2026-03-17 コメント投稿する ▼
政府の科学技術投資目標、今後5年で倍の60兆円 防衛産業の強化も
現在進められている「第6期科学技術・イノベーション基本計画」(2021~2025年度)では、科学技術予算などの総額目標を30兆円としていました。 政府は、科学技術と国家安全保障との連携を強化すること、そして「デュアルユース(軍民両用)」の研究開発を推進することを、政府として初めて基本計画に明記する方針です。
研究力低下への危機感
小野田紀美・科学技術政策担当相は、閣議後の記者会見でこの目標について説明しました。担当相は「研究力の低迷や、物価・人件費の上昇が続く現状では、国際社会における日本の存在感が埋没してしまうのではないかという懸念がある」と述べ、新たな計画には意欲的な目標を設定する必要があるとの認識を示しました。この発言からは、科学技術分野における日本の現状に対する政府の強い危機感がうかがえます。
過去計画との比較と経緯
現在進められている「第6期科学技術・イノベーション基本計画」(2021~2025年度)では、科学技術予算などの総額目標を30兆円としていました。しかし、2022年から2024年にかけて「新技術立国」を掲げた高市早苗首相が科学技術担当大臣を務めた時期には、5年間の予算実績が既に43兆円を超えていました。今回の60兆円という目標は、この実績をさらに大幅に上回るものであり、科学技術への投資を国家戦略の柱として位置づける姿勢を明確にしています。
防衛・安全保障との連携を初明記
策定中の「第7期科学技術・イノベーション基本計画」には、これまでにはなかった新たな特徴が盛り込まれる見通しです。政府は、科学技術と国家安全保障との連携を強化すること、そして「デュアルユース(軍民両用)」の研究開発を推進することを、政府として初めて基本計画に明記する方針です。具体的には、航空機の無人化・自律化技術といった「防衛産業」に関連する分野を、研究開発を強化すべき重要領域として新たに追加することが発表されました。
財源確保と政権の意向
今回の巨額投資目標の背景には、自民党側からの強い増額要望があったとされています。政府は、単に国家予算を増やすだけでなく、財政投融資や、企業の研究所開発投資を促進するための税制優遇措置なども活用することで、目標達成を目指す方針です。こうした財源確保の多様化は、政府全体として科学技術分野への投資を強力に後押ししようとする意欲の表れと言えるでしょう。
論点と今後の展望
政府が掲げる60兆円という投資目標は、我が国の科学技術分野に大きなインパクトを与える可能性があります。しかし、その使途については、今後さらに詳細な議論が必要となるでしょう。特に、国家安全保障との連携強化や防衛産業への重点投資は、科学技術の平和利用という観点から、慎重な検討が求められます。基礎研究の振興や、幅広い分野でのイノベーション創出に、この巨額投資がどのように貢献するのか、そのバランスが問われそうです。政府は今月中にこの計画を閣議決定する予定であり、その内容が注目されます。