2026-03-19 コメント投稿する ▼
日米首脳が11兆円のエネルギー投資で共同文書、小型モジュール炉建設など対象
日米両政府は、ワシントンで2026年3月19日に行われる日米首脳会談に合わせ、最大730億ドル(約11兆5000億円)のエネルギー分野への対米投資に関する共同文書を発表する方針を固めました。米国での次世代原子炉「小型モジュール炉」(SMR)建設など3事業が対象です。
SMRに最大400億ドル投資
文書は「日米間の戦略的投資に関する共同発表」として公表する見通しです。目玉となるSMRは、米テネシー州などで日立製作所と米GEベルノバ社の合弁企業が建設予定で、日本側は最大400億ドルを投資します。
SMRは小型の原子炉を使い、低価格で短期間で製造できます。文書案では「次世代の大規模な安定電源となり、世界的な技術競争における日米のリーダーシップを強化する」としています。
このほか、日本側は、ペンシルベニア州とテキサス州の二つの天然ガス火力発電施設の建設にも最大330億ドルを投資します。人工知能(AI)用データセンター向けで急増する電力需要に対応する計画で、「経済安全保障上、重要な戦略分野でサプライチェーン(供給網)を作り上げる協力を強化する」と打ち出します。
5500億ドル投資の第2弾
これらの事業は、日米関税合意に基づく5500億ドルの対米投資の第2弾の位置づけです。3事業では東芝や日立、三菱電機などの日本企業が重要な部品や設備などを供給します。日本企業の輸出拡大を通じ、経済成長につなげたい考えです。
日米関税合意は2025年7月に成立し、トランプ大統領が当初表明していた対日関税25%を15%に引き下げる代わりに、日本が2029年1月までに5500億ドルを対米投資することで合意したものです。今回の11兆5000億円規模の投資は、この第2弾となります。
第1弾では、2026年3月18日の報道で、SMR、天然ガス火力発電施設2カ所への投資が約10兆円規模になると伝えられていましたが、今回の共同文書では最大730億ドル(約11兆5000億円)と、さらに規模が拡大した形です。
第3弾以降の候補も明記
第3弾以降の候補として、日本向けの増産と日米共同備蓄を念頭に置いた米国での油田開発や大型原子炉などの有望事業を検討することも盛り込みました。
イラン情勢を受け、エネルギーの安定供給が課題となる中、日本の積極的な関与を示す狙いがあるとみられます。米国は3月14日にイランの軍事拠点を攻撃しており、中東情勢が緊迫化しています。こうした状況下で、エネルギー安全保障の強化が急務となっています。
原油の対日輸出増加に向けた事業への投資検討も明記する方針で、イラン情勢を受けた価格高騰を踏まえた対応となります。
日本企業の役割
今回の投資では、日立製作所がSMR建設の中核を担うほか、東芝、三菱電機などが重要な部品や設備を供給します。日本の技術力を活かしながら、米国のエネルギーインフラ整備に貢献する形です。
特にSMRは、従来の大型原子炉と比べて建設期間が短く、コストも抑えられるため、次世代のエネルギー源として期待されています。日米が協力してSMR技術を確立することで、世界的な技術競争でリーダーシップを握る狙いがあります。
高市早苗首相は19日にワシントンでトランプ大統領と会談し、この共同文書を発表する見通しです。日米首脳会談では、エネルギー分野での協力強化のほか、ミサイル防衛構想「ゴールデンドーム」への参加表明、イラン情勢への対応なども議題になるとみられます。