2025-10-09 コメント投稿する ▼
「支持率下げてやる」発言で時事通信厳重注意 報道の中立性問われる
時事通信社は10月9日、自民党本部での高市早苗総裁取材待機中に「支持率下げてやる」などの発言が映像マイクに拾われ、SNSで拡散した問題について、映像センター写真部所属の男性カメラマンの発言と確認したと発表し、厳重注意処分とした。 この事件は、記者・カメラマンが“報道対象”に対して主張を口にすることで、報道機関の信頼性が揺らぐ事例として注目される。
「支持率下げてやる」発言で時事通信社が謝罪、報道機関の信頼揺らぐ
時事通信社は10月9日、自民党本部での高市早苗総裁取材待機中に「支持率下げてやる」などの発言が映像マイクに拾われ、SNSで拡散した問題について、映像センター写真部所属の男性カメラマンの発言と確認したと発表し、厳重注意処分とした。
経緯と社側対応
発表によれば、カメラマンは他社の写真記者らと雑談をしていた際、「支持率下げてやる」「支持率が下がるような写真しか出さねえぞ」と発言し、それがライブ配信される中でマイクに拾われたという。社内では、編集局長が「雑談であっても、報道の公正性・中立性に疑念を抱かせる結果を招いた」として注意処分を決めた。社長室長も「関係者に不快感を抱かせ、ご迷惑をおかけしたことをおわびする」と謝罪のコメントを発表した。
一方、発言が拡散された他の音声内容、「靖国参拝に関する言及」や「麻生氏との関係をほのめかす言葉」などについては、当該カメラマンの発言ではないと社内調査で判断されたと説明している。
報道機関の責任と中立性
この事件は、記者・カメラマンが“報道対象”に対して主張を口にすることで、報道機関の信頼性が揺らぐ事例として注目される。たとえ雑談の一環だったとしても、公の場での発言がライブマイクで拾われる環境においては、言葉の重みが非常に大きい。
報道機関には、公正中立を保つ姿勢が強く求められる。読者・視聴者はニュースが恣意的に扱われていないか敏感になる。今回のような発言の拡散は、メディアへの不信を助長しかねない。
さらに、記者・カメラマンの態度が取材現場で表面化することは、報道現場の緊張感をも変える可能性がある。発言者個人だけでなく、部署の管理・教育体制も問われる事態となった。
批判と疑念の声
報道界や政治関係者からは、社の対応遅延や「雑談」として切り捨てる姿勢に対し批判も出ている。ある報道関係者は、「記者という立ち位置は言論の自由と責任を背負っている。発言の内容如何で、対象を貶める姿勢だと受け取られても仕方ない」と語る。
また、SNS上には次のような声が寄せられている:
「どこかでバイアスをかけようとしてるように聞こえる」
「メディアの立場ってなんだろう」
「ネットで叩かれてやっとだね。遅くない?」
「報道機関の自浄作用を見せてほしい」
「高市批判したいだけなら撮らなきゃいい話だ」
これらの声は、報道機関への信頼性や透明性を改めて問う契機となっている。
残る課題と展望
今回の処分は「厳重注意」であり、停職・解雇などの重い処罰には至っていない。言論機関として求められる“説明責任”を果たすためには、どこまで踏み込んだ処分や再発防止策を示すかが鍵だ。
具体的には、取材現場での発言の録音・録画対応、発言内容を管理するガイドライン整備、定期的な倫理研修の強化などが挙げられる。これらを実施できなければ、今回のような事件は将来も繰り返される可能性がある。
また、他の報道機関にも同様の緩みがあるかどうか、内部調査・外部監査によってメディア全体の信頼を取り戻す動きが求められている。
野党・与党問わず、政治家や影響力のある人物への取材において、報道の公平性に疑念を抱かせるような“脅迫めいた”言葉は、報道と被取材者との関係そのものを悪化させかねない。取材を受ける側の安心感とともに、報道側の冷静で公正な姿勢をどう担保するかが、今後のメディアの質を左右するテーマだ。