2025-11-20 コメント投稿する ▼
台湾頼清徳総統が日本産寿司でエール 中国水産物輸入停止に対抗し友好アピール
台湾の頼清徳総統が2025年11月20日、日本産の寿司を食べる写真をSNSに投稿し、中国の水産物輸入停止措置に対抗して日本を支援する姿勢を鮮明にしました。この動きは、高市早苗首相の台湾有事発言をきっかけとした日中関係の悪化が背景にあります。
中国の水産物輸入停止が再開
中国政府は2025年11月19日、日本政府に対し日本産水産物の輸入を再び停止すると通達しました。中国は2023年8月に福島第1原発の処理水放出を理由に日本産水産物の輸入を全面停止していましたが、今年11月に入り北海道産ホタテの対中出荷が確認されていました。
今回の輸入停止は、高市早苗首相が2025年11月7日の国会答弁で「台湾有事は存立危機事態になり得る」と発言したことへの対抗措置とみられています。中国外務省報道官は「高市首相が台湾に関する誤った発言をした」として、品質の安全を保証する資料が提供されていないと説明しました。
「高市総理の発言で中国がまた水産物禁輸って、どう責任取るつもりなの」
「またホタテ農家が困ることになるじゃないか、外交で失敗したツケが回ってくる」
「台湾の総統が日本の魚食べてくれるのは嬉しいけど、根本的な解決にはならない」
「中国の嫌がらせにはもううんざり、でも政治家の発言には慎重になってほしい」
「高市さんの強硬姿勢は支持するけど、経済への影響も考えてほしい」
台湾総統の日本支援表明
こうした状況を受け、台湾の頼清徳総統は2025年11月20日、「今日の昼食は寿司と味噌汁です」とSNSに投稿し、鹿児島産のブリと北海道産のホタテを使った昼食の写真を公開しました。投稿は日本語で書かれ、「台湾と日本の強い友情を示す」とのメッセージも添えられました。
台湾の林佳竜外交部長(外相)も同日、「中国共産党は経済的圧力や軍事的威嚇などの戦術を使って他国をいじめてきた」と指摘し、台湾の人々に対し日本を訪問し日本製品を購入するよう呼びかけました。中国外務省は頼総統の投稿を「パフォーマンス」と非難しています。
水産物輸出への深刻な影響
2022年の日本から中国への水産物輸出額は871億円で、これは水産物輸出総額の22.5%を占める最大の輸出先でした。特にホタテ貝は467億円と中国向け輸出の51.3%を占めており、輸入停止の影響は深刻です。
2024年の中国向け水産物輸出は前年比89.9%減の61億円まで激減しました。業界関係者は代替市場の開拓を進めていますが、中国市場の規模を完全に補うことは困難な状況です。2024年上期には米国向けホタテ輸出が1.6倍、ベトナムが6.8倍、タイが2.5倍に増加するなど一定の成果は出ています。
高市発言が招いた外交危機
高市早苗首相は2025年11月7日の国会答弁で、台湾有事について「戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、存立危機事態になり得るケース」と発言しました。この発言は従来の政府見解よりも踏み込んだ内容で、中国側の激しい反発を招きました。
存立危機事態は2015年成立の安全保障関連法に明記された概念で、日本と密接な関係にある他国への武力攻撃により日本の存立が脅かされる場合に限定的な集団的自衛権の行使を可能とします。政府はこれまで台湾有事が存立危機事態に当たるかについて「全ての情報を総合し、客観的、合理的に判断するため、一概に答えることは困難」として明言を避けてきました。
中国外務省は11月14日、国民に対し日本への渡航を控えるよう呼びかける通知を出し、「日本の指導者が台湾に関し露骨に挑発する発言をし、中国人の身体と生命の安全に重大なリスクをもたらしている」と主張しています。
水産物輸入停止の再開により、日本の対中貿易や観光業への長期的な悪影響が懸念されています。台湾の支援表明は心強いものの、中国市場の代替は容易ではなく、外交的な解決策の模索が急務となっています。一方で、日本の水産物輸出は他国への販路拡大により全体としては堅調な成長を維持しており、リスク分散の重要性が改めて浮き彫りになっています。