2025-12-05 コメント投稿する ▼
高市政権がウクライナ地雷除去に40億円支援 日本技術で復興の基盤整備
2025年10月に東京で開催されたウクライナ地雷対策会議(UMAC2025)で高市政権が表明した「ウクライナ地雷対策支援イニシアティブ」を具体化する重要な取り組みとなる。 日本のウクライナ地雷対策支援は、カンボジアでの長年の実績に基づく高度な技術力が特徴となっている。
高市政権がウクライナ地雷対策に40億円支援 日本技術活用で復興加速
高市早苗政権は12月2日、ウクライナにおける地雷・不発弾処理支援として40億円の無償資金協力を実施することを明らかにした。キーウで中込正志駐ウクライナ日本国特命全権大使とイーホル・クリメンコ・ウクライナ内務大臣が「人道的地雷及び不発弾除去のための緊急対応計画」に関する書簡に署名・交換し、日本技術を活用した本格的な地雷対策支援が始動する。
今回の協力は、日本の先端技術を活用した地雷・不発弾処理資機材、爆発物被害者への診療・ケア関連機材、リスク回避教育活動のための資機材整備を通じて、ウクライナの戦争被害からの早期回復と持続的な経済復興を図るものだ。2025年10月に東京で開催されたウクライナ地雷対策会議(UMAC2025)で高市政権が表明した「ウクライナ地雷対策支援イニシアティブ」を具体化する重要な取り組みとなる。
この支援により、ウクライナ全土の約4分の1に及ぶ地雷汚染の解決に向けた国際協力が大幅に強化される見通しだ。
日本の地雷対策技術が世界をリード
日本のウクライナ地雷対策支援は、カンボジアでの長年の実績に基づく高度な技術力が特徴となっている。日本は1998年以降、カンボジアに総額160億円以上の無償資金協力を実施し、地雷処理分野で世界トップレベルの知見を蓄積してきた。
日本が開発した世界最先端の地雷探知機「ALIS」は54台、重機型地雷除去機は22台がすでにウクライナに供与されている。ALISは地雷探知の劇的な効率化を実現し、重機型除去機は低木が生い茂る複雑な地形でも安全に作業を行える優れた性能を誇る。特にロシア軍が空中からばらまいた遠隔散布地雷の除去において、その威力を発揮している。
JICAは日本の地雷除去機メーカーやカンボジア地雷対策センター(CMAC)と協力し、ウクライナ非常事態庁職員14名に対する専門研修を日本とカンボジアで実施した。研修参加者全員が極めて高いレベルで技術を習得し、ウクライナ側から「安全な社会を作り出すウクライナの次世代への支援でもある」と高く評価された。
SNS上でも日本の地雷対策支援への期待が高まっている。
「日本の技術でウクライナの人たちが安全になるなら素晴らしい支援だと思う」
「地雷除去は復興の第一歩。日本が得意分野で貢献できて良い」
「カンボジアでの経験を活かした支援は説得力がある」
「平和憲法の国らしい人道支援として評価できる」
「高市政権の外交政策として評価したい。技術で平和に貢献」
ウクライナの深刻な地雷汚染実態
ウクライナの地雷汚染は現在、世界最悪レベルに達している。2年以上にわたる全面戦争により、ウクライナ領土の4分の1以上が地雷、不発弾、砲弾、その他の戦争関連爆発物で汚染されている可能性がある。
ウクライナ国家地雷対策局によると、2025年9月現在、住民居住地域での地雷・不発弾爆発事件は905件に達し、子どもを含む民間人932人が負傷、354人が死亡した。侵攻開始以降の地雷による死者は329人(うち子ども17人)、負傷者は801人(同91人)に上る。さらに地雷除去作業に従事するウクライナ非常事態庁の作業員24人も命を落とすなど、除去作業自体が命がけの危険な任務となっている。
ウクライナ非常事態庁によれば、これまでに36万7000個以上の爆発物が除去されているが、国内の地雷汚染の深刻さから完全な除去には数十年を要するとみられている。地雷や不発弾の存在は住民の安心・安全を脅かすだけでなく、農業、物流、産業の復旧・復興にとって決定的な障害となっている。
国際協力体制の強化が急務
高市政権の40億円支援は、米国の対外援助見直しによりウクライナの地雷除去活動が深刻な打撃を受ける中で実施される重要な国際協力となる。米政権の方針変更により、北部チェルニヒウでは有力な国際NGOの事務所が閉鎖に追い込まれるなど、国際支援体制の縮小が深刻な問題となっている。
ウクライナ政府は2023年に地雷汚染土地の80パーセントを10年以内に利用可能にする目標を表明していたが、侵攻長期化と米国援助見直しにより目標達成には暗雲が漂っている。オランダ、デンマーク、ノルウェーなどからの援助は継続されているものの、米国の支援規模をカバーすることは困難な状況だ。
このような状況下で、日本が主導したUMAC2025は約75の国・国際機関から閣僚や関係者が参加し、地雷対策の重要性を国際社会に広く発信する重要な機会となった。高市政権が表明した「ウクライナ地雷対策支援イニシアティブ」は、人材育成・能力強化支援、社会経済活性化、医療・福祉分野への貢献など、復興プロセスに不可欠な包括的支援を示している。
技術外交としての戦略的意義
日本のウクライナ地雷対策支援は、平和憲法を持つ国としての制約がある中で、人道支援を通じて国際貢献を果たす重要な技術外交として位置づけられる。直接的な軍事支援が困難な日本にとって、得意分野である地雷除去技術での貢献は戦略的価値が高い。
防衛省・自衛隊も地雷除去コアリションを通じてリトアニアでウクライナ兵に対する人道地雷除去教育訓練に陸上自衛隊教官2名を派遣するなど、多層的な支援体制を構築している。これらの取り組みは、リトアニアや北欧諸国との関係強化にも寄与している。
JICAを中心とした日本の地雷対策支援は、「ウクライナの人々が自分たちで計画を立てて探査・除去をやっていけるようになる」ことを目指した能力強化を主眼としている。支援する側が現地で直接作業するのではなく、ウクライナ側の自立的な対応能力向上を重視する点が日本のアプローチの特徴だ。
高市政権による今回の40億円支援は、継続的な復興プロセスを支える長期的視点に立った国際協力として、ウクライナの戦後復興と地域安定に大きく貢献することが期待される。