2025-11-15 コメント: 1件 ▼
台湾総統府が中国を強く批判「日本への脅しは地域安定脅かす」高市早苗首相発言巡り
台湾総統府の郭雅慧報道官は2025年11月15日、高市早苗首相の台湾有事発言を巡る中国の一連の反応について「政治目的に基づいた複合的な威嚇でありインド太平洋地域の安全保障や安定に重大な脅威をもたらしている」と強く批判しました。 台湾の反応は、日本の発言が台湾の安全保障に寄与するものとして歓迎されていることを示しています。
台湾総統府の郭雅慧報道官は2025年11月15日、高市早苗首相の台湾有事発言を巡る中国の一連の反応について「政治目的に基づいた複合的な威嚇でありインド太平洋地域の安全保障や安定に重大な脅威をもたらしている」と強く批判しました。中国に対して「国際社会のトラブルメーカーではなく責任ある大国として不適当で一方的な行為を直ちにやめるよう」訴え、中国の威圧的な外交姿勢を厳しく非難しました。
この発言は、高市首相の台湾有事に関する国会答弁に対して、中国の薛剣駐大阪総領事が「汚い首は斬ってやる」とSNSに投稿したことや、中国政府が日本への渡航自粛を呼びかけるなど、中国側の激しい反発が続いている中で出されたものです。台湾は日本を明確に支持する姿勢を示し、中国の威圧外交に対して国際社会が連携して対応する必要性を訴えています。
台湾が見せた明確な日本支持の姿勢
台湾総統府の郭雅慧報道官は、中国側の一連の反応を「政治目的に基づいた複合的な威嚇」と位置づけ、インド太平洋地域全体の安全保障に対する脅威であると指摘しました。これは台湾が日本の安全保障政策を支持し、中国の威圧的外交を地域の安定を損なう行為として明確に批判したものです。
日本との関係については、「民主主義の価値観や貿易発展、繁栄を共有し国民同士が友好的である」ことを強調し、台湾が日本との価値観共有を重視していることを改めて表明しました。台湾は北京当局の動きを注視しながら、インド太平洋地域の安定維持に向けて日本を含む地域各国と緊密に協力していく方針を明確にしています。
この台湾の発言は、高市首相の台湾有事発言が地域の民主主義陣営から支持されていることを示すものです。中国が「一つの中国」原則を理由に日本の発言を内政干渉と批判している一方で、台湾は自国の安全保障に関わる問題として日本の発言を歓迎する姿勢を鮮明にしています。
「台湾と日本は民主主義の価値を共有している」
「中国の威圧外交は地域全体の問題だ」
「日本の発言は台湾の安全につながる」
「中国は責任ある大国として行動すべき」
「インド太平洋の平和は皆で守らなければならない」
中国の「戦狼外交」が再び活発化
今回の一連の反応で注目されるのは、中国が再び「戦狼外交」と呼ばれる攻撃的な外交姿勢を強めていることです。薛剣駐大阪総領事による「汚い首は斬ってやる」という投稿は、まさに戦狼外交の典型例として国際的な批判を集めています。
戦狼外交とは、2017年頃から中国の外交官が展開するようになった攻撃的な外交姿勢で、映画『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』にちなんで名付けられました。従来の中国外交が「韜光養晦」(爪を隠し、才能を覆い隠し、時期を待つ戦術)として論争を避け、国際協力を重視していたのとは対照的に、他国からの批判に即座に反論または攻撃する態度が特徴です。
台湾外交部の蕭光偉報道官も2025年11月11日の定例記者会見で、薛剣総領事の発言について「中国の外交官による『戦狼』のような言論は驚くべきものであり、道理をわきまえない覇権主義的態度をより一層浮き彫りにした」と批判しました。また「法治国家としての言論に合致しないだけでなく、一国の政府首脳に対して極めて不敬で無礼なもの」と述べ、中国の外交姿勢そのものを問題視しています。
エスカレートする中国の報復措置
中国の反発は外交的な抗議にとどまらず、具体的な報復措置にまで発展しています。2025年11月14日夜、中国外務省は中国国民に対して日本への渡航を控えるよう注意喚起を行いました。この措置は「日本の指導者が台湾に関し露骨に挑発する発言をし、中国人の身体と生命の安全に重大なリスクをもたらしている」ことを理由としています。
中国の航空各社も2025年11月15日、日本発着便の航空券のキャンセル料を一時的に無料にすると発表しており、実際の渡航自粛が始まっていることを示しています。2025年1月から9月までの中国からの訪日客数は約749万人と国・地域別で最も多いことから、この措置は日本の観光業界に大きな影響を与える可能性があります。
中国側の一連の反応について、台湾総統府は2025年11月10日の時点で既に「明らかに外交マナーを逸脱している」と批判していました。台湾外交部も同日、薛剣総領事の発言を受けて「覇権主義的態度をより一層浮き彫りにした」と非難し、中国の外交姿勢そのものに対する懸念を表明していました。
日中台の三角関係に新たな緊張
今回の問題は、日中台の三角関係に新たな緊張をもたらしています。高市首相の台湾有事発言に対して、中国は「極めて悪質な発言で中国への粗暴な内政干渉だ」として強く反発し、「一つの中国」原則に著しく反するとの立場を示しています。
一方、台湾側は「中華民国台湾は主権が独立した国家であり、中華人民共和国とは互いに隷属せず、中華人民共和国は一度たりとも台湾を統治したことがない」と改めて強調し、これは国際社会公認の客観的事実と現状だとの立場を表明しています。
台湾の反応は、日本の発言が台湾の安全保障に寄与するものとして歓迎されていることを示しています。これは中国が主張する「内政干渉」という批判に対する明確な反論でもあり、台湾が自らの安全保障問題について国際社会との連携を重視していることを表しています。
この状況は、インド太平洋地域における安全保障環境が一層複雑化していることを示しています。中国の威圧的な外交姿勢に対して、日本と台湾が価値観を共有する民主主義陣営として連携を深める一方で、中国は経済的な報復措置も含めた圧力を強めており、地域の安定に深刻な影響を与える可能性があります。
台湾総統府の今回の発言は、こうした複雑な状況の中で、民主主義陣営が結束して中国の威圧外交に対抗する必要性を訴えたものといえます。日本と台湾の連携強化が、インド太平洋地域の平和と安定にとってますます重要な要素となっていることを示しています。