2025-12-24 コメント投稿する ▼
日本政府が約8億円拠出フィリピン南部無国籍住民デジタル出生登録支援
日本政府がフィリピン南部の無国籍住民を支援するデジタル出生登録事業で、約8億5800万円を拠出し機材引渡が行われました。バンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域の先住民族サマ・バジャウ族や紛争避難民など約13万人が恩恵を受ける見込みです。
機材引渡式が開催
フィリピンのダバオ市で在フィリピン日本国大使館の遠藤和也大使氏が出席し、国連難民高等弁務官事務所の実施するデジタル出生登録推進事業の機材引渡式が開催されました。
長年の紛争で出生登録が停滞
バンサモロ地域は長年の武力紛争の影響を受けてきた地域です。政府と武装組織の対立により社会経済開発が遅れ、多くの住民が深刻な困窮状態に置かれています。特に先住民族サマ・バジャウ族は海上で生活する漂海民で、多くの人が公的な身分証明書を持っていません。フィリピン全体の出生登録率が96.6パーセントであるのに対し、バンサモロ地域では77パーセントにとどまっています。
出生登録がなければ、教育や医療といった基本的な公共サービスを受けることができず、就労の機会も制限されます。無国籍状態のリスクに晒された人々にとって、出生登録証の取得は社会の一員として生きていく上で不可欠なものです。
30カ月で約13万人を支援
日本政府は2024年6月にこの事業への8億5800万円(約550万米ドル)の拠出を決定しました。事業期間は30カ月で、約13万人が直接的に出生登録の恩恵を受け、将来的には約80万人が間接的に恩恵を受けることを目指しています。
今回の引渡式では、バンサモロ暫定自治政府社会サービス開発省に対して出生登録活動に使う車両が引き渡されました。また、南ラナオ州で啓発活動を推進する若い世代の人々には啓発キットが提供されました。地方民事登録局におけるデジタル化を進めるため、コンピューターやサーバーといった機材も供与され、登録手続きが大幅に効率化される見込みです。
日本のフィリピン支援は平和構築の柱
日本政府はミンダナオ地域における持続可能な開発と恒久的な平和の達成を重視しています。バンサモロ地域では2025年5月に史上初となるバンサモロ議会選挙の実施が予定されており、日本は国連開発計画を通じて有権者教育や選挙プロセスのデジタル化支援にも約2億3400万円を拠出しています。
無国籍の問題は世界中で何百万人もの人々が直面している課題です。国籍を持たない人々は教育や医療を十分に受けられず、移動や就労の自由もありません。日本の支援により、フィリピン南部の無国籍住民が基本的権利を得て、社会の一員として尊厳のある生活を送れるようになることが期待されます。