2025-11-28 コメント投稿する ▼
10月有効求人倍率1.18倍に低下 物価高と賃上げで企業が求人見直し
2025年10月の有効求人倍率は全国平均で1.18倍となり、前の月を0.02ポイント下回りました。 厚生労働省は「原材料費の高騰や最低賃金の引き上げの影響などで、求人を見直す企業が出ている」と分析している。 最低賃金の引き上げにより求人を見直す動きも一部であったと厚労省担当者は述べており、賃上げ圧力が企業の採用戦略に影響を与えていることが明らかになった。
有効求人倍率2カ月ぶり低下1.18倍
物価高・賃上げ圧迫で企業が求人見直し、雇用情勢に転換の兆し
2025年10月の有効求人倍率は全国平均で1.18倍となり、前の月を0.02ポイント下回りました。厚生労働省が2025年11月28日に発表したデータで明らかになった。2カ月ぶりの低下で、1.20倍を下回るのは2022年1月以来となり、これまで堅調だった雇用情勢に変化の兆しが見えている。
一方、総務省が同日発表した完全失業率は2.6%で前月と同率となった。就業者数は6863万人で前年同月に比べ49万人増加し、38か月連続の増加を記録している。
物価高騰と最低賃金引き上げが企業経営を圧迫
有効求人倍率低下の背景には、企業を取り巻く厳しい経営環境がある。厚生労働省は「原材料費の高騰や最低賃金の引き上げの影響などで、求人を見直す企業が出ている」と分析している。最低賃金の引き上げにより求人を見直す動きも一部であったと厚労省担当者は述べており、賃上げ圧力が企業の採用戦略に影響を与えていることが明らかになった。
「最低賃金上がったから時給見直ししなきゃ、でも予算厳しいなぁ」
「原材料高で利益減ってるのに人件費も上がってキツイ」
「求人出したくても条件良くしないと人来ないし悩ましい」
「物価高でコスト増なのに賃上げ圧力もあって大変」
「中小企業は人材確保と経営のバランスが難しい」
2025年度の最低賃金は全国加重平均で1,121円となり、66円という過去最大幅の引き上げが実施された。この影響で賃上げを実施しない理由として原材料価格などの高騰を挙げた企業が49.5%に上っており、企業の厳しい経営状況がうかがえる。
新規求人数減少が示す企業の慎重姿勢
有効求人数は前月比1.8%減った一方、有効求職者数は横ばいで推移した。より注目すべきは、景気の先行指標とされる新規求人数の動向だ。新規求人数(原数値)は前年同月と比べて6.4%減ったことが判明している。
業種別では、宿泊・飲食サービス業が16.1%減、卸売・小売業は12.8%減となり、サービス業を中心に求人抑制が顕著になっている。省人化と物価高騰などで求人を控える動きがあったとされ、企業が人件費圧縮に向けた構造転換を進めている可能性がある。
雇用の質的変化と企業対応の分岐点
今回の有効求人倍率低下は、単なる一時的な調整ではなく、日本の雇用情勢における構造的変化の始まりを示している可能性がある。2023年、2024年と連続で賃上げに踏み切った企業では、すでに人件費負担が大きく増加しており、企業が持続可能な経営と人材確保の両立を模索している段階にある。
2025年度に賃金改善を見込む企業は73.6%と高い水準を維持している一方で、価格転嫁ができていない企業が36.4%に上るなど、企業間での対応格差が拡大している。賃上げは物価高への対応から、採用競争力の向上と、資金力のある企業が従業員のさらなるエンゲージメント向上のために実施されるフェーズへと変わりましたとの指摘もあり、企業の体力によって雇用戦略が二極化する傾向が強まっている。
この雇用情勢の変化は、政府の経済政策にも影響を与える可能性がある。石破内閣は物価上昇を上回る賃上げの普及・定着を主要政策に掲げているが、企業の求人抑制が続けば、雇用創出と賃上げの両立という難しい課題に直面することになる。今後の雇用統計の推移が注目される中、企業と政府双方にとって持続可能な成長戦略の構築が急務となっている。