2025-11-11 コメント投稿する ▼
高市早苗首相が買春相手方処罰の検討を法相に指示―売春防止法改正へ
高市早苗首相は11日、衆議院予算委員会で「売買春に関わる規定の在り方について必要な検討を法相に指示する」と明言し、売春防止法の買春(相手方)処罰の在り方を見直す方向性を打ち出しました。 平口洋法相は、首相の指示を受けて「近時の社会情勢などを踏まえた売買春に関わる規制の在り方について、必要な検討を行う」と答弁しています。
買春相手方処罰、法改正検討へ 高市早苗首相が法相に指示
高市早苗首相は11日、衆議院予算委員会で「売買春に関わる規定の在り方について必要な検討を法相に指示する」と明言し、売春防止法の買春(相手方)処罰の在り方を見直す方向性を打ち出しました。
現行制度の課題と発言の背景
現在の売春防止法では、売春そのものを明確に処罰する規定はなく、主として売る側の勧誘や客待ち行為などが対象とされています。そのため、買春行為(買う側)を処罰対象にすべきだという議論が長年にわたって存在してきました。
議員・緒方林太郎氏が「はいかイエスで答弁を」と高市首相に迫ったのを契機に、首相が検討指示を出すかたちとなりました。
検討の内容と法律改正のハードル
平口洋法相は、首相の指示を受けて「近時の社会情勢などを踏まえた売買春に関わる規制の在り方について、必要な検討を行う」と答弁しています。
具体的には、買春を明確に処罰対象とするために、以下のような制度設計上の検討が必要です。
・買春という行為を法律上どう定義するか(例:報酬を伴う性交渉を購入する行為)
・買う側だけでなく、売る側の責任・保護の仕組みとのバランス
・刑罰や行政処分の内容、どの程度の罰則を課すのか
・売買春検挙のための証拠収集・捜査体制の整備
これらは、旧来の制度設計では「売る側」保護の観点も強く、買う側処罰を導入するには立法的にも運用的にも大きな変化を要求されます。
社会的・政策的意義と論点
売買春の相手方を処罰対象とすることには、「買う側の需要を断つことで売買春を根絶に近づける」という政策的な狙いがあります。加えて、高市首相はこの発言を通じて「人間の尊厳を傷つける行為を許さない」という基本的立場を改めて示したとも受け止められます。
ただし、私見を述べると、処罰を広げることだけに力点を置くと、法律運用が過度に刑罰主導になり、被害を受ける売る側の保護や再生支援が後回しになる恐れがあります。その点で、企業・団体献金問題や減税優先の視点も考えるなら、刑罰強化だけではなく、社会環境整備・教育・相談支援体制の充実と並行すべきです。
また、法改正を検討する時には、透明かつ民主的な手続きと影響評価が不可欠です。企業活動・行政コスト・司法手続きへの影響を無視すれば、制度が形骸化する可能性があります。
今後の見通しと注目点
この発言が実際に法案提出・改正に結びつくかどうかは、次の点が鍵となります。
・法務省がどの程度具体的な検討をまとめ、法案骨子を提示できるか。
・政府内および政党内での調整、法務・内閣・厚労など複数省庁の利害整合性。
・国会審議の過程で、買う側処罰の目的・効果、売る側保護とのバランス、刑罰の重さ等について国民的な理解を得られるか。
・運用開始後にどのような監視・報告体制が整備されるか。買春実態の把握、証拠収集、被害者支援の流れなどがカギ。
・海外の動向や他国法制度との関係性。日本が国際的な人権・性暴力・人身取引対策の流れにどのように応じるか。
結論として、高市首相の指示は、売買春に関わる規制強化に向けた第一歩と捉えるべきです。とはいえ、制度設計・立法プロセス・運用体制といった山積する課題が残っており、実効的な変化に至るには慎重かつ総合的な取り組みが求められます。