2025-11-17 コメント投稿する ▼
台湾有事集団的自衛権行使に賛成48% 世代・性別・政党支持で明確な温度差が判明
賛成派がわずかに上回る結果となりましたが、年代別、性別、支持政党別で明確な温度差が浮き彫りになりました。 この結果は、戦後日本の安全保障政策に対する世代間の価値観の違いを鮮明に示しています。 男性では賛成派が57.4%と過半数を占め、反対派の38.5%を大きく上回りました。 支持政党別では政党間の安全保障政策の違いが如実に反映される結果となりました。
共同通信が2025年11月15日・16日に実施した全国電話世論調査で、高市早苗首相が国会で答弁した「台湾有事」での集団的自衛権行使について聞いたところ、「賛成」が48.8%、「反対」が44.2%となりました。賛成派がわずかに上回る結果となりましたが、年代別、性別、支持政党別で明確な温度差が浮き彫りになりました。
特に注目されるのは世代間の顕著な違いです。60代以上の高年層では反対が52.5%と過半数を占め、賛成の39.9%を大きく上回りました。一方、30代以下の若年層では賛成が58.7%、40代から50代の中年層でも賛成が52.1%となり、若い世代ほど集団的自衛権行使に理解を示す傾向が明らかになりました。この結果は、戦後日本の安全保障政策に対する世代間の価値観の違いを鮮明に示しています。
性別では男女で賛否が逆転
性別による違いも際立っています。男性では賛成派が57.4%と過半数を占め、反対派の38.5%を大きく上回りました。しかし女性では賛成派が40.7%にとどまり、反対派の49.6%が上回る結果となり、男女で賛否が完全に逆転する形となりました。
この男女差は約17ポイントにも及び、安全保障政策に対する男女の意識の違いが明確に表れています。男性の方が台湾有事への危機感や日米同盟の重要性を強く意識している一方、女性の方が軍事的関与への慎重論が強いことが示されました。
政府が進める防衛力強化や安保政策の転換について、国民世論の理解を得るためには、特に女性や高年層への丁寧な説明が不可欠であることが浮き彫りになりました。高市首相は女性初の首相として就任しており、女性の安全保障への関心や理解を深める役割も期待されています。
「若い世代の方が現実的に考えているのかもしれない」
「戦争を知らない世代だから軽く考えているのでは」
「女性の方が平和への思いが強いということか」
「時代の変化で安全保障の考え方も変わった」
「もっと国民的な議論が必要だ」
支持政党別では参政党が最高の80%
支持政党別では政党間の安全保障政策の違いが如実に反映される結果となりました。最も賛成率が高かったのは参政党支持層の80.7%で、続いて日本維新の会が64.7%、自民党が58.3%、国民民主党が57.4%となりました。これらの政党はいずれも反対派を大きく上回っています。
一方、立憲民主党支持層では反対派が73.6%と7割を超え、賛成派を大きく上回りました。公明党支持層でも反対派が67.1%に上り、連立与党内でも温度差があることが明らかになりました。公明党は平和主義を重視する創価学会を支持基盤としており、軍事的関与への慎重姿勢が反映されたものとみられます。
注目すべきは「支持する政党はない」とした無党派層で、賛成派が37.5%、反対派が50.2%となり、反対派が上回ったことです。無党派層は全体の動向を左右する重要な存在であり、政府の安保政策に対する理解促進が課題となっています。
戦後安保政策の大きな転換点
今回の調査結果は、戦後日本の安全保障政策の大きな転換点における国民意識を示すものです。2015年に安全保障関連法が成立し、集団的自衛権の行使が可能になりましたが、その具体的な適用について初めて台湾有事という現実的なシナリオで国民の意識が問われました。
高市首相が11月7日の国会答弁で「台湾有事は存立危機事態になり得る」と明言したことは、歴代首相が曖昧にしてきた台湾問題への日本の関与について、初めて具体的な方針を示したものです。この発言は中国の強い反発を招き、外交問題に発展していますが、国内では一定の理解も得られていることが今回の調査で判明しました。
世代間の意識の違いは、戦後教育や価値観の変化を反映したものといえます。60代以上の高年層は戦後復興期から高度経済成長期にかけて平和主義教育を受けた世代であり、軍事的関与への慎重論が根強くあります。一方、若い世代は冷戦終結後の国際情勢の変化や中国の軍事的台頭を目の当たりにし、より現実主義的な安全保障観を持っていることが示されています。
政党別の結果も、各党の安全保障政策の違いを明確に示しています。参政党の支持層で賛成率が最も高かったことは、同党が掲げる保守的な安全保障政策への支持の表れといえます。一方、立憲民主党や公明党の支持層で反対が多いことは、護憲・平和主義路線への支持を示しています。
この世論調査の結果は、政府の安全保障政策の推進にとって重要な指標となります。全体では賛成派がわずかに上回ったものの、女性や高年層、無党派層では慎重論が強いことから、政府にはより丁寧な説明と国民的議論が求められています。台湾海峡をめぐる緊張が高まる中、国民の理解と合意形成が日本の安全保障政策の実効性を左右することになるでしょう。