2025-11-26 コメント投稿する ▼
2025年度税収初の80兆円突破、高市政権の積極財政で歳出圧力も
2025年度の国の税収が初めて80兆円の大台を突破することが判明し、高市政権の経済政策と財政運営に注目が集まっています。 高市政権は税収上振れを経済対策の財源として活用する方針を示していますが、財政規律との両立が課題となっています。
歴史的税収80兆円の衝撃
2025年度の国の税収が、賃上げによる所得税収の伸びや物価の上昇を背景にした消費税収の伸びにより、当初の見込みより2兆円余り増えて初めて80兆円台となる見通しとなることが明らかになりました。政府の当初予算では税収を78.4兆円程度と6年連続で過去最高を更新する見通しとしていましたが、これをさらに上回る約80兆7000億円に達する見込みです。
この税収増の背景には複数の要因があります。大手企業を中心とした賃上げの動きにより、年収1,000万円を超える高所得の給与所得者が増加し、2021年から2023年にかけて給与収入800万円から1,500万円の層が49万人増加し、税収で3,082億円の増加に貢献したことが挙げられます。
また、物価上昇により名目所得が増加し、それに伴って税収も増加しており、特に消費税収は物価が上昇する分だけ自動的に増加する仕組みが機能しています。さらに株式市場の活況や企業収益の改善により、法人税収が増加し、株式の売却益にかかる税収も大きく伸びている状況です。
「税収80兆円は素晴らしいニュースです」
「物価高の中で税収が増えるのは複雑な気持ち」
「この増収分で減税してほしい」
「財政再建に使うべきだと思います」
「経済が良くなっている証拠でしょうか」
高市政権の積極財政路線
税収増加の一方で、高市政権は「責任ある積極財政」を掲げて大型の経済対策を推進しています。政府は11月21日の臨時閣議で、物価高対策や成長投資などを柱とし、充当する国費は大型減税を含めて21兆3000億円程度の総合経済対策を決定しました。
財源の裏付けとなる2025年度補正予算案の一般会計歳出は17兆7000億円程度とし、2024年度補正の約13兆9000億円を上回り、コロナ禍後では最大となります。この規模について、高市首相は「日本が今行うべきことは、行き過ぎた緊縮財政で国力を衰退させることではなく、積極財政で国力を強くすることだ」と説明しています。
経済対策の内容は多岐にわたります。電気・ガス料金の支援について、来年1~3月の3カ月間、一般家庭で計7000円程度を補助し、今年7~9月の計3000円から大幅に引き上げるほか、子ども1人当たり2万円の児童手当の上乗せ支給では、4000億円程度の予算を措置します。
財政規律と成長の両立課題
高市政権は税収上振れを経済対策の財源として活用する方針を示していますが、財政規律との両立が課題となっています。高市首相は「税収の上振れなどを活用してもなお足りない分は国債の発行により賄う」としつつ、「当初予算と補正予算を合わせた補正後の国債発行額は昨年度の補正後42.1兆円を下回る見込み」と説明しました。
しかし、専門家の間では懸念の声も上がっています。税収弾性値が政府の想定より高く、近年の税収上振れは一時的な側面も大きいが、政府債務残高の対GDP比も2025年度末はコロナ禍前を下回る水準にまで戻る見通しである一方、歳出圧力も強まっているためです。
特に注目されるのは、物価上昇により名目所得が増加し、実質所得に変化がなくても税負担が高まる「ブラケット・クリープ」現象が生じていることです。これに対応するため、所得税の課税最低限の引き上げや「年収の壁」の見直しが議論されており、将来的な税収減要因となる可能性があります。
経済政策の持続可能性
高市政権の経済政策は、短期的な物価高対策と中長期的な成長戦略を組み合わせた包括的なアプローチです。「成長なくして財政の持続可能性は維持できません。次の世代のためにも成長する経済により、企業収益の改善と賃金上昇に伴う個人所得の増加という経済の好循環による税収増を通じて、財政の持続可能性を実現しなくてはならない」と首相は強調しています。
税収増を背景に、新規国債発行額は減少傾向にあり、2025年度は17年ぶりに30兆円を下回る見込みで、財政状況は改善の兆しを見せているものの、歳出も増加し続けており、歳出構造の平時化が課題となっています。
また、少数与党の政治状況下では、歳出の抑制がより難しくなっているとの指摘もあり、高市政権の財政運営手腕が試される状況となっています。今後の経済情勢や税制改正の議論次第では、税収見通しにも変動が生じる可能性があり、継続的な監視が必要です。