2025-11-03 コメント投稿する ▼
台湾が中国の抗議に反論「APEC原則違反」高市首相との会談は正常な交流
台湾の林信義・元行政院副院長(APEC代表)が11月3日の台北での記者会見で、高市首相との会談に対する中国側の抗議に対して明確に反論。会談は「APECメンバー間の正常な交流」であり、中国の主張は「APEC加盟国の平等参加原則に違反する」と批判。さらに、林氏は日米含む10カ国以上の代表と交流したことを強調し、中国側の論理矛盾を指摘。台湾外交部も2日の声明で「台湾は独立した主権国家」「中国には干渉権がない」と明示している。
正常な外交交流を強調
アジア太平洋経済協力会議(APEC)に台湾代表として参加した林信義・元行政院副院長(副首相に相当)は2025年11月3日、台北の総統府で記者会見を開き、高市早苗首相との会談を巡る中国側の抗議に対して、明確な反論を展開した。 林氏は「APEC加盟国の指導者や代表同士の交流は正常なことだ。何もおかしくない」と述べ、中国の主張が根拠を欠くと指摘した。
高市首相は10月31日と11月1日の2度にわたり、林氏との面会の写真をSNSに投稿。会談は約25分間にわたり、台湾海峡の平和と安定の重要性や、人工知能(AI)、医療、防災といった分野での日台間の協力強化について意見交換した。日本政府は高市首相の発言として「台湾は緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーで大切な友人だ」と公表している。
中国外務省は1日に報道官談話を発表し、高市首相の行為を「『一つの中国』原則に著しく背く」と非難。「台湾独立勢力に重大で誤った信号を送るもので極めて悪質だ」と強い言葉で批判していた。さらに「日本側に厳正な申し入れと強烈な抗議を行った」と明かし、問題の重大性を強調していた。
APEC加盟国の平等な参加を盾に
台湾の外交部(外務省)は2日の声明で、中国側の主張は「あらゆるメンバーの平等な参加という中核的な原則に著しく違反する」と明確に批判した。 林氏も11月3日の記者会見で、APEC構成国21カ国・地域は「対等な立場で参加している」と述べ、中国側の論理矛盾を指摘した。
特に注目されるのは、林氏がAPEC首脳会議の期間中に、日本だけでなく米国を含む10カ国以上のAPEC加盟国・地域の代表と交流したことを強調した点である。外交部の声明は、この点を重視し、中国が高市首相との会談だけを問題視する姿勢が一貫性を欠いていることを指摘している。
「APECの原則に基づけば、台湾と日本の交流は当然の権利だ」
「21の加盟国・地域が対等な立場にあることが、APEC の基本である」
「中国の圧力は、APEC全体の信頼性を損なう」
「日台関係は相互尊重に基づいており、これは正当な外交活動だ」
「台湾は独立した主権国家であり、中国による干渉は受け入れられない」
台湾の主権と独立性を主張
台湾外交部の声明では、さらに踏み込んだ主張が展開されている。「中華民国台湾は独立した主権国家であり、中華人民共和国とは互いに隷属しない」と明記し、「中華人民共和国はこれまで台湾を統治したことはなく、これは国際社会が認める客観的な事実と現状である」と指摘した。
この発言は、中国側が掲げる「一つの中国」原則に対する明確な異議を唱えるものである。さらに「中国には他国の主権行為に干渉する権利はない」と述べ、中国側が高市首相の行動を制御しようとする態度に対して、法的根拠がないと主張している。
歴史的背景と繰り返される対立
中国外務省の報道官談話には、歴史問題も含まれていた。中国側は「日本は長期にわたり台湾を植民し、台湾問題において逃れられない重大な歴史上の罪責がある」と主張し、「より言行を慎むべきだ」と日本に自制を促す言葉を添えていた。これは、日本統治時代(1895年~1945年)を念頭に置いた主張である。
しかし、台湾側の反論では、このような歴史的批判には直接応じず、むしろAPECという国際機構の基本原則に基づいた正当性を主張する戦略が取られている。これは、台湾が国際社会における自らの地位を強調し、中国の単なる政治的主張ではなく、国際法と秩序に基づいて対峙しようとする姿勢を示している。
昨年の先例を踏襲
実は、このような会談と中国側の抗議は前例がある。昨年のペルーで開かれたAPECでも、当時の石破茂首相が台湾代表の林氏と会談しており、その際も中国側が抗議を行っていた。つまり、日本の政界で台湾との関係強化を推し進める姿勢は、一時的な動きではなく、継続的な外交方針として定着しつつあることを示唆している。
高市首相が、中国との首脳会談直後にもかかわらずSNSで台湾代表との交流を公表した行動は、台湾海峡地域における国際的な立場表明として解釈できる。米国との同盟を背景に、台湾の独立性と国際的な地位を支持する姿勢を、高市政権が明確に示したと言えるだろう。 台湾側のこうした毅然とした反論は、今後のアジア太平洋地域における多国間外交の緊張を一層高める可能性がある。