2025-10-21 コメント投稿する ▼
参院首相指名選挙、高市早苗氏が最多得票も過半数届かず 決選投票へ
第219回臨時国会で21日に行われた参議院本会議での首相指名選挙は、いずれの候補者も過半数に届かず、上位2人による決選投票に進むことが確定した。 この結果は、衆議院での首相指名投票では高市氏が選出される見通しである一方、参院では政権運営上の不安定さが残ることを示している。
参院本会議 首相指名選挙は決選投票へ 高市早苗氏が最多得票も過半数届かず
第219回臨時国会で21日に行われた参議院本会議での首相指名選挙は、いずれの候補者も過半数に届かず、上位2人による決選投票に進むことが確定した。最多得票は自民党総裁の高市早苗氏が123票、2位は立憲民主党の野田佳彦氏が44票で、両者が決選投票に進む。
得票状況の詳細
本会議での投票結果は次の通りである。
高市早苗(自民)123
野田佳彦(立憲)44
玉木雄一郎(国民)25
斉藤鉄夫(公明)21
神谷宗幣(参政)15
田村智子(共産)7
山本太郎(れいわ)6
安野貴博(NHK)2
百田尚樹(日本保守)1
福島みずほ(社民)1
白票1
参議院の議員定数は248人。今回の投票では有効票が246票(白票1含む)で、過半数に必要な票数は124票。高市氏は1票届かず過半数を割り込んだため、国会法第67条に基づき、上位2名による決選投票が実施される。
構図の分析:保守優位だが連立構成が鍵
高市氏が首位に立ったことで、自民党・日本維新の会・国民民主党一部など保守・中道勢力の支持が可視化された。だが、過半数に1票届かないという事実は、参院での「自民単独過半数割れ」という現実を突きつけている。
特に公明党が自党候補の斉藤鉄夫氏を立てたこと、立憲・共産・社民・れいわなど野党が野田氏や他候補に票を分散させたことで、票の取りまとめが難航した。
この結果は、衆議院での首相指名投票では高市氏が選出される見通しである一方、参院では政権運営上の不安定さが残ることを示している。参院での議決調整や法案通過のためには、公明党・国民民主党との政策協調、あるいは限定的な「連立」または「閣外協力」体制が不可避とみられる。
高市政権の課題:ねじれ国会の現実
今回の結果が象徴するのは、“ねじれ国会”の再来である。高市氏は自民党総裁として、経済安全保障・減税優先・インボイス廃止・憲法改正・スパイ防止法整備などを公約に掲げているが、参院での議席構成上、法案の成立には他党の協力が不可欠だ。
特に国民民主党(玉木氏)や公明党(斉藤氏)との距離感をどう調整するかが、政権の安定性を左右する。
野党側では、立憲・共産・社民などが「減税よりも再分配」「軍拡反対」「社会保障拡充」を主張しており、政策面での折り合いは容易ではない。
決選投票の焦点
決選投票はこの後、同日中に行われる見通し。衆院では高市氏が圧倒的多数で選出される見込みだが、参院で野田氏がどれほど票を伸ばすかが焦点だ。
仮に参院で野田氏が過半を取っても、憲法の規定により衆議院の指名が優先されるため、最終的に高市氏が第104代内閣総理大臣に指名される。だが、参院の過半を取れなかったことは、政権運営上の“政治的警告”と受け止める向きが多い。
政界の受け止め
自民党幹部は「参院の結果は想定内。むしろここからどう連携を構築するかが勝負」と冷静に分析。一方で、野党幹部からは「過半数を割った総理指名は、民意の分断を映す」「強硬な政権運営は許されない」との声が上がっている。
政治評論家の間でも、「高市政権が誕生しても、実質は連立・協調型。単独強硬路線は取れない」との見方が支配的だ。
結論として、参院本会議の首相指名選挙で高市早苗氏が最多得票を得たものの、過半数に1票届かず決選投票へ進む事態は、政権の構造的課題を如実に示した。高市氏が初の女性首相として正式指名される流れに変わりはないが、国会運営の現実は厳しく、連立や政策調整を伴う“重たい船出”になることは確実だ。