2025-11-16 コメント: 2件 ▼
高市早苗首相の台湾有事「存立危機事態」発言で中国反発、尖閣に海警4隻侵入
沖縄県石垣市の尖閣諸島沖で2025年11月16日午前10時15分ごろから30分ごろにかけて、中国海警局の船舶4隻が日本の領海に相次いで侵入した。 尖閣諸島周辺での中国公船の領海侵入は10月15日以来約1か月ぶりとなる。 中国海警局による尖閣諸島周辺での活動は近年常態化している。
中国海警4隻が尖閣領海に一時侵入
沖縄県石垣市の尖閣諸島沖で2025年11月16日午前10時15分ごろから30分ごろにかけて、中国海警局の船舶4隻が日本の領海に相次いで侵入した。第11管区海上保安本部によると、4隻はいずれも南小島周辺の領海に入り、正午までに同島付近から接続水域に出た。尖閣諸島周辺での中国公船の領海侵入は10月15日以来約1か月ぶりとなる。
今回領海侵入した4隻はいずれも砲を搭載している。これらの船舶は15日にも領海外側の接続水域に入っていたことが確認されており、中国側は同日、公式SNSで「釣魚島の領海内」でパトロール活動を行ったと発表していた。海上保安庁は巡視船から退去を求め、約1時間半後に4隻は接続水域へ移動した。
「また中国がやってきた。政府は何をやっているんだ」
「尖閣は日本の領土なのに、なぜ毎回侵入を許すのか」
「高市首相の発言に対する明らかな嫌がらせだろう」
「日本の海上保安庁だけで大丈夫なのか心配になる」
「こんな状況で憲法改正の議論が進まないのはおかしい」
高市首相の台湾発言への反発が背景
今回の領海侵入は、高市早苗首相が11月7日の衆院予算委員会で行った台湾有事に関する発言への中国の反発が背景にある。首相は立憲民主党の岡田克也氏の質問に対し、「戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得る」と答弁した。
存立危機事態とは、日本と密接な関係にある他国への武力攻撃により日本の存立が脅かされる事態で、2015年に成立した安全保障関連法に基づく概念である。これまで政府は台湾有事が存立危機事態にあたるかについて明言を避けてきたが、首相は具体的なケースを示して言及した。
中国外務省は高市氏の発言を「台湾海峡への武力介入の可能性を示唆している」と強く批判。中国の薛剣駐大阪総領事は一時、Xで「その汚い首を一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」との投稿を行った(後に削除)。さらに中国政府は14日に自国民に日本への渡航自粛を呼びかけ、16日には留学についても注意喚起を行うなど、対日圧力を段階的に強化している。
尖閣周辺での中国の活動常態化
中国海警局による尖閣諸島周辺での活動は近年常態化している。海上保安庁によると、2012年9月の尖閣諸島国有化以降、中国公船は荒天の日を除いてほぼ毎日接続水域に入域・航行し、月に数回の頻度で領海侵入を繰り返している。
2025年は11月16日時点で領海侵入は通算28日目となっており、前年の2024年は年間の航行日数が355日と国有化後最多を更新した。特に2025年5月には中国海警局の船から飛び立ったヘリコプターが日本の領空を侵犯する事案も発生している。
また、2025年10月22日まで接続水域での中国海警の連続滞在が335日間続いており、これは国有化後最長記録であった。中国は2021年に海警法を制定し、海警局に武器使用権限を含む強力な権限を付与している。同法には曖昧な適用海域や武器使用権限など国際法との整合性に問題がある規定が含まれており、日本政府は警戒を強めている。
日本政府の対応と今後の課題
日本政府は中国公船の領海侵入に対し、その都度現場で退去要求を行うとともに、外交ルートを通じて中国政府に厳重抗議している。木原稔官房長官は11月11日の記者会見で、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、「台湾を巡る問題が対話により平和的に解決されることを希望する」と述べた。
一方で、中国の習近平政権にとって台湾統一は重要な政治目標であり、高市首相の発言は中国側の神経を逆撫でした形となった。中国政府は日本への対抗措置として、渡航自粛や留学注意喚起に加え、さらなる措置を準備しているとみられる。
尖閣諸島は歴史的にも国際法上も疑いのない日本固有の領土であり、現に日本が有効に支配している。政府は「領土・領海・領空を断固として守り抜く」との方針を堅持しているが、中国の威圧的な行動が続く中、海上保安庁の体制強化や自衛隊との連携強化など、実効的な対処能力の向上が急務となっている。今回の事案は高市首相の発言を契機とした中国の圧力強化の一環とみられ、今後も類似の挑発行為が続く可能性が高い。