2026-03-24 コメント投稿する ▼
高市首相、予算年度内成立に黄信号 野党は「見通し甘い」と批判
当初は高い支持率を背景に強気の姿勢を崩さなかったが、国会運営、特に参議院での「数の力」の限界が露呈し、官邸は「不測の事態に備えて」暫定予算案の編成を検討する方針を表明せざるを得なくなった。 * 2026年度当初予算案の年度内成立が、参議院での野党の抵抗により極めて困難な状況になっている。
参議院での「数の力」の壁
高市政権は、当初予算案を2026年度が始まる3月末までに成立させることで、政権運営の安定感をアピールしたい考えだった。しかし、参議院では自民党が単独過半数を維持しているものの、野党の抵抗を抑え込むには十分な勢力とは言えない。予算案の審議では、野党が時間のかかる質疑を重ねることで、審議日程を遅延させる戦術が可能となる。実際、与党内からも、参議院での審議時間が衆議院の7〜8割程度に収まるのが通例であるにもかかわらず、そのペースが大幅に遅れていることへの懸念が漏れていた。
「日切れ法案が人質に…」といった危機感から、与党内からは年度内成立のシナリオを描けない状況に、首相官邸との間で緊張感が高まっていた。その結果、3月23日には、参議院自民党の幹部らが首相官邸を訪れ、木原稔官房長官に対し、「不測の事態に備えて暫定予算を編成する方向で検討する」という言葉を引き出した。これは、年度内成立が万が一にも実現しなかった場合に備え、予算が途切れる事態を防ぐための暫定予算案への道筋をつけた形だ。
野党からの厳しい批判
この「暫定予算案の編成検討」という言質を、参議院自民党の国会対策委員長が早速、立憲民主党の国対委員長に伝えたところ、予想外の切り返しを受けた。立憲民主党の斎藤嘉隆国対委員長は、「不測の事態ではない。十分に想定できる状況だった」と政府の認識を真っ向から否定した。つまり、野党側は、予算案の審議が遅れることは予見されていたことであり、それを「不測の事態」とする政府の姿勢に、政治的な甘さがあると見ていたのだ。
この政府への反感は、他の野党にも広がっている。国民民主党の玉木雄一郎代表は、自身のSNSアカウント(旧ツイッター)で、「参院で審議日程がはまらず、結局、暫定予算を編成せざるを得ない状況に陥っている。見通しがあまりにも甘かった」と投稿し、政権の国会運営能力に疑問を呈した。玉木代表の指摘は、高市政権が野党との合意形成よりも、多数派工作や強行採決といった手法に頼る姿勢への警戒感の表れとも読み取れる。
「不測の事態」ではない現実
斎藤国対委員長が指摘するように、予算案の審議遅延は、国会運営における常套手段であり、決して「不測の事態」とは言えない。特に、参議院においては、衆議院よりも野党が少数派の政党でも、審議時間を確保したり、政府・与党の姿勢を厳しく追及したりする力を持つ。予算案のような重要法案では、国会会期末までに十分な審議時間を確保するために、与野党間の協議が不可欠である。
高市政権としては、当初予算案を年度内に成立させることで、経済対策や社会保障政策の着実な実行をアピールし、支持率の維持・向上につなげたいという思惑があっただろう。しかし、野党の協力なしに、特に参議院で、自民党が単独で迅速に予算案を成立させることは、現実的に極めて困難だったと言わざるを得ない。この状況を「不測の事態」と捉えるのは、むしろ政治の本質を見誤っているかのようだ。
今後の国会運営と政権への影響
高市首相は、今後も年度内成立の旗を掲げ続けるのか、それとも暫定予算案の編成を現実的な選択肢として受け入れるのか、難しい判断を迫られることになる。野党側は、暫定予算案の編成に同意するとしても、その条件として、予算案の内容に関するさらなる譲歩や、国会運営における透明性の確保などを求めてくる可能性が高い。
参議院自民党幹部が官邸から「暫定予算編成検討」の言質を引き出したことは、党内、特に参議院議員の不安を和らげる狙いがあったと見られる。しかし、野党との関係修復や、建設的な議論を促すためには、官邸のより柔軟な対応が求められるだろう。今回の予算案を巡る攻防は、高市政権の国会運営能力、そして野党との向き合い方を試す最初の大きな試金石となる。この難局を乗り越えられなければ、政権運営全体に影響が及ぶ可能性も否定できない。
まとめ
- 2026年度当初予算案の年度内成立が、参議院での野党の抵抗により極めて困難な状況になっている。
- 高市首相は、官邸として「不測の事態に備えて暫定予算案の編成を検討する」という方針を表明せざるを得なくなった。
- 立憲民主党や国民民主党からは、政府の状況認識の甘さや、国会運営能力への批判が相次いでいる。
- 参議院における「数の力」の限界が露呈し、野党との合意形成の重要性が改めて浮き彫りになった。
- 今後の高市政権は、予算案の成立に向け、野党との粘り強い交渉が求められる。