から本格的な政策を実行に移すために、予算案の早期成立が不可欠であるとの立場をとってきました。このため、与党は衆議院での審議において、過去20年間でも最短とされる59時間という異例の短時間で予算案を通過させる強硬策をとりました。しかし、この強硬姿勢は、参議院で少数与党となっている自民党・公明党にとって、野党の協力を得ることが難しい状況を生み出しました。
予算案の成立には、衆議院と参議院の両方で可決される必要があります。憲法では、予算案が衆議院で可決された後、参議院で「10日以内」に衆議院の議決と異なった議決をした場合、あるいは議決しなかった場合、衆議院の議決で成立すると定められています。しかし、予算案の審議には通常、十分な時間が確保されることが期待されており、野党は、十分な審議時間を確保するためには、暫定予算案の編成が不可欠だと主張していました。
衆院での強硬審議と参院での課題
衆議院では、与党の多数を背景に、当初予算案の審議が異例のスピードで進められました。これは、政府・与党が当初予算案の年度内成立を優先した結果ですが、その過程で十分な議論が行われたのか、という点については議論の余地が残ります。そして、その影響は参議院で顕著に現れました。参議院においては、与党は単独で過半数を獲得できない「少数与党」の状態が続いており、法案などを成立させるためには野党との協力が不可欠です。
野党の要求と暫定予算の役割
少数与党という立場から、政府・与党は参議院で野党の協力なしには予算案を成立させることができません。野党側は、当初予算案の審議に入る前に、政府・与党に対し、審議時間の十分な確保や、一部の予算関連法案の扱いについて、政権側との合意を求めていました。その要求の一つとして、暫定予算案の編成を挙げていたのです。
暫定予算案は、会計年度が始まる4月1日までに当初予算案が成立しなかった場合に、国の財政支出を一時的に保障するものです。憲法第87条に基づき、予算が成立しない場合でも、国の必須の経費支出を可能にするために、国会の議決を経た暫定予算を編成することができます。今回の暫定予算案は、4月1日から11日までの11日間の運営に必要な経費を賄うものと見られています。この暫定予算案の国会提出は、2015年以来、11年ぶりとなります。
政府による暫定予算案の閣議決定は、当初予算案の年度内成立を断念したことを意味しますが、これは参議院での野党との交渉が難航している状況を反映しています。野党が暫定予算案の編成を要求していたのは、単に予算の穴埋めをしたいという理由だけではなく、予算案の審議内容や、国会運営全体に関して、政権側により多くの譲歩を引き出すための戦術的な側面もあったと考えられます。
政府・与党が、当初予算案の年度内成立に固執するよりも、まずは国会運営を円滑に進めることを優先した、と解釈できます。しかし、これはあくまで「つなぎ」であり、本丸である当初予算案の審議が参議院で本格化することになります。野党は、引き続き十分な審議時間を要求すると見られ、与党との間で、審議時間や審議内容を巡る駆け引きが続くことは避けられないでしょう。
この状況は、政府の政策実行能力や、国会における意思決定プロセスの機能不全を浮き彫りにしています。国民生活に直接影響を与える予算案の審議が長期化することは、景気対策や社会保障、安全保障など、喫緊の課題への対応を遅らせる可能性があります。高市政権は、少数与党という議席構成の中で、いかにして野党の理解を得ながら、重要政策を前に進めていくのか、その手腕が改めて問われることになります。
まとめ
- 政府は2026年度当初予算案の年度内成立が困難となり、暫定予算案を3月27日に閣議決定する方針。
- 当初予算案の年度内成立は高市首相の意向だったが、衆院での短時間審議の後、少数与党の参院で野党との交渉が難航。
- 参院野党は、十分な審議時間を確保するために暫定予算案の編成を要求しており、政府・与党はこれに応じる形となった。
- 暫定予算案の提出は11年ぶりで、国会運営の厳しさと政治的駆け引きの継続を示唆している。