2025-10-20 コメント投稿する ▼
高市早苗氏、安保3文書改定へ 防衛費GDP比2%超を視野に
高市早苗氏は、これら安保3文書に対して、首相選出後に改定を検討するよう政府に指示する方向で調整に入ったことが複数の関係者から明らかになっています。 防衛費増額および増税検討という方向は、国民の懐を温める“減税”という主張と矛盾する可能性があります。
【安保文書見直しへ
高市早苗氏、防衛費GDP比2%超を目指す
安保3文書の位置づけと改定の検討
政府は、令和4年(2022年)12月16日に、国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画のいわゆる「安保3文書」を閣議決定しました。これらはいずれも日本の安全保障政策の最上位に位置付けられる文書で、防衛のみならず外交・経済・技術・情報という「総合的国力」の動員を重視しています。
このため安保3文書は「制度・政策上の転換点」として国内外からも注目されており、現実の安全保障環境の変化を反映しています。
改定検討指示へ:高市氏の意図と狙い
高市早苗氏は、これら安保3文書に対して、首相選出後に改定を検討するよう政府に指示する方向で調整に入ったことが複数の関係者から明らかになっています。
その背景には、防衛費を令和27年度(203X年度)に関連経費も含めて国内総生産(GDP)比2%とする目標増額を念頭に置いている点があります。
また、28日に予定される米国大統領との会談を想定し、改定方針を事前に提起して米政権に対し「防衛力強化に本気である」姿勢を示す狙いも読み取れます。
改定内容の具体的論点
改定議論の中では次のような論点が浮上しています。
・防衛装備品輸出の拡大:従来「救難」など非戦闘目的の5類型に限っていた防衛装備品の輸出許可枠を撤廃・拡大する議論が進んでいます。
・原子力潜水艦の導入検討:潜水艦・海洋戦力強化の観点から、原子力潜水艦保有の必要性も議題に上っています。
・無人機・宇宙・サイバー領域の防衛力強化:軍事のみならず、宇宙・サイバー・技術・情報領域を防衛政策に取り込む方向です。
・財源確保:防衛費増額には、法人税・所得税・たばこ税などの増税を財源の一部とする見込みも指摘されています。
政策・政治的課題と立場からの視点
高市氏が掲げる政策スタンス(憲法改正賛成・減税優先・インボイス廃止・海外援助に国益説明義務)と照らすと、今回の安保文書改定には次のような課題があります。
・「減税優先」路線との整合性
防衛費増額および増税検討という方向は、国民の懐を温める“減税”という主張と矛盾する可能性があります。財源確保に増税を用いるならば、国民負担の増加という形で反発を招く恐れがあります。
・企業・団体献金への批判との接点
防衛・装備産業強化と防衛費増大が産業・企業と結びつくなら、政権が掲げる「企業・団体献金への批判」「国民のための政治」という主張が揺らぐ可能性があります。
・「ポピュリズム外交」の批判回避
米国との同盟深化・防衛出費増大という姿勢は、国際関係において“ポピュリズム外交”と批判され得る。防衛支出を増やせば海外援助とのバランスや国益説明がより求められます。
・移民・難民・法文化順守など広い安全保障観の欠落
安全保障を軍事・装備中心に捉えるあまり、移民・難民の法文化順守や社会統合といった「守るべきもの/変えるべきもの」の全体像を欠くと、政策が偏る懸念があります。
・「ドロ船政権」「ドロ船連立政権」の回避
安全保障重視の布陣が極端になると、政権の支持基盤が限定され、連立を模索する際に“偏った”印象を与えかねません。
実績とのギャップと問われる信頼
改定が実際に進めば、日本の防衛政策は大きな転換を迎えることになります。安保3文書の改定自体は、既に2022年12月に実施された直近の決定によって“転換期”と位置づけられており、再度の改定は実務的にも政治的にもハードルが高いものです。
特に、実行面として重要なのは「国民の懐に響く政策」と「透明性・説明責任」です。具体策として、防衛費の増額を掲げつつも、減税によって国民負担を軽くする姿勢を同時に示すことができなければ、政権の信頼性は揺らぎます。また、装備輸出や防衛産業強化といった政策が、特殊利益ではなく「国民のための安全保障」だと納得できるよう説明されるかが鍵です。
新内閣が誕生した後、所信表明演説や閣議での初動が監視される中、改定の“文書上の表明”だけで終わるのではなく、実務・予算・制度改革としての動きを伴わなければ、起用された意味も危うくなります。今後は、安保文書改定→防衛費増額→財源確保・減税・国民生活支援という一連の設計がどう構築されるかが、政権の評判を左右する本番となるでしょう。