2025-11-21 コメント投稿する ▼
中国「日本攻撃に国連許可不要」高市早苗発言で旧敵国条項言及
国連憲章の「旧敵国条項」を根拠に、日本など敗戦国に対して「安全保障理事会の許可を要することなく、直接軍事行動をとる権利を有する」と主張している。 今回の中国の主張は、第二次世界大戦中の敵国を対象とした国連憲章の古い条項を持ち出したものだ。
在日本中国大使館は2025年11月21日、中国が国連の許可なしに日本を軍事攻撃できる国際法上の権利に言及した。国連憲章の「旧敵国条項」を根拠に、日本など敗戦国に対して「安全保障理事会の許可を要することなく、直接軍事行動をとる権利を有する」と主張している。
高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁を発端とする日中対立を踏まえたものとみられる。高市氏が2025年11月7日の衆院予算委員会で、台湾有事が「存立危機事態になり得る」と発言したことに中国が激しく反発し、両国関係は急速に冷え込んでいる。
今回の中国の主張は、第二次世界大戦中の敵国を対象とした国連憲章の古い条項を持ち出したものだ。この条項により、理論上は現在でも日本、ドイツ、イタリアなどの旧敵国は、国際法上の平等な扱いを受けていない状況が続いている。
「旧敵国条項なんて知らなかった。まだ敵国扱いされてるなんて信じられない」
「国連憲章にそんな差別的な条項が残ってるなんて、日本は本当の独立国なの?」
「中国がこんなこと言い出すなんて、台湾問題でよほど追い詰められてるのかも」
「これって戦後80年たっても戦争が終わってないってことじゃない?」
「日本も核武装を真剣に考える時期に来てるのでは」
国連憲章の差別的な遺物「旧敵国条項」とは
旧敵国条項は、国連憲章第53条、第77条、第107条に規定されており、第二次世界大戦中に連合国の敵国であった日本、ドイツ、イタリアなど7か国を対象としている。その内容は極めて差別的だ。
条項の主旨は「旧敵国からの侵略に備える地域的取極に基づいてとられる強制行動は、安全保障理事会の許可を必要とせず、安全保障理事会への報告だけで足りる」というものである。つまり、日本などの旧敵国が何らかの軍事行動を取った場合、連合国側の国々は国連の承認を得ることなく、独自に軍事制裁を加えることができるとされている。
この条項が設けられた背景には、第二次大戦の戦勝国である連合国側の危機感があった。枢軸国の侵略政策の再現に備えて設けられたもので、国連の枠外で紛争解決のための強制行動が随意にとられることを認める内容となっている。
現在、旧敵国として明確に指定されているのは日本、ドイツ、イタリア、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、フィンランドの7か国だ。これらの国々は全て現在の国連加盟国であり、平和国家として国際社会に貢献している。にもかかわらず、国連憲章上では今でも「敵国」として扱われているのが現実である。
死文化しているが削除されない条項の矛盾
1995年9月の国連総会では、全ての常任理事国を含む155カ国の賛成によって旧敵国条項は既に死文化しているという認識を示す採択がなされている。さらに、2005年9月の国連首脳会合では、国連憲章上の「敵国」への言及を削除するという全加盟国首脳の決意を示す成果文書が採択されている。
しかし、条項の実際の削除は実現していない。憲章改正には安全保障理事会常任理事国5か国を含む国連加盟国3分の2以上が決議に賛成したうえで、国内での批准手続きが必要だからだ。とりわけ、中国とロシアは敵国条項を外交カードとして使っており、条項削除は国益に反するため反対しているのが実情である。
大谷良雄氏は「安保理や自衛権などに関わりなく旧敵国を攻撃できるという特権を、行使し得る側が放棄する合理的な理由を見出せない」と指摘している。つまり、この特権的地位を手放したくない国々が存在する限り、条項の削除は困難ということになる。
現にソビエト連邦およびその継承国であるロシア連邦は、「死文化」決議には賛成しているものの、しばしば敵国条項に言及している。今回の中国の発言も、この延長線上にあると考えられる。
真の独立国家への道のりは険しい
1970年の参議院予算委員会で日本社会党の木村禧八郎参議院議員は「敵国条項がなくならなければ日本の戦後は終わったとはいえない」と指摘している。この発言から55年が経過した現在でも、状況は根本的に変わっていない。
法的には、高野雄一氏が「講和あるいは国連加入によりこれらの規定の適用はなくなるというこの解釈は保証されていない」と指摘しているように、旧敵国条項の適用除外は確実ではない。つまり、日本は国際法上、完全に平等な主権国家として扱われているとは言い切れないのが現実である。
この問題は単なる法文上の問題ではない。中国とロシアが敵国条項を外交カードとして使い、日本の軍事的台頭を警戒し、歴史問題を蒸し返す際にこの条項を引き合いに出して圧力をかけている現状がある。
今回の中国の発言は、台湾問題を巡る緊張が高まる中で、日本に対する威嚇として旧敵国条項を持ち出したものと分析される。これは日本の外交的選択肢を制限し、安全保障政策にも影響を与えかねない深刻な問題だ。
日本政府は憲章第53条、第77条及び第107条からいわゆる「旧敵国条項」を削除することを強く主張しているものの、実現への道のりは依然として険しい。国連憲章改正の高いハードルと、常任理事国の政治的思惑が複雑に絡み合っているためである。
敵国条項の撤廃なくして、日本が真の意味での独立国家として国際社会で対等な地位を確保することは困難と言わざるを得ない。戦後80年を経た現在でも、第二次世界大戦の呪縛から完全に解放されていない現実が、今回の中国の発言により改めて浮き彫りになった形である。