2025-11-17 コメント投稿する ▼
台湾頼清徳総統が高市早苗首相答弁支持 中国複合圧力を深刻衝撃と厳しく批判
台湾有事が「存立危機事態」になり得るとした高市早苗首相の国会答弁をめぐって日中間の緊張が激化する中、台湾の頼清徳政権は中国による「複合的な対日圧力」への批判を強化しています。 中国の軍事的圧力を受ける台湾当局は、日米などとの連携強化により中国抑止を図りたい考えで、高市氏の発言を明確に歓迎する姿勢を示しています。 台湾では市民からも中国の対応への批判的な声が上がっています。
台湾頼政権が高市首相支持 中国の複合圧力を厳しく批判「平和に深刻衝撃」
台湾有事が「存立危機事態」になり得るとした高市早苗首相の国会答弁をめぐって日中間の緊張が激化する中、台湾の頼清徳政権は中国による「複合的な対日圧力」への批判を強化しています。中国の軍事的圧力を受ける台湾当局は、日米などとの連携強化により中国抑止を図りたい考えで、高市氏の発言を明確に歓迎する姿勢を示しています。
頼清徳総統は2025年11月17日、記者団に対し「中国が日本に加えている『複合的な攻撃』は、インド太平洋の平和と安定に深刻な衝撃を与えている」と強く非難し、「中国はトラブルメーカーになるべきではない」と自制を求めました。
中国の軍事行動も「複合攻撃」の一環
台湾側が指摘する「複合的な攻撃」には、中国政府による日本渡航の自粛や留学の「慎重な検討」呼びかけなどの経済圧力に加え、軍事行動も含まれるとみられています。中国江蘇省の海事当局は11月15日、沿海の黄海中部で実弾射撃訓練を実施するとして11月17日から19日に船舶の進入禁止海域を設けており、台湾側は一連の動きを日本への威嚇と捉えています。
台湾の総統府は11月15日、日本に対する「不当で一方的な行為」をすぐに止めるよう中国に呼び掛ける報道官談話を発表しました。「台湾と日本は自由と民主主義の価値を共有し、緊密な友好関係にある」と強調し、中国の圧力行為を明確に批判する立場を鮮明にしています。
台湾では市民からも中国の対応への批判的な声が上がっています。
「中国のやり方は本当にひどい。圧力外交はもうやめてほしい」
「日本が台湾を守ろうとしてくれるのは心強い」
「高市首相の発言は台湾にとって力強い支援メッセージだ」
「中国の軍事訓練で地域全体が不安になっている」
「民主主義国家同士の連携こそが平和を守る」
野党国民党内で対中融和派が高市氏批判
一方、対中融和路線の最大野党・中国国民党内では統一志向の強い人々から高市氏への批判的な声も上がっています。元党主席の洪秀柱氏は11月15日、高市氏の国会答弁について「中国への挑発であるだけでなく台湾を危機の瀬戸際に追い込むもの」とSNSで厳しく非難しました。
洪氏は「いかなる外部勢力も中国の核心的利益に挑戦すれば必ず失敗する」として、中国側の主張をそのまま代弁する発言を行いました。また「台海の事、関妳日本人什麼事?(台湾海峡の件が日本人に何の関係があるのか)」と過激な表現で日本の関与を拒絶する姿勢を示しています。
総統退任後にたびたび中国を訪れるなど対中傾斜を強めている馬英九元総統も「日本政府の軽率な言行を歓迎しない」と批判的な立場を表明しました。馬氏は「両岸(中台)問題は外国に介入させてはならない。両岸の中国人は不一致を平和的に解決できる」と主張し、日本の関与を否定する考えを示しています。
与党民進党が野党批判を強化
こうした野党側の主張に対し、与党・民主進歩党からは強い反発の声が上がっています。民進党関係者は「統一を求める中国が台湾への武力行使を放棄していない現実を無視している」と野党の姿勢を厳しく批判しました。
民進党内では、中国による軍事的圧力が継続する中で、野党の一部が中国の主張に歩調を合わせる発言を行うことへの懸念が広がっています。特に2024年5月の頼政権発足以降、中国が台湾周辺で3回の大規模軍事演習を実施するなど圧力を強化しており、台湾の安全保障環境は一層厳しさを増している状況です。
頼政権は中国の軍事的脅威に対抗するため、米国との関係強化に加え、日本やオーストラリア、フィリピンなどとの安全保障協力を重視する方針を堅持しています。高市首相の今回の発言は、こうした台湾の戦略的思考と合致するものとして、政権内で高く評価されているとみられます。
中国の対日圧力が長期化すれば、台湾を含む地域全体の安全保障環境にさらなる悪影響を与える可能性があり、関係各国の対応が注目されています。