2025-11-22 コメント投稿する ▼
中国が日中韓首脳会談拒否 高市首相の台湾有事答弁に反発し関係悪化
高市早苗首相の台湾有事に関する国会答弁が引き金となり、中国が2025年1月開催予定の日中韓首脳会談を拒否していることが明らかになりました。 日中韓首脳会談は2024年5月に韓国で4年半ぶりに開催されたばかりで、次回は日本が議長国として早期開催を目指していました。
高市答弁が引き起こした外交危機
問題の発端は11月7日の衆院予算委員会での高市首相の発言です。立憲民主党の岡田克也氏の質問に対し、台湾有事について「戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得るケース」と明言しました。これは歴代首相が外交的配慮から避け続けてきた具体的な言及でした。
存立危機事態とは2015年の安全保障関連法で設けられた概念で、日本と密接な関係にある他国への武力攻撃により日本の存立が脅かされる場合、限定的な集団的自衛権の行使を可能にするものです。高市氏の発言は、台湾有事の際に日本が米軍とともに武力行使に踏み切る可能性を示唆したものとして、中国が激しく反発しました。
岡田氏は後に「まずいと思ってすぐに話題を変えた」と振り返るほど、予想外の踏み込んだ発言でした。歴代政府が維持してきた戦略的曖昧さを高市氏が放棄したことで、日中関係は急速に悪化しました。
「高市首相の発言は中国を刺激しすぎ。外交は慎重にやってほしい」
「台湾問題で日本も当事者になるなんて、戦争に巻き込まれるのは嫌だ」
「でも中国の圧力に屈するのも情けない。毅然とした態度も必要では」
「経済制裁の応酬になったら困るのは国民。政治家は責任取れるのか」
「安全保障は大事だけど、もう少し外交的に上手くやれなかったのか」
中国の報復措置が多方面に拡大
中国の反発は即座に行動に移されました。11月14日には国民に日本への渡航自粛を要請し、国有旅行会社2社が既に予約済みの団体旅行を中止しました。さらに19日には、11月に再開したばかりの日本産水産物の輸入を事実上停止すると通告しました。
中国は2023年に福島第一原発の処理水放出を理由に日本産水産物の輸入を全面停止していましたが、今年6月に37道府県の水産物について輸入再開を発表していました。北海道産ホタテの輸出も11月上旬に再開されたばかりでした。しかし高市発言を受けて「放射線検査に不足がある」として再び輸入停止に転じました。
中国外務省の毛寧報道官は「高市首相が台湾に関する誤った発言をした」と明確に報復の理由を説明しています。さらに中国国家安全省は高市首相が「火遊びをしている」とソーシャルメディアで非難し、発言撤回を求めています。
3カ国協力への深刻な影響
影響は日中間にとどまらず、日中韓3カ国の協力関係全体に拡大しています。中国は韓国に対し、11月24日に予定していた日中韓文化相会合の暫定的延期を通知しました。これにより来年1月の首脳会談開催も事実上困難な状況となっています。
複数の外交筋によると、日本は年内の首脳会談開催が国会日程で困難なため、中韓両国に来年1月の実施を水面下で打診していました。しかし中国は外交ルートで関係国に「首相が適切に対応しないため、首脳会談には応じられない」と伝達したとされます。
日中韓首脳会談は2024年5月に韓国で4年半ぶりに開催されたばかりで、次回は日本が議長国として早期開催を目指していました。しかし今回の事態により、3カ国協力の継続性に大きな疑問符が付くことになりました。
政府の対応と今後の見通し
高市首相は21日、台湾有事に関する自身の答弁について「政府として繰り返し述べてきた通りで、政府の立場は一貫している」と発言撤回を拒否しました。木原稔官房長官も「今後は慎重に」と述べる一方、政府見解の変更は否定しています。
外務省幹部は中国による対日強硬姿勢について「関係正常化には4から5年かかるかもしれない」と長期化を懸念しています。別の幹部も「中国は米国とうまく外交関係ができている以上、日本を気に掛ける必要がない。今後も圧力を強めるだろう」と分析しています。
一方で水産業界からは「外交カードとして扱われ、経営が翻弄されるのはうんざり」との声が上がっており、民間レベルでの影響拡大も懸念されています。高市政権は安全保障政策の明確化を図る一方で、経済・外交面での代償も背負うことになりました。