2025-11-20 コメント投稿する ▼
グラス米大使「威圧的手段は中国の悪癖」水産物輸入停止を批判 同盟国日本支援を明言
中国が日本産水産物の輸入を再び停止することが2025年11月19日に明らかになったことを受け、米国のグラス駐日大使は20日、自身のX(旧ツイッター)で「同盟国である日本を支えていく」と投稿した。 これに対してグラス大使の迅速な反応は、米国が日中間の緊張激化を懸念し、日本への支援を明確に示す必要があると判断したことを物語っている。
グラス米大使「威圧的手段は中国の悪癖」
水産物輸入停止を強く批判 「同盟国日本を支える」と明言 中国側は反発も
中国が日本産水産物の輸入を再び停止することが2025年11月19日に明らかになったことを受け、米国のグラス駐日大使は20日、自身のX(旧ツイッター)で「同盟国である日本を支えていく」と投稿した。グラス氏は「威圧的な手段に訴えるのは、中国政府にとって断ち難い悪癖のようだ」と中国を痛烈に批判し、日米同盟の結束を改めて示した。
グラス氏は「前回、中国が不当に日本の水産物を禁輸した際、われわれ米国が日本を支援した。今回も同じだ」と明言。中国の対日圧力に対して、米国が一貫して日本を支援する姿勢を鮮明にした。この発言は、中国外務省報道官が「高市首相が台湾に関する誤った発言をした」ことを輸入停止の理由の一つとして挙げたことへの間接的な反論でもある。
中国の報復措置に米国が即座に反応
中国外務省の毛寧報道官は19日、北京で記者団に対し、日本は水産物出荷再開の条件を満たしていないと指摘し、高市早苗首相の発言が撤回されなければ「重大な対抗措置」を取ると主張していた。これに対してグラス大使の迅速な反応は、米国が日中間の緊張激化を懸念し、日本への支援を明確に示す必要があると判断したことを物語っている。
今回の水産物輸入停止の通達のタイミングは、高市早苗首相の国会答弁と重なる。2025年11月7日、高市首相は台湾有事の可能性について「存立危機事態」となりうると述べ、これに対し中国側が強い反発を示していた。中国政府は日本への渡航自粛を呼びかけるなどの応酬を展開しており、水産物輸入停止がこうした外交的緊張の一環として位置づけられている。
「アメリカがこんなに早く支援表明してくれて心強いです」
「中国の威圧的な手段に屈してはいけない、グラス大使ありがとう」
「同盟国としての絆の強さを感じます、日米で協力していきましょう」
「水産業者にとって本当に困る状況だけど、アメリカが支えてくれるなら」
「中国の悪癖という表現がまさにその通りだと思います」
グラス大使の一連の中国批判が注目
グラス大使はこれまでも中国の威圧的行動を一貫して批判してきた。中国の薛剣駐大阪総領事が高市首相に対し「その汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやる」と投稿した問題では、グラス大使が「揺るぎない日米の絆を一層深めるためのご尽力、まことにお疲れさまでございます」とクリスマスカードの画像を添えて皮肉を込めた投稿を行い、話題となった。
グラス氏は18日には「米国は尖閣諸島を含め、日本の防衛に全面的にコミットしている」「中国海警局の船団がどうしようとも、その事実を変えることはできない」とも投稿しており、中国による尖閣諸島周辺での威圧行為に対しても強い牽制を行っている。
中国側の反発と外交摩擦の深刻化
中国外務省の毛寧報道官は18日の記者会見で、グラス大使の発言について「単なる政治的な意図を持った見せかけであり、外交官としてのアイデンティティーと職務に反する」と苦言を呈した。中国側は日米同盟について「冷戦の産物」と批判し、第三者に対して向けられるべきではないと主張している。
中国国家安全省も19日、高市首相が「火遊びをしている」とソーシャルメディアへの投稿で非難し、発言を撤回しなければ何らかの結果を招くと警告するなど、中国側の対日圧力は多方面にわたって強化されている。
水産業界への影響と今後の懸念
日本産水産物の輸入停止の報道を受け、関連銘柄の株価が下落し、ニッスイは3.1%下げた一方、中国の水産関連株は買われ、湛江国聯水産開発は20%高、大湖健康産業は10%上昇した。市場は中国の報復措置が日本の水産業界に与える打撃を懸念している。
中国政府は国民に日本への渡航を控えるよう警告し、これにより少なくとも国有旅行会社2社が既に予約済みだった団体旅行を中止したという情報もあり、観光業界への波及効果も懸念されている。
過去の経験を踏まえた米国の対応
グラス大使が言及した「前回の支援」は、2023年8月の東京電力福島第1原発処理水放出に伴う中国の全面禁輸措置を指している。当時も米国は科学的根拠に基づいて日本の立場を支持し、国際原子力機関(IAEA)の安全性評価を後押しした経緯がある。
過去に中国が日本、オーストラリア、韓国などと対立した際、経済制裁を手段として用いたことから、今回も貿易を武器化する可能性が懸念される。領有権を巡り中国と日本が対立した10年余り前には、レアアースの対日輸出を一時停止した例がある。
日米連携の重要性が浮き彫りに
今回のグラス大使の迅速な支援表明は、中国の威圧的外交に対する日米連携の重要性を改めて浮き彫りにした。「威圧的な手段は悪癖」という表現は、中国の対外政策の本質を端的に表現したものとして注目される。
木原稔官房長官は19日の記者会見で、中国が日本産水産物の輸入を停止したとの報道について「中国政府から連絡を受けた事実はない」としつつも、「中国側に輸出円滑化を働き掛けるとともに、残された10都県産の輸入規制撤廃等を強く求める」との従来通りの立場を示している。
日本政府は冷静な対応を維持する一方で、米国からの強力な支援を背景に、中国との外交摩擦に対処していく構えだ。グラス大使の「悪癖」発言は、今後の日中関係の行方を占う上で重要な意味を持つと見られている。