2025-11-26 コメント投稿する ▼
高市早苗首相初党首討論、台湾有事答弁めぐり立民と攻防 野党配慮と議員定数削減提案で政治バランス重視
最大の焦点となったのは、高市首相が11月7日の衆院予算委員会で行った台湾有事に関する答弁だった。 野田氏が企業・団体献金の規制強化について質問すると、高市首相は逆に議員定数削減の実現を呼びかけた。 高市氏は野田氏に対し、議員定数削減への協力を求めて政治的な駆け引きを仕掛けた形となった。
高市首相初の党首討論で安全運転
台湾有事発言めぐり立民代表と攻防、野党に定数削減提案で反撃
高市早苗首相(自民党総裁)は2025年11月26日、首相就任後初となる党首討論に臨み、野党4党の代表と45分間の論戦を繰り広げた。台湾有事を巡る存立危機事態の発言や経済対策、政治改革について議論が行われ、高市氏は慎重な答弁に徹する一方で、議員定数削減を持ち出して野党に反撃する場面も見られた。
台湾有事答弁で立民との激しい攻防
最大の焦点となったのは、高市首相が11月7日の衆院予算委員会で行った台湾有事に関する答弁だった。立憲民主党の野田佳彦代表は、台湾有事が集団的自衛権行使の前提となる「存立危機事態」に該当する可能性を示した首相発言により、日中関係が悪化したと厳しく追及した。
「また台湾について踏み込んだ発言をするのでは」
「日中関係がますます冷え込むのが心配」
「外交はもっと慎重にやってほしい」
「中国との経済関係に影響が出そうで不安」
「アメリカ頼みの外交でいいのか疑問」
高市首相は「政府が全ての情報を総合して判断する」と従来の政府答弁を繰り返し、具体的な事例について「聞かれたので、その範囲で誠実に答えたつもりだ」と説明した。中国との関係については「対話を通じ、より包括的な良い関係を作っていく」と述べ、時折手元の紙に目を落としながら安全運転に徹した。
野田氏は討論後、記者団に対し「具体例を言わなくなった。事実上の撤回だと受け止めた」と語った。一方で自民党中堅は「首相は一線を越えないように慎重だった」と評価し、明暗が分かれた。
野党配慮と反撃のバランス
討論では高市首相が攻めに転じる場面もあった。野田氏が企業・団体献金の規制強化について質問すると、高市首相は逆に議員定数削減の実現を呼びかけた。これは2012年11月の党首討論で、当時首相だった野田氏が自民総裁の安倍晋三元首相に対し、定数削減を条件に衆院解散を約束した経緯を想起させるものだった。
自民党ベテランは「高市首相は狙って発言したのでは」と分析した。高市氏は野田氏に対し、議員定数削減への協力を求めて政治的な駆け引きを仕掛けた形となった。
国民民主との連携重視
衆参両院で少数与党となった高市政権は、野党への配慮も鮮明に示した。国民民主党の玉木雄一郎代表が所得税の非課税枠「年収の壁」の引き上げなど、自民・公明・国民民主の3党合意の履行を求めると、高市首相は「さまざまな工夫をしながら一緒に関所を乗り越えていこう」と前向きに応じた。
高市首相は「やはり政治の安定は大事だ。力を借りたい」と述べ、国民民主党との連携強化への期待を明確に表明した。少数与党下での政権運営において、国民民主党の協力が不可欠であることを改めて印象付けた。
参政党も初参加でスパイ防止法議論
参院選で躍進した参政党の神谷宗幣代表も初めて党首討論に参加した。わずか3分という持ち時間ながら、スパイ防止法制定について質問し、高市首相は「速やかに法案を策定することを考えている」と前向きな姿勢を示した。
神谷氏は討論後にSNSで「スパイ防止法はなんとしてもこの機会に」との思いで臨んだと振り返り、時間配分について「スペシューム光線が打てなかったウルトラマンみたい」とユニークに表現した。
今回の党首討論では、高市首相が就任から約1か月で直面する様々な課題への対応方針が浮き彫りになった。台湾有事発言をめぐる日中関係の緊張、少数与党下での政権運営、政治改革への取り組みなど、今後の政治情勢を左右する重要な論点が議論された。