2026-03-20 コメント投稿する ▼
イランのアラグチ外相「日本船のホルムズ海峡通過を認める用意」 日本側と協議入りを明言
イランのアッバス・アラグチ外相は2026年3月20日、共同通信の電話インタビューに応じ、事実上封鎖されているホルムズ海峡について、日本側との協議を経て日本関連船舶の通過を認める用意があると明らかにしました。米国とイスラエルによるイラン攻撃が2026年2月28日に始まって以来、アラグチ氏が日本メディアのインタビューに応じたのは初めてです。
「敵の船舶を封鎖している」とイラン外相が主張
アラグチ外相氏は「われわれは海峡を封鎖していない。イランを攻撃する敵の船舶に対しては封鎖している」と主張しました。その上で、敵以外で通過を希望する国々の船舶の通過は可能であり、当該国と協議した上で通航の安全を提供する用意があると説明しました。
封鎖の一時解除に向けて、すでに日本側と協議に入ったとも明言しています。一方、戦闘終結をめぐっては「停戦は受け入れない。完全で包括的で永続的な終戦を望む」と述べ、米国・イスラエルとの交戦を続ける強硬な姿勢を改めて示しました。
「イランが日本と交渉に入ったのは一筋の光明。外交的な解決の道を諦めてはいけない」
日本の原油輸入の9割超が中東依存という深刻な現実
ホルムズ海峡は、産油国が集中するペルシャ湾とアラビア海をつなぐ幅約33キロの海峡です。日量約1800万〜2100万バレルの原油と液化天然ガス(LNG)がここを通過し、世界の石油消費量の約2割に相当します。
日本は2025年に原油輸入の約94パーセントを中東に依存しており、そのタンカーの約8割がホルムズ海峡を通ります。米国とイスラエルによるイラン攻撃が始まった後、イランの革命防衛隊がホルムズ海峡付近の船舶に通過禁止を通告したため、日本郵船や川崎汽船など日本の大手海運各社は相次いで海峡通行を停止しました。現在、ペルシャ湾内には多数の日本関係船が留め置かれている状態です。
「タンカーが動かないままでは、いずれガソリンや食料品の価格にも響いてくる。一刻も早い解決を」
原油価格急騰が家計と経済に直撃
攻撃開始前の2026年2月27日時点で1バレル67ドル程度だったWTI原油先物価格は、攻撃開始後から急騰し、2026年3月9日には一時1バレル119ドル台と約3年9か月ぶりの高値まで跳ね上がりました。その後は乱高下を続けていますが、依然として高い水準が続いています。
経済専門家は、原油価格が約30パーセント上昇した場合、洗剤が約9.6パーセント、シャンプーが約6.8パーセント上昇するなど、幅広い日用品・食料品にも価格転嫁が波及すると試算しています。日本の石油備蓄は国内消費の254日分あるとされていますが、封鎖が長期化すれば放出に踏み切る可能性もあります。
日本が数十年にわたるエネルギー政策の結果として、これほどまでに中東依存を続けてきたことが今日の脆弱性の根本原因です。エネルギー調達先の多角化と再生可能エネルギーの本格推進は今すぐ取り組むべき国家的課題です。
「毎度のことながら、中東有事が起きるたびに日本は右往左往する。エネルギー安全保障の抜本改革が急務だ」
外交的解決へ、日本の役割が問われる
今回のイラン外相の発言は、日本が米国の同盟国でありながらも、独自の外交ルートを持つ国として一定の信頼を得ていることを示しています。イランは米国やイスラエルとは交戦中ですが、日本に対しては協議の窓口を開いたのです。
2026年3月19日の日米首脳会談で高市早苗首相は、ホルムズ海峡問題に関してトランプ米大統領に「事態の早期沈静化の必要性」を伝えたとしていますが、自衛隊派遣要請への回答は持ち越しとなっています。イランが日本との対話を望む今こそ、軍事的な選択肢ではなく外交交渉を前面に出すべき局面です。
なお、イラン外相が語った「完全で包括的な終戦」という条件には、将来のイランへの侵略禁止の保証や空爆による損害の賠償も含まれるとされており、交渉の難しさも残っています。日本政府には、外交力を最大限に発揮した実効性ある交渉を進めるとともに、交渉の成果や経緯を国民に対して透明に説明する責務があります。
「日本がイランと話せる立場にあるなら、その外交力を遺憾なく発揮してほしい。今が正念場だ」