2025-11-21 コメント投稿する ▼
高市早苗首相、介護職へ月1万円賃上げを補正予算で実施 医療も+3%支援
「賃上げに取り組む医療機関の従事者に対し、プラス3%を半年分上乗せする」という方針を掲げており、医療・介護両現場での待遇改善を国が前倒しで実施する構図です。 高市首相は補正予算によって、報酬改定を待たずして現場に支援を届けるという方針を打ち出しました。 具体的には、賃上げを実施する医療機関の従事者に対して、報酬を +3%(半年分)で支援する案を掲げています。
介護職の賃上げを前倒し 高市首相、補正予算で月1万円を実施
医療従事者にもプラス3% 上乗せへ
現場・有識者は歓迎と疑問の声
報酬制度の構造改革に向けて
高市早苗首相は21日、臨時国会に提出を目指す今年度の補正予算案で、介護従事者の処遇改善の具体策を発表しました。首相は「介護従事者全般に月1万円を半年分、賃上げする」と明言し、人手不足が深刻な介護現場に即効性のある支援を示す形となりました。
一方、医療分野でも賃金引き上げが盛り込まれています。「賃上げに取り組む医療機関の従事者に対し、プラス3%を半年分上乗せする」という方針を掲げており、医療・介護両現場での待遇改善を国が前倒しで実施する構図です。
介護賃上げの“緊急対応”
政府が今回掲げた経済対策には、物価高騰の中、介護現場での賃上げが遅れているという問題意識が明記されました。高市首相は補正予算によって、報酬改定を待たずして現場に支援を届けるという方針を打ち出しました。これは、介護施設で実際に働く人たちの離職防止を狙った“緊急避難”策といえます。
介護報酬は通常、定期的に見直されますが、政府は今回、来年度の報酬改定を待たずに賃上げを実現。こうしたアプローチは、現場からの強い要請や人手不足への危機感が背景にあるとみられます。
医療現場も見捨てない:補助金+報酬改定
高市首相は医療機関への支援も同時に表明しました。具体的には、賃上げを実施する医療機関の従事者に対して、報酬を +3%(半年分)で支援する案を掲げています。これは、診療報酬(医療の報酬制度)を前倒しで反映させる形の措置です。
また、首相は所信表明の中で「診療報酬・介護報酬に物価上昇を適切に反映させる」と述べ、制度の根幹である公定価格(国が定める報酬の基準)そのものの引き上げを視野に入れていることも明らかにしました。 (公定価格を上げるとは、医療・介護分野の支払い基準を国全体で底上げすることです)
さらに、経営が厳しい医療機関や介護施設には、補助金を使って早期支援を行う方針も打ち出されており、「報酬改定を待つだけでは間に合わない」と政府が判断した形です。
評価と懸念:現場・有識者の本音
現場の介護関係者からは、今回の月1万円の賃上げに対して歓迎の声がある一方、「半年だけでは将来への不安が残る」「長期的な待遇改善にならない」との不満も根強いです。
有識者の間でも、意見が割れています。労働政策の専門家からは「今回の措置は緊急対応にはなるが、構造的な賃金格差を解決するには不十分だ」との指摘があります。
また、財政負担をどう賄うかという課題も無視できません。賃上げを恒久化するには、社会保障の財源や制度設計を見直す必要があるという声もあります。
一方で、政府が公定価格を引き上げる意図を示したことには評価が集まっています。これが実現すれば、医療・介護の報酬制度そのものを底上げし、将来的な賃金改善につながるとの期待もあります。過去の「骨太の方針」でも、公定価格の引き上げが明記されており、今回の動きはその具体化とも位置づけられています。
改革か一時しのぎか
政府としては来年度以降の報酬改定でも医療・介護の待遇改善を継続する構えです。しかし、今回の補正予算の賃上げが 一時的支援にとどまるか、あるいは 制度の根幹から見直す構造改革の起点になるか は、実際の運用と財源確保次第です。
また、補助金頼みの支援が続く場合、財政支出の持続性も問われます。さらに重要なのは、医療・介護を支える人材の定着だけでなく、新たな担い手をどう確保するか。待遇の底上げだけではなく、働きやすさの改善や生産性向上、場合によっては制度設計そのものを抜本的に見直す必要があります。