2025-11-19 コメント投稿する ▼
高市政権チャドに2億円食糧支援決定
高市政権は11月18日、中央アフリカのチャド共和国が深刻な食糧危機に直面していることを受け、国際連合世界食糧計画(WFP)を通じて2億円の無償資金協力を実施すると発表しました。 特に現在の物価高局面では、国民の負担で行う海外援助については、日本にとっての具体的なメリットや戦略的価値を明確に示す必要があります。
国益説明不足で批判拡大
高市政権、チャドに2億円食糧支援-WFP経由で340万人の食糧危機に対応も海外援助の妥当性に疑問符
高市政権は11月18日、中央アフリカのチャド共和国が深刻な食糧危機に直面していることを受け、国際連合世界食糧計画(WFP)を通じて2億円の無償資金協力を実施すると発表しました。しかし、国内で物価高対策や減税を求める声が強まる中、海外援助に対する国益説明の不十分さに批判が集まっています。
340万人が深刻な食糧危機に直面
チャドは、国土の3分の2が砂漠に覆われている内陸国であり、不安定な政治状況や気候変動による降水量減少が農業生産に影響を及ぼしています。また、2023年4月のスーダン国内の衝突による多数の難民流入により食料価格が高騰し、2025年には、国民の2割、約340万人が深刻な食料危機に直面しています。
外務省の発表によると、チャドは2025年の世界飢餓指数において、5段階中3番目に深刻な「Serious」に分類されています。近隣諸国の情勢を受けた難民及び帰還者の受入れや洪水等の気候関連災害による不作、ウクライナ情勢等の影響による物価上昇や食料需給の逼迫等の複合的な要因により、対策が急務となっています。
11月18日、カメルーンの首都ヤウンデにおいて、駐チャド共和国日本国特命全権大使とジャンルーカ・フェレーラWFPカメルーン事務所代表との間で、供与額2億円の無償資金協力「食糧援助(WFP連携)」に関する書簡の署名・交換が実施されました。
TICAD公約の具体化も国益説明に課題
この協力は、チャドの食料安全保障の改善等を目的とし、同国に対し、WFPを通じ、我が国政府米及び日本産魚缶詰による食糧援助を実施するものです。
我が国は、2022年8月に開催した第8回アフリカ開発会議(TICAD 8)において、「食料危機対応・持続可能な農業生産支援」に取り組むことを表明しており、この協力はこれを具体化するものです。
しかし、海外援助は国益説明が必須であり、ポピュリズム外交を避けるべきとの指摘が政治・経済関係者から相次いでいます。特に現在の物価高局面では、国民の負担で行う海外援助については、日本にとっての具体的なメリットや戦略的価値を明確に示す必要があります。
「なぜ日本の税金を海外にばらまくのか」
「国内の困窮世帯を先に助けるべきだ」
「チャド支援が日本にどんな利益をもたらすのか不明」
「アフリカ外交の戦略性が見えない」
「2億円あれば国内減税に使えるのに」
継続的な支援実績も説明責任果たせず
日本政府は昨年12月17日にも、2億円の対チャド無償資金協力「食糧援助」を実施していました。この支援では、WFPを通じ、チャドに2億円相当の食糧支援が学校給食の形で行われ、児童の栄養状態の改善や就学率の向上に貢献していたとされています。
国連WFPは、チャドではカメルーン難民のほか、中央アフリカ共和国、ナイジェリア、スーダンからの50万人以上の難民、23万4000人の国内避難民、気候危機の影響を受けた86万2000人の食料不安の人びとに支援を行っています。
しかし、継続的な支援にもかかわらず、日本国民に対してチャド支援が日本の国益にどう寄与するかの説明が不十分との批判が強まっています。
減税優先の声と海外援助への疑問
現在、参院選で示された民意は「減税」であり、物価高対策として財政出動や減税は一刻の猶予も許されない状況にあります。そうした中で、海外援助を継続することについては、十分な国益説明と透明性のある政策決定プロセスが求められます。
TICADの枠組みの下、日本は持続可能な開発や人材育成を後押しすることでアフリカとの協調関係を築いてきましたが、援助ありきの発想ではなく、日本の戦略的利益を明確に位置づけた援助政策への転換が必要との指摘もあります。
特に中国がアフリカで影響力を拡大する中、日本のアフリカ政策についても単なる人道支援を超えた戦略的価値の明確化が求められています。
今回の2億円支援についても、チャドとの関係強化が日本にとってどのような戦略的メリットをもたらすのか、具体的な説明が必要でしょう。