2026-02-27 コメント投稿する ▼
「#ママ戦争止めてくるわ」が映す国民の不安と、高市政権が掲げる「抑止力」の真意
長妻氏は、国を守ることの重要性を認めつつも、防衛力強化が進む中で国民が抱いている「いつか戦争に巻き込まれるのではないか」という不安に対し、政府がどう向き合い、どのように説明していくのかを質しました。 首相は「大切な子供を戦争に巻き込んではならないという思いは、私も強く持っている」と述べ、ハッシュタグに込められた親心に寄り添う姿勢を見せました。
SNSから生まれた「平和への願い」と政治の対峙
2026年の衆議院選挙期間中、SNS上で一つのハッシュタグが大きな注目を集めました。それが「#ママ戦争止めてくるわ」です。この言葉には、急速に進む防衛力の整備や、緊迫する国際情勢に対して、子供を持つ親たちが抱く切実な不安が込められています。
このハッシュタグは、単なるスローガンに留まらず、政府の防衛政策に対する国民の「ブレーキ」としての役割を果たそうとしました。防衛費の増額や装備の拡充が進む中で、「この道は本当に平和につながっているのか」という素朴かつ根源的な疑問が、多くの人々の共感を呼んだのです。そして2026年2月27日、この声はついに国会の予算委員会という公の場で取り上げられることとなりました。
国会で問われた「国民の不安」への答え
中道改革連合の長妻昭氏は、予算委員会の中でこのハッシュタグを引用しました。長妻氏は、国を守ることの重要性を認めつつも、防衛力強化が進む中で国民が抱いている「いつか戦争に巻き込まれるのではないか」という不安に対し、政府がどう向き合い、どのように説明していくのかを質しました。
これに対し、小泉進次郎防衛相は「新たな戦争や紛争を起こしてはならないという思いは、我々も全く同じだ」と明言しました。ハッシュタグを投稿した人々の根底にある「平和への願い」を否定せず、むしろその目的は政府と共通しているという姿勢を示したのです。これは、対立構造を避けることで、国民の理解を得ようとする政府側の配慮が見て取れる答弁でした。
小泉防衛相が説く「自前の防衛力」の必要性
小泉氏は続けて、平和を維持するための具体的な手段について言及しました。彼は、地域の平和と安定を守るためには、日本自身の防衛力を整備し、相手に攻撃を思いとどまらせる「抑止力」と、万が一の際の「対処力」を構築することが不可欠だと主張しました。
「戦争をしたくないからこそ、備えが必要である」という論理です。小泉氏は、この必要性を国民に対して丁寧に説明していく決意を語りました。感情的な不安に対し、論理的な必要性で応えるという、政府としての難しいコミュニケーションの形が浮き彫りになりました。防衛力を高めることが、結果として戦争を遠ざけるという「抑止力理論」を、いかにして一般の国民に浸透させるかが今後の課題となります。
高市首相が強調する「子供を巻き込まない」決意
高市早苗首相もまた、自身の強い思いを言葉にしました。首相は「大切な子供を戦争に巻き込んではならないという思いは、私も強く持っている」と述べ、ハッシュタグに込められた親心に寄り添う姿勢を見せました。高市首相はこれまでも保守的な立場から防衛力の強化を訴えてきましたが、ここでは「母親」としての視点にも触れることで、政策のソフト面を強調した形です。
その上で、高市首相は「相手に攻撃を思いとどまらせ、事態の発生そのものの可能性を低下させることが重要だ」と強調しました。防衛力の強化は、戦争をするための準備ではなく、戦争を「起こさせない」ための唯一の手段であるという考えを改めて示した形です。絶対に戦争を起こさないための「平和のための抑止力」という言葉には、政権の強い意志が込められています。
データジャーナリストの視点:感情と論理の溝をどう埋めるか
今回の議論を分析すると、国民が抱く「感情的な不安」と、政府が推進する「論理的な抑止力」の間に、依然として大きな溝があることが分かります。SNSで拡散されたハッシュタグは、理屈を超えた直感的な恐怖や拒絶反応の表れでもあります。これに対し、政府は「抑止力」という専門的な概念で対抗していますが、その言葉がどこまで不安を抱える層に届いているかは不透明です。
政府が「思いは同じ」と繰り返すだけでは、この溝は埋まりません。防衛費の増額や装備の拡充が、具体的にどのようにして私たちの日常の平和に直結するのか。それを数字や具体的なシナリオで示し続けることが、これからの高市政権には求められています。SNS時代の政治において、国民の感情的な声をいかに政策の納得感へとつなげていくか。その真価が問われる予算委員会となりました。